劇場版 葛根廟事件の証言のレビュー・感想・評価
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記憶や想いを記録することの重みを改めて知った
戦後74年が経つ。これほどの時間が経過する中で、新たにカメラを向けるべき題材など存在するのか———それが本作に触れる前の私の正直な心境だった。本作では何か新資料が発見されるわけではない。だが時を経てなお新たに発掘され続けるものがある。それは人の「記憶」であり「想い」だ。それも死者のではなく生者の。これまで重い記憶の扉を閉ざして生きてこられた方々が語る知られざる葛根廟事件。途中までは「遠く離れた大陸で多くの日本人が命を落とした悲劇」のあらましが観客にも理解できるよう説明される。が、中盤から証言の内容はやや踏み込んでいく。あの日、あの場所で一体何が起こったのか。よく知られる顛末と言われるかもしれないが、私にはこれが衝撃的だった。ナレーションを用いることなく証言と字幕だけで構成され、叙情的な音楽を廃したドキュメンタリー。記憶や想いを記録することの重みを改めて知った。広く日本に行き届くことを願う。
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終戦の日を前にして
本件に限らず、沖縄戦にしてもそうだが、先の大戦での、民間の日本人犠牲者のうち、自決した方はどれくらいいたのでしょうか?
自ら命を絶った者と銃弾に倒れた者を戦争犠牲者とひとくくりにするには余りにも違うのではないかと感じます。
また、本作品を観て、改めて戦前の教育の在りかたについて疑問を感じました。
今が決していいとは微塵も思ってはいませんけどね。
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