「共同脚本・大橋裕之が効いてるかな」街の上で Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
共同脚本・大橋裕之が効いてるかな
オープニングがつまらないんだよね。別れるカップルの会話から入るんだけど「これ、本当に面白いと思った?」って感じで、そこまで面白い会話じゃないの。
これは不穏な立ち上がりと思って観ていって、なかなか面白くならないの。ちょっとしたシーンの面白さを観せてくるんだけど、「そこまででも、ないなあ」って感じで。
萩原みのりに呼ばれて自主制作映画の撮影に行くあたりから面白くなってきて、ここで中田青渚がいいね。ヒロインが穂志もえかじゃなくて中田青渚でも良かったんじゃないかってくらい良かった。
ここから一気に面白くなるね。
中田青渚の家を出たところで五人でやり合うシーンはメチャクチャ面白い。そこにいる五人が持ってる情報量に差があるから、そこで笑いが生まれるんだよね。戯曲っぽくて良かった。
それで警官出てきて「伏線だったのか!」ってのも良かった。
それで穂志もえかが若葉竜也の家に成田凌を連れて来て、去ったところで『いいの、追いかけなくて!』『これは、すごいことだよ』は「言ってることおかしいだろ」と思うものの「分かる」っておかしさで良かったな。
警官が出てきたところで「前半の今ひとつのシーンは伏線だったのか、やるな」と思ったけど、そうでもなくて投げっぱなしのシーンもいっぱいあるんだよね。
メンソールもそうだし、Tシャツカップルも関取もがっつりは回収しない。
でも、そのシーンは面白くて、そういう本筋に関係ないシーンを残しながら、まとめてくるのは今泉監督すごいと思うの。
それで、本筋に関係ないけど面白いシーンは、共同脚本に入った大橋裕之さんが効いてんのかなと思ったのね。
今までの今泉監督作品は「『好き』ってなんだろ?」というところをギリギリと詰めてくる感じだったけど、この作品は少し力が抜けてた。話の内容より、監督の技量の高さが際立つ作品だったけど、面白かったよ。