劇場公開日 2019年11月15日

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「ドニーが挑む新たな境地・・・爽やかにも程がある学園ドラマ」スーパーティーチャー 熱血格闘 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ドニーが挑む新たな境地・・・爽やかにも程がある学園ドラマ

2020年6月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

徳智学園の教員面接にフラッと現れたアメリカ帰りの男チャン。教員経験がないチャンは落ちこぼればかりが集まるクラスの担任を任せられ、案の定着任当日から嫌がらせの洗礼を受けるが、チャンは次々に繰り出す型破りな教育メソッドで生徒達に向き合っていく。

これがアホみたいに爽やかな学園ドラマ。アル中の父親に虐げられる双子のクワン兄弟、両親を亡くし祖母と二人暮らしのワイチョン、弟ばかりが溺愛されていることに不満を持つ車好き少女のダッナン、歌手になることを夢見る祖父母の代からのパキスタン移民ジョウファといった、心がへし折れそうな境遇にいる子供達に個性漲る指導を試みるチャン先生を、いつも山ほど人を殺しているドニー師父があり得ないくらい爽やかな笑顔で好演。昨年観た『追龍』とは全く異なるアプローチで演技の幅を地平線の向こうにおし拡げる師父の後姿には最初から最後まで後光が射しています。

学園ドラマなので、メッチャクチャ美人で秀才なのにメッチャメチャ素朴な女の子とか、メッチャクチャ真面目だけどチャン先生のさりげない優しさに触れてうっかり惚れてしまうメガネッ子先生とかの鉄板キャラも出てきて、このまま学園ドラマだけで話が進むのかと思いきや、徳智学園の土地を狙う怪しい業者が出てくるのでもちろん我々が師父に期待していることは全部盛りになっていますので安心です。キャラクター描写が舌足らずで消化不良な面もあるにはありますが、パラパラとバラ撒いた伏線を意外な切り口で回収する脚本は繊細で、物語とは直接関係しないちょっとしたシーンでもしっかりしたロケ撮影を行う律儀さも好感触。何気に香港が抱える社会問題にもしっかり風刺を効かせている辺りに、今この時期に本作を観る価値があると思います。

個人的には前述の美人で秀才で素朴な女の子を演じていた雲千千ちゃんにハートを打ち抜かれましたがこのお名前、なんて読むのか判りません。

よね