「金粉ショーの47歳はどうなった?」ホドロフスキーのサイコマジック kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
金粉ショーの47歳はどうなった?
ホドロフスキーの作品を一つも観てなかったことに今更気づいた。彼の施した10組の心理セラピーをドキュメンタリー風に描いたものですが、各章ごとに監督自身の過去作品を挿入していて、『ホーリー・マウンテン』や『エンドレス・ポエトリー』など見たくなるような映像ばかりだ。
最初は母子を靴墨で塗りたくったりして、コミカルなサイコマジックなのかと思っていて、男女の裸が登場すると、単にエロマッサージの世界じゃねーか?などと胡散臭く感じられました。一つだけ、巨大カボチャをハンマーで叩き割る青年のエピソードは効果絶大だな!と、共感さえ覚えました。この時点から徐々に引き込まれてしまいます。
経血チェリストや経血絵画に至ると、あ、やばいものを見てしまったと気づき、もうホドロフスキーの術中にはまっていく自分。やっぱり、これはアートだ!などと、妙に感動すら覚えてしまいました。ただ、金粉ショーはいかがなものか?いや、これだけは絶対にやらせのギャグに違いないと、47歳童貞の彼に同情してしまいました・・・
なんだか新興宗教がかった怪しいセラピー。もう彼の罠にはまってしまい、癒されたいとまで感情移入してしまう・・・もしや、これが狙いだったのか、これらのサイコマジックによって治癒されていく登場人物ではなく、映画の観客に魔術をかけたに違いない。でも、俺は実験台にされたくない・・・特に金粉ショーには。
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