「モボとモガのドタバタ喜劇でなんか惜しいんです。」グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇 マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
モボとモガのドタバタ喜劇でなんか惜しいんです。
邦画のレトロかつクラシックな雰囲気の作品は結構好きで、そこに大泉洋さんと小池栄子さんが出演しているとなるとハズレ無しな感じで、気になって鑑賞しました。
で、感想はと言うと、惜しい。
面白いんだけど、なんかいろいろ惜しいです。
作品のレトロ感は良いんですよね。
大泉さん演じる田島は小説雑誌の編集長で優男で恋多きモボ(モダンボーイ)。
大泉さんが田島をシャレオツかつ悩み多く純粋に演じられていて良い♪
降り幅の広い大泉さんはキャラを過剰に演じられる(演出される)事も多いので、控え目で女好きが面白い。
丸眼鏡が似合ってます♪
小池栄子さん演じるキヌ子が男勝りでパワフルかつたくましく戦後の動乱の時代を一人で生き抜いている。普段は化粧っ気も無いが、素はとっても美人さん。でも一人の時はお洒落に勤しむモガ(モダンガール)。雑に見えるけど、裏表が無く、純粋。
小池栄子さんの美しさと降り幅の広さが良い感じなんですよね。力持ちなのも素敵♪
松重豊さんが良い感じ。大正、昭和と駆けた文豪っぽくてシニカル。小粋な初老感が良いんですよね。
大泉さんと松重さんの掛け合いは楽しい♪
緒川たまきさん演じる未亡人の青木さんが二階から飛び降りてきたのにはビックリ。
橋本愛さん演じる画家の水原は綺麗。橋本愛さん、可愛くて綺麗です♪
テンポも良いし、雰囲気も良い。ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの原作だけあって演劇的な感じも良い。
そこに奥寺佐渡子さんが脚本を担当されて、ライト感覚の喜劇になってる。
楽しく映画を観れる要素は十分。
大泉洋さんよりも、小池栄子さんの活躍が嬉しい。
なんですが、やっぱりいろいろと惜しくてツッコミ所も結構ありますw
・素が美人さんのキヌ子が終始ダミ声で声を変えているのは何故?
動乱時代を逞しく生きる為にあえて声を変えてるにしてもちょっとやり過ぎで、どこまで続いて、いつ元の美しい話し方に戻るのか期待してたぐらいにマイナス点でキヌ子のダミ声が合わない。
ラストでは普通の話し方になってたけど、もっと早くから戻した方が良かったかなと思います。
また、愛人達との交渉時にちょこちょこニセ嫁と言うのがバレ過ぎの白状し過ぎw
ここを上手く騙くらかして、偽りの夫婦から、互いを意識しあって昇華するのが良いのでは無いかと。
・田島と濱田岳さん演じる清川を占い、恐ろしいまでに的中する易者が唐突過ぎる。
最初はなんかの仕込みか?と思ったけど、そうでもなく、だいたいどころか無茶苦茶ズバズバと当ててるw
それまでの伏線も何も無いままの登場で呆気に取られたと言うか、勿体無い。
これが演劇なら問題無いかも知れないけど、映画なら唐突過ぎます。
また、あれだけ嫁と娘に固執していたのに、占われてから一気にキヌ子押しになったしw
・田島が付き合ってた他の7~10名の女性は?
冒頭で愛人が十数名と言ってたのに、出てきたのが3名はちとはしょり過ぎでは。
奥方がそれぞれに手紙を書いたにしても、無かった事の様になってる。それなら“十数名いる愛人の中でも別れたくない程愛している女性は3名”と言う件りを付けた方が良かったのではないかな。
登場が3名では田島の恋多きプレイボーイっぷりが活かしきれてないと思います。
・田島を狙ったのは結局誰?
金をバラまきまくった事で強盗に教われたのは分かるとしても最初、犯人は清川かと思ったw
ちょっとこの辺りも唐突過ぎ。
・田島が売られた採石場からの展開が急過ぎ。
記憶を取り戻したのは良いとしても、記憶が戻って、売られて来たのにそんなに簡単に採石場を抜けられるの?
また、死んだとされ、田島の死体と思われた他人もサクッとスルーだったし。
・キヌ子が田島に向けて全財産をはたいて建てたでっかいお墓は田島への愛の証かと思われますが、キヌ子の田島への愛の変換の描写も殆ど無いし分かり難い。
キヌ子が田島をいつの間にか愛していたと言うのはフラグであっても、それが殆ど無い。
田島がキヌ子を愛している件りはあるのに。
それなら、あの戸田恵子さん演じる易者にキヌ子も占ってもらった描写を入れても良かったのではないでしょうか。
と、まぁいろいろと好き勝手書いてみましたw
でも、とても良い部分が多いので、気になる所は気になってしまうのですが、脚本を担当された奥寺佐渡子さんは「サマー・ウォーズ」「八日目の蝉」を担当された好きな脚本家さんですが、監督の成島出さんも「八日目の蝉」の監督さんで、最近では「ちょっと今から仕事やめてくる」を担当されていて、あの作品を観た時の同じ様な違和感と言うかむず痒さを感じられたのは偶然かな。
どちらにしてもなんか惜しい。
楽しめる要素はいっぱいあるのに、いろんな食材をふんだんに使ってるけど、仕込みと下処理が甘い様な感じ。
前半が割りと丁寧なのに、後半が急いでいて失速感が感じられる。ドタバタでまとめきった感じともっとドタバタしても良かったのではないかと思います。
…やっぱり惜しいなぁ。
あくまでも個人的な感想の1つですので、一意見として捉えて頂ければ幸いです。
カールⅢ世さん
コメントありがとうございます。
ですよねw
期待感まさっての細かい所の指摘ですが、大丈夫です。
全然許せますw
拙い細かいツッコミの感想ですが、おおらかな気持ちで読んで頂ければ幸いです。
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね。