「現代日本のジャーナリズムの一端が垣間見れる様々な人間群像」i 新聞記者ドキュメント Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
現代日本のジャーナリズムの一端が垣間見れる様々な人間群像
主人公の自己愛に満ちたドラマリテラシー軽視のフィクション映画「新聞記者」の原案者にして、官邸記者会見で執拗に質問を投げかけて注目された東京新聞社会部記者望月衣塑子の活発な取材と言動を追跡した政治的主張の明確なドキュメンタリー映画。辺野古基地移籍問題、森友・加計学園問題、伊藤詩織準○○事件など近年マスメディアを騒がした題材が取り上げられていて、その点では興味深く観ることが出来る。政治理念を明確にした監督森達也の視点が望月記者寄りではあるが、映像がもつ客観的表現力のみが真実に近づくことを改めて確認できる。映像リテラシーを持って鑑賞出来れば、それなりの面白さを感じることは容易いのではないだろうか。
それにしても登場する関係者らの一筋縄ではいかぬ容貌含めた人間性に対して、望月記者の正義感や真実追求の一途さの危うさを感じる。彼女を利用できる間は親しく接し味方にしようとする人間に囲まれた状況が見えてくる。それを承知の上で真実のジャーナリズムに辿り着けるとしたら、一度は大きな挫折を味わわなければならないであろう。それとも最後まで使われてしまうのか、それだけは人間観察の意味で関心が残る。
頭がいい人ほど嘘がうまい。嘘がうまい人ほど他人を騙せる。人を騙してお金儲けをする人が本当の悪人である。本当の悪人は、故に頭がいい。それに打ち勝つためには、騙されない賢さを身に付けるしかない。
嘘と真実を見極めるために自分で勉強することが最も大切なことである。いい映画もその勉強の題材になると信じている。
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