「いつか来るその日の為に」映画大好きポンポさん Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
いつか来るその日の為に
前からポスターで興味を持ってたので観賞
原作等は未見でしたが
Webコミックが元となった映画
感想は
なかなか見た目からは想像も
つかないような骨太な中身でした
映画製作を映画にするという作品は
今までも無かったわけではありませんが
こうした切り口の作品は新鮮でした
映画の都ニャリウッド(ほぼ〇リウッド)の
映画製作会社ペーターゼンフィルムに勤める
社会不適合レベルの映画オタクのジーンは
世界的名監督の孫で辣腕プロデューサーの
ポンポさんに見込まれて初仕事は映画の予告編から
新作の監督に新人女優と共に大抜擢されます
ポンポさんは見た目は少女ながら
「長い映画が嫌い」「女優が輝いていればいい」
「お涙頂戴よりB級おバカ映画で感動させる方がかっこいい」
など言ってる事はロジャー・コーマンや岡田茂
のようでなんとも説得力を感じます
そんなポンポさんがジーンの映画オタクとしての
映画の捉え方やポイントの絞れ方を見込んで
挫折した名指揮者が休養先で出会った少女との
交流から立ち直り再び帰り咲く新作
「マイスター」の監督を任せます
ジーンは自分にそんな事できないと最初は
躊躇しますが自分がなんのために映画の知識を
付けてきたのかを考えれば「映画を撮るか死ぬしかない」
と覚悟を決めます
その後は様々な助言やポイントをジーンは
受けることになり映画を作るまでの手間や
苦労といった部分をなぞるように進んでいきます
「八方美人に作ろうとするとぼやけた映画になる」
「誰か一人の為に作るくらいが輪郭がはっきりする」
「映画は現場の誰ものアイデアを取り入れてみんなで作る」
「でも取捨選択をするのは監督でいい」
など具体的なものが出てきます
そしてポンポさんが登場人物から撮る人まで
あて書きした脚本で撮影は順調に進んでいきあっさり
クランクアップします
そこからはWebコミックにはないオリジナルな部分
映像素材が出来たところで編集に入りますが
どうしても脚本にも素材にもなかったシーンが
ジーンの中に生まれ
それによって試写が遅れスポンサーが引いてしまい
資金元の確保に追われることになってしまう
などの非常にリアルな展開になっていきます
改めてこの辺で映画などの映像産業の本質的な
部分を感じました
拘りを捨てて納期を守った方がいいのか
悔いの無い仕上がりを目指すのか
というせめぎ合い
そして何より映画製作に投資すること
そのものがいかにギャンブルであるかという
部分も知ることが出来ます
こうした夢を追って成功するという部分
だけで終わっていた原作に加えてこうした
追加部分があったのは非常に深みが出たと
思います
手っ取り早くオタクになりたいとかで
早送りで映画見てウィキペディアであらすじ観て
みたいな若者が増えていると先日聞きましたが
それではオタク風にしかならないんでしょうね
(まあなる気は無いんでしょう意識高い系みたいに)
むしろコマ送りして見るくらい細部まで観察して
のめり込んだ人が映画を生み出して人々を感動させ
続けている現実に目を向けられる映画だと思いました