「ローマ教皇たちの秘密が今明らかに。」2人のローマ教皇 MPさんの映画レビュー(感想・評価)
ローマ教皇たちの秘密が今明らかに。
様々なスキャンダルを抱えるカトリック教会の運営に限界を感じた現ローマ教皇が、革新派の枢機卿をわざわざバチカンに呼び寄せて、徹底的に腹を割って話し合う。この実際にあったエピソードを、実物の1/3大のシスティナ礼拝堂をチネチッタに建造する等、舞台の精密な再構築を用いて観客に知らしめていく。背景のリアリズムが、ドイツ人独特の無骨さで教皇を演じるアンソニー・ホプキンスと、方や、やがて、南米初のローマ教皇となるホルヘ・マリオ・ベルゴリオを、巧みなスペイン語とスペイン語訛りの英語と、実物そっくりの外見と(今年来日したので分かりやすい)、まろやかな人物の造形によって具現化するジョナサン・プライスによって、さらにリアリティを増していく。やがて浮かび上がるのは、教皇となる人間にも深い悩みと矛盾を抱え、孤独に苛まれることもあるという、とても普遍的な現実。人は何と愛おしい生き物か!?そんな後味が残る実録ヒューマンドラマだ。
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