「SF好きにはたまらない設定」月影の下で bionさんの映画レビュー(感想・評価)
SF好きにはたまらない設定
2024年、フィラデルフィアが何かの攻撃を受けて炎に包まれているところから物語は始まる。
時は遡って1988年、コンサート中のピアニスト、バスの運転手、料理中のコックが次々と目と鼻から血を流しながら謎の死を遂げる。警官であるトーマスは、有力な容疑者を見つけ追いかけるが、取り逃した挙句、容疑者と思われるパーカーを着た黒人女性は地下鉄に轢かれて死んでしまう。この女性は死ぬ前に、「また会える」と意味深な言葉を残していて謎は深まる。
死んだ女性が9年後に現れるのだが、生きていた理由は、なるほどと思うくらいよくできたプロットで理論的に破綻していない。
1997、2006、2015と9年おきに現れる理由は、月と地球が最も近づく周期と関係があるらしい。引力によって時空の歪みが生じ、タイムワープが可能になる。タイムトラベル物は、制約があった方がドラマとしては深みが増すようだ。
ドラマ『Dark』と同じく特異点にしかタイムトラベルできないという設定が物語を面白くしているし、9年単位で変遷するパーカーの姿が事件に取り憑かれた男の狂気を雄弁に語ってくれる。
女性の謎もキレイに回収される結末で、なかなかの一本でした。
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