痛くない死に方のレビュー・感想・評価
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舞台挨拶回で拝見
とっても献身的に父の面倒を見る智美。
山盛りのそうめんの、1本だけでも食べてもらえたらとゆう健気さにびっくり。
「家で死にたい」と言うのは、看取ってくれる家族が居て言えることで、一人暮らしじゃ無理よね…?介護施設で看取ってもらう事になるのかな。介護士も辛いだろうな〜とか…おっと自分の心配は置いといて(でもこうゆう映画観なきゃ気づかない問題だから、この機会に考えとく必要はある)。
長尾医師の舞台挨拶の回を拝見。忙しいでしょうに関西からいらして、満席で良かった。素敵な声でした。パンフというのか『 映画読本』と銘打った書籍がとっても充実した内容で氏の仕事への情熱を感じました。熱源のような力を持った人ですね。
河田医師はロールモデルを見つけることが出来て、患者に寄り添う医師になって来たみたい。こんな医師が増えると良いな。
生きて死ぬ
絶妙な構成、宇崎竜童も好演
実在の医師の著書をベースに、日本における在宅医療と「死に方」の問題を真正面から描いた作品。
基となった2冊の著書で取り上げた在宅医療の「現実」と「理想像」を、一人の若い医師の成長物語として再構築した構成が絶妙。
前半の「現実」パートは、監督の盟友である下元史朗(!)の演技があまりにリアルで、観ているこちらも辛くなる。
一転して、後半のパートでは、同じく盟友の宇崎竜童のカッコ良さが際立ち、挿入される川柳も利いていて、魅きつけられる。
両親を相次いで見送った立場から観ると、いろいろと思い起こされたが、見終わった後は、清々しい気持ちになることができた。
残念なのは、週末の夜の回なのに、観客は自分一人だったこと。なかなか若い人は足が向かないかもしれないが、不入りで打ち切りになってしまうのは惜しい。
【おくりびと】を観た時の感覚を覚えた
過酷な在宅医療の現実だけではない、人の温もりが描かれていた
在宅医・長尾和宏氏の原作を実写映画化。原作は未読だが、ノンフィクションであることくらいはわかる。
それを自伝的な内容の映画にしたということか。全体的にゆったりと時間が流れる作りだった。さほど意味のないシーンに結構時間をかけたりしているのはドキュメンタリーのようなリアルさを出したいからなのだろうか。個人的にはあまり好きではない。でも、退屈しなかったのだから作り方がうまいということなのかも。
本作に登場する終末期患者は2人。主人公の河田が変わる前と後って感じの扱い方だ。変わる前の河田は患者との向き合い方がややドライ。病院の勤務医の延長という印象だ。後半の河田は先輩在宅医の影響を受け、患者とその家族に一歩踏み込んでいく医師になっていた。その変化はとてもよかった。
特にこれ!という答えがあるわけではないが、死ぬということについて考えさせられてしまう。経営のために患者を早く退院させたい病院側の論理だったり、どんな時間であっても患者家族から呼び出される在宅医の過酷さだったり、自分らしく死のうとする尊厳を押し通すことの難しさであったり、すべて国が推し進めようといしている在宅医療の現実だと感じた。
特に印象的だったのは、最初の患者の一言。病院から自宅に戻ってきて、「やっと自由になれた」と言い放つ。でもその「自由」は家族に多大な苦労を背負わせるものだった。尊厳を守るためにはお金も人的な苦労も必要ということなんだろうか。
そういう意味では後半の終末期患者の死に方はたしかに完璧だった。演じた宇崎竜童の素晴らしさもあるが、本当に見事だった。あんな死に方ができるなら自宅で死ぬのもありだ。
何度も観たくなる傑作
本作品は東京23区内ではシネスイッチ銀座だけの上映である。女優の高橋惠子さん(旧:関根恵子)の夫でもある大御所の高橋伴明監督脚本作品としては淋しい限りだ。この劇場はいつも年配の観客が多いが、本作品はタイトルの効果もあってなのか、いつにもまして年配の客ばかりである。最近は年配というのがいくつを指すのかわからなくなるほど、還暦を過ぎたくらいでは全然若い人が多い。当方の両隣もおばあちゃんだったが、割と下品なジョークのシーンで大笑いしていた。まだまだ元気である。
本作品は終末医療を扱った作品である。痛くない自殺の仕方を紹介する映画ではないので、そのあたりを期待した方には残念だ。そもそも自殺する人は痛いとか痛くないとか考える前に自殺する訳で、痛くない自殺の仕方を考える人は自殺が目の前に迫っていない人である。ただ、そういう感じで将来自殺しようかなと考えている人は割と沢山いると思う。いわゆる自殺予備軍である。日本では毎日100人が自殺しているが、予備軍はその100倍はいると、当方は睨んでいる。それほどいまの日本には未来がないというか、不安しかない。
さて作品であるが、主人公河田医師役の柄本佑は、同じ医師の役で主演した「心の傷を癒やすということ劇場版」では心に揺らぎのない、人格的に出来上がった精神科医を演じたが、本作品では悩み続けている若手の在宅医を演じた。精神科医の役は安心して観ていられたが、今回は主人公と一緒になって悩むことが出来て、よかったと思う。
前半はきつかった。72歳の俳優下元史朗さんが演じたステージ4の肺癌患者井上敏夫さんを担当した河田医師は、病院のカルテを見て末期の肺癌だから痛みのケアをすればいいと安易に考えてしまう。しかし井上さんは河田が考えていたのとは違った苦しみ方をする。在宅医療で苦しんだのは患者の娘夫婦だが、苦しみ方が肺癌の苦しみ方と違っていることは分からない。対処ができるのは医師だけだったが、河田はマニュアル通りの対応をするだけで、個別の患者としての井上さんを見ようとしなかった。坂井真紀が熱演した娘の智美は、苦しみ抜いて死んでいった父の姿にやり切れない思いを禁じえない。何もしてくれなかった在宅医の河田を恨むよりも、河田を選んだ自分を悔やむ。そう告げられた河田は言葉を失う。
医師は感謝もされるが恨まれもする。因果な商売だ。しかし今回の河田は、恨まれるより前に、医師としての役割自体を否定されたのだ。父の死と終末医療にあなたは何の役にも立たなかった。河田はそのように突きつけられた思いをする。加えて妻からの最後通牒。生きるとは何か、人と人との繋がりとは何なのか。医師としても人間としても岐路に立たされた河田である。
後半は在宅医として先輩の長野医師に相談するところからはじまる。奥田瑛二が演じた長野医師は、大病院がいかに検査依存、カルテ依存かを指摘し、在宅医はそういう数値を見るのでなく、患者本人を見る、患者の人生を見るのだという。柄本佑の嫁(安藤サクラ)の父が奥田瑛二だから義父と娘婿とのやり取りは、互いに俳優としての緊張感に満ちているように見えて、微笑ましいシーンだった。長野医師の、溺れて死ぬ死に方と乾いて死ぬ死に方があるという考え方ははじめて聞いた。含蓄のある言い方だと思う。
終盤は医師としての河田の成長と、見本のような患者本田彰の生きざまと死にざまが上手に描かれて、人生が悲劇でもあり喜劇でもあるとしみじみ実感する。高橋伴明監督の肩の力の抜けた演出がリアリティを醸し出す。人生の匂いのようなものが感じられる作品である。
それにしても大谷直子さんは歳を取っても本当に綺麗だ。鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」のときも妖艶な美しさを存分に見せたが、本作品では年老いた夫を心から愛する妻がふと見せる表情の、ゾワッとするような美しさを見せていた。本当の美人とはこういう人のことを言うのだろう。
本田彰を演じた宇崎竜童は最近は役者として輝いていて、小栗旬と星野源が共演した「罪の声」でも重要な役どころを存在感たっぷりに演じていた。本作品では終末医療を受ける患者の死の恐怖とそれを自分で笑い飛ばしてみせる懐の深い人物を好演。真面目な酒を飲み、川柳で人生を笑い飛ばし、誠実な死を迎える。まさに「痛くない死に方」である。何度も観たくなる傑作だと思う。
人として知っておくべき事
柄本佑さんの大ファンで、見に行きました。とてもすばらしい作品でした。
役者さんのすばらしさはもちろん、人が知っておくべき事のメッセージを強く感じました。この映画を観る事ができて、本当に良かったと思います。
闘病の末に家族を亡くされた方にとっては、目をそらしたい場面もあったと思います。それでも、幅広い世代の方に観てもらいたい作品でした。
前半苦しかった!
嗚咽ギリギリの号泣
とても役者が豪華。予告でだいたいのストーリーも予想できる。それなのに嗚咽ギリギリの号泣。
特に最後の方の、医師がかけた言葉には。もう。
在宅で死ぬことは難しいとは思っていたけど、こんなに大変なんですね。
私は父は自宅で突然死。
母は白血病で1.7年闘病して普通に病院で亡くなりました。看病する家族視点で涙です。
母が亡くなるその時、親類や見舞いにもあまり来なかった家族が、「頑張れ!頑張れ」とべっとの横でさすっている姿に違和感があったんですよね。
もう十分頑張ったんだけどな、と思いつつ、看病してきた私は病室の隅で「よく頑張ったね、誇りに思うよ」と、心の中で思っていたことを思い出します。
周りの人が、泣き笑いできる死に方は素晴らしいです。
尊厳死(安楽死と言ってもいい)の選択肢ができることを切に願いますが、せめて看取る為の医師、痛くない死に方の専門家が増えることの大切さを思い知った。
この分野は人と比べても知っていると思っていたけど。
たくさんに人に観て欲しい。
そして、人生の最期が笑い泣きしてほしい。
そして、このサイトで最近多い、複数アカウントで映画も観ずに0.5評価連発の、意図的に評価を下げてるアカウントに怒りを感じます。危なく映画観ずにスルーしてしまう所だった。
このサイトだけ星評価がおかしいよ。
(意図的に評価をあげるのは気になりませんが)
観るの迷っている人は、この星評価気にせず観るべし。
(訂正)
レビューの精度が元の戻った。
ありがとうございます。運営の皆さん。
地味な作品だが一見の価値有り。
現実と希望・・☆
在宅医療・介護と終末医療の物語。
前半は、もし身内にガン患者及び在宅で介護・看病等をされている方には
結構きつい展開になる。
しかし、ほとんどの場合は、この状況になるのかもしれない。
江本佑の演技が素晴らしい。
戸惑い、悩みながら先輩医師とともに成長していく。
対して、後半は彼の成長にともなった希望が描かれている。
患者夫婦の、宇崎竜童と大谷直子が哀愁を感じるほどのいい夫婦を演じ、
江本佑がしっかりと寄り添い、夢物語のように展開していく。
そこで救われる気がするのだが、見終わった後で現実は前半だろう・・と
何とも言えない気持ちになる。
一人の高齢者が増え、ガン患者も増加の一途。
母は、病院で亡くなったが、最後は経管栄養をとらされていた。
家族で話して、経管栄養を止めて 10日ほどで亡くなった。
もし、経管を中止しなかったら 今でも存命だっかかもしれない。
しかし、意識もなく生きているだけだった母にとって何が幸せだったのか・・
答えは、もちろん出ないが自分は延命治療は絶対にしないで欲しいと
家族に言ってある。
生きることには、いろいろな形があるということを改めて考えた作品。
ドキュメンタリーと合わせて見たい
【出来ること】
在宅医療とは言っても、家族の愛とか信頼関係とかないと難しいだろうなと思う。
こうしたものがあってはじめて、冷静に考えたり、意思を通わせることが可能になるのだ。
過疎地域であれば、また困難が待ち受ける。
この物語は、長尾さんの体験をもとにしたものだから、選択肢として在宅医療を考えるためには意義深いし、本田さんのようであれば、多くの人は幸せかもしれないと思う。
「けったいな町医者」が長尾さんのドキュメンタリー映画で、在宅医療を受けている実際の市井の患者さんや、その亡くなる場面も映し出されるので、そちらも併せて見ると、もっと理解が深まるようにも思う。
あと、このドキュメンタリー映画は、多剤投与や、ガン患者に対する過剰とも思える点滴や酸素吸入に関する問題点を指摘しているところは、目から鱗だったし、歩くことを普段から心がけることで、認知症の90%を防げるのではないかと提言しているので、まだ、病気もしていない、入院もしていない方々であったら、今の生活を少し見直す方が、より痛くない死に方に近づくことができるのかもしれないと考えさせられると思う。
ビデオ会議をしていたら、リモートワークで歩く機会が減り、躓いたとか、テーブルの脚の角にぶつけて、足の指の骨を折ったという話をしてる人がいた。
やっぱり、運動をしましょう。
親・配偶者の最期を看取る
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