積むさおり

劇場公開日:2019年11月2日

積むさおり

解説・あらすじ

バツイチ同士の夫婦を主人公にした異色の中編サスペンス。互いにバツイチで結婚5年目を迎えたさおりと慶介。ある日、いつものように犬の散歩をしていたさおりは、積まれた枝の前に見たことのない奇妙な穴を発見し、思わずその穴をのぞいてしまう。そこで不可思議な体験をしたことをきっかけに、さおりに耳鳴りが起こり、夫の生活音、笑い声など夫が立てるちょっとした音にも敏感になってしまう。夫や仕事に不満を感じることのなかった平穏な日々から一変、気づかぬうちに積み重なっていた鬱屈が、幸せだった夫婦の生活を崩壊させていく。妻役を「冷たい熱帯魚」「沈黙 サイレンス」の黒沢あすか、夫役を「クライングフリーセックス」の木村圭作がそれぞれ演じる。監督は黒沢の夫で、特殊メイクアーティストとして数多くの作品に参加する梅沢壮一。

2019年製作/40分/日本
配給:「積むさおり」製作委員会
劇場公開日:2019年11月2日

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(C)「積むさおり」製作委員会

映画レビュー

4.5 余白に感じる邦画の力

2025年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

解説には中編サスペンスとあったが、サイコロジカルな作品だった。
すべてがサオリ一人によって作られているので、それ以上分類できないように思う。
あらかじめ背景として設定されているバツイチ
これは視聴者にある種の思い込みを抱かせるためだけのように感じた。
冒頭でわざわざナレーションする必要などないように思う。
またそれぞれがなぜバツイチになったのか?
それは物語で想像できる。
夫のケイスケ
彼本来のガサツな気質、自分がしたいことだけを優先的にして、共同生活委に対する配慮は微塵もないことが、「それ」だろう。
一方サオリ
彼女は生真面目で夫の些細な問題にもいちいち反応しないようにしている。
この物語の主人公で、彼女の内面こそ監督が描きたかったこと。
彼女の離婚原因を彼女の日常から探すことはできない。
そうであれば、夫の不倫と相手方の賠償問題が原因だろうか?
結婚をリスタートさせた二人
しかしケイスケの毎日に些細な言動やノイズが不満となって溜まっていく。
この積み上げるように溜まっていった不満を、木の枝とそれを積み上げて巣にしているのを見て、自分との一致に気づいた。
これが耳が遠くなって聞こえにくくなったことを引き起こした。
自分自身の内面
夫の嫌な言葉や音だけがはっきり聞こえたのは、それをまた「積んだ」からだろう。
こうして考えると、サオリは夫のすべてが嫌いだという感じだが、実際にはそうでもない。
彼女はウェディングプランナーの仕事の絵を上手く描けなくなった。
新郎の顔を夫の顔にした。
自身の腕を切り取ってシャベルのようなものを作った。
そしてあの巣のようなものの中をほじる。
押し殺してきた自分の声
犬の糞となって出てきた夫の頭部
それを穴に蹴り入れる。
サオリは、自分自身が黙って抱え込んできたものの正体を見た。
彼女が5年近くかけて積み上げてきた「夫像」
それは醜いものだった。
しかし、
夫がくれた耳にいいサプリや結婚記念日の花束
穿った見方をしていた自分自身
サオリが離婚した本当の原因は、勝手に作り上げてきた「夫像」
確かにあった不倫だが、その事実が色眼鏡となってわずか7日程度で離婚した。
夫に寄り添うことなどしなかった当時の自分
夫の言葉など一切聞こうとしなかった自分
そうして、また同じようなことになりそうだった。
サオリは、いつもの夫の仕事の愚痴に少しだけ耳を立ててみた。
そして初めてアドバイスしてみた。
その反応に少々驚いたケイスケ
このありふれた夫婦の日常
なかなか奥深く余白があって考えさせられる作品だった。
ただ、感じ方はそれぞれあるので、やはり多義的ではある。
最後のシーン 割れたペン立てが直されていた。
これがこの物語が伝えたかったことであるのは間違いないだろう。

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R41

3.5 よくあること。

2021年12月30日
iPhoneアプリから投稿

夫が退職して、一緒の時間が増えて、ストレスから体調不良になる奥さんがいると、社会問題になってましたな。それを思い出しました。

愛しているはずなんだけど、自覚情状もないまま蓄積する夫へのストレス。この奥さん旦那に優しいなって、思ってたら、本当は我慢してたんですね。無意識に。そうでしょう。無理はいけません。一緒に暮らすって、ストレスを抱え込むことなんだね!

それにしても、くちゃくちゃ食べる音とか、唾を飛び散らすとことか、洗濯物を裏返しのまま突っ込むとか、わかるわー!

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ゆう

1.0 『積みゲー』と『詰みゲー』

2019年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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いぱねま

4.0 ほじくりほじくり

2019年11月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

うわーー結婚したくねええええーーー!!!
地獄!地獄!ファック!結婚!家庭!クソ!
でも、なんだかんだ、夫婦って良いものなのかも。いい関係って築けるものなのかも、やっぱり結婚したいかも、結婚したかも。

バツイチ同士の夫婦、結婚5年の記念日を目の前にした妻を突如襲う、潜在的不満の爆弾。

家のものごとを妻に丸投げし、行儀が悪く、人の迷惑や負担を考えず、声が大きく、生活音が大きい夫。
とにかく不快感と嫌悪感を積みまくり煽りまくる彼に、もう死ぬほどイライラした。
悪気のない無神経な精神攻撃にもうズタボロ。

的外れでしょーーーもない気遣いも苛つく。
わかる、わかるよ。一応想ってくれてるんだよね。
しんどい。

おそらく今までは気にしていなかっただろうそれらに気付き始めた妻さおりに起きる変化、その表現方法が面白かった。
気になりだすと止まらない嫌悪、過敏になる聴覚。
対象の人への負の感情が強いほど、その人から出る音や振る舞い全てが嫌になる。わかるわかる。

溜まりに溜まった鬱憤を存分に感じてからのほじほじタイムは最高に最低で、最高に興奮した。
ぶっ飛んだ造形とヌルヌルネチャネチャとウンチをぶち込んでくれて嬉しかった。
こういうの気持ち悪くて気持ち良くて大好き。本当に好き。ウンチのやつ大好き!

心理スリラー的に物語は進むけれど、このまま終わるわけないだろうなーと思っていたらやはり。
特殊造形の方が造る映画の良さをしっかり味わえた。
どんなものを食べて生きたらこんな発想が生まれるのか。

会話してこ、指摘してこ、発散してこ。
ラストは意外なところに落ちてくれて、ホッとしたようなザワザワしたような。
でももしかしたら、次の日に部下をフォローするのかも。いや、絶対するだろうな。

他人と好き合って一緒に暮らして、夫婦になって家族になって、ってどんな感覚なんだろう。
どうして人は結婚するんだろう。
なんてこともふと考えてしまった。結婚って何?
二人がバツイチだというのも気になる。
以前の結婚生活はどのように終わっていったんだろう。

ネットでこの手の妻の叫びはよく見るけれど、こうして改めて見せられるととんでもない。
家の中でふんぞり返って好き勝手しちゃう人たち、身を引き締めてこ。
私は一人暮らしだから関係ないや!自分の怠慢は全て自分に還ってくるからね!やったー!

この映画は目を閉じて観ても理解できるんじゃなかろうか、と思うほど聴覚に訴えかける演出が強い。
しかし、黒光りした夫のビジュアルの効果はものすごいし、クライマックスは視覚と脳味噌にバチバチに刺さるし、やっぱり観て聴いて楽しい作品だった。

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KinA

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