劇場公開日 2019年12月7日

「悔し涙は流しても、後悔の涙は流さない」リンドグレーン 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0悔し涙は流しても、後悔の涙は流さない

2019年12月8日
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鑑賞方法:映画館

作家の半生、というと最近ではトールキンさんの映画がありましたが、今度はスウェーデンの児童文学作家・リンドグレーンさんです。恥ずかしながら私は知りませんでした。
作品の名前は『長靴下のピッピ』というのを聞いたことがありましたが、読んだ記憶もなく作者の名前ともども何も知らずに鑑賞(よくもまあ⁈)。

厳格な宗教観に包まれた小さなムラの、その中でもひときわ倫理観に敏感な家庭で育ちながら、奔放さを失わず、男性社会の旧弊と闘う姿。

一言で要約すると〝差別や偏見と闘う女性〟というありきたりな類型に当てはまるのだと思いますが、さにあらず。

どんな時代背景であっても変わらない思春期の好奇心からくるヤンチャな振る舞い、ちょっとわたしオトナをしてみた、というはたから見ると危なっかしい冒険。
でも、彼女の場合、すべてが本気で、すべての結果に責任を負う。己の非力さへの悔し涙は流しても、やったことへの後悔の涙に明け暮れることはない。

中途半端に大人の社会に慣れてしまった目から見れば、想定される最大のリスクに備えながら、結果的に最小のリスクで済んだ(1000クローネで手打ち‼️)ことは成功の部類と思われるが、子どもを取り戻すための彼女の戦いにおける勝ち負けの判断基準の度量衡には存在しない概念だったということなのだと思いました。

【余談】
スウェーデンは人口1000万人ほど、つまり、人口比では東京都よりも小さな国。
それなのに知財の発揮度合いは凄く高いように感じてます。
自動車のサーブやボルボ、通信のエリクソン、ファッションのH&M、家具のIKEA。
リンドグレーンさんだけでなく、ドラゴンタトゥーの女などのサスペンスなど映画の原作も結構ありますよね。

グレシャムの法則