「脚本家」HOKUSAI ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本家
久々に駄作がきました。前半も酷いですが、後半になるにつれ、呆れが怒りに変わってきました。
まず前提に役者は素晴らしかったです。柳楽さんの迫力、田中さんの迫力と目から伝わるものがひしひしと感じられました。阿部さんや、瑛太さん、玉木さんと出番が特別多くないながらも、強い印象を植え付けられる人物たちでした。史実とは違うなと思いながらも役者のパワーで何とかしてた感じです。ナンバーワンキャバ嬢の演技は大したことなかったですが。ただこの演技力というものが後々の怒りにつながってきます。
全4章仕立ての今作ですが、章ごとの終わりが唐突で、区切る意味が感じられませんでした。青年パートと老人パートですが、どちらも「波に」主軸を置いているので、それ以外の絵の魅力が感じられませんし、北斎もヤンチャにキレており、訳分からなかったです。確かに北斎という人物は富嶽三十六景のことしか詳しく知りませんでしたが、今作を見る前に少しだけ勉強してきたので、今作がいかに北斎の人生を改悪しているのかが分かりました。
終盤の種彦が死ぬシーンも完全なるフィクションですが、刀で斬るシーンがしょぼく、これなら史実通り、病死で良かったんじゃないかなと思いました。首を飛ばす意味も分かりませんし。最後まで何にも納得できないまま終わりました。
カメラワークも非常に悪く、どこをはっきり見せたくて、何に集中してほしいのかが全くわからないものでした。これも怒りの原因になります。
今作に怒りが生まれた原因として脚本家、河原れんの存在があります。この方約10年ぶりに映画脚本を務められるということで、どんな物語になるのかと思いましたが、この人が戦犯です。ヘッタクソに間延びした物語を作り上げてきました。完全にコネで脚本を書かせてもらっているのだから、もう少しまともなものを作れば良かったのにと悲しくなりました。頭の中で、ジーン・フィニがカット編集をしていました。泣く少年や素っ頓狂な歌なども不必要です。
この人、一丁前に役者として今作に出演しているのですが、後半パートではずっと出ているので無性に腹が立ちます。演技面に関しては問題ないのですが、その力は脚本に注いでほしかったです。やたらメインの役者さんとの会話のシーンが多く、役名のお栄もやたら呼ばれるしで、あなたの為の映画ではなく、北斎の映画だ!と言ってやりたくなりました。
ここでカメラワークの問題も出てきます。やたら彼女がカメラの中に残っているので嫌でも目をやってしまったり、ピントはやたら合うし、ブレはしないしで、どれだけ優遇すれば気が済むんだと思いました。
基本的に脚本家がダメだと映画の基盤は崩れていくものだと思っていますが、今作はまさにそれを体現している作品だと思いました。もう映画に関わらないでほしいです。
鑑賞日 6/17
鑑賞時間 11:35〜14:00
座席 E-5