「歴史的な意義」HOKUSAI 重さんの映画レビュー(感想・評価)
歴史的な意義
公開初日に観た。柳楽優弥は以前からどことなく惹かれる俳優さんで、今回も半ば狂気を感じる役作りでとても良かったと思う。あんな風に歌麿と写楽と北斎が同じ席で一緒に遊んでいるなんていかにも楽しそうだ。
阿部寛扮する版元って言うのは今の画廊なんだろうね。京橋で同級生が画廊をやっていて、プライマリーとして作家を抱えて育てているから良く理解出来るよ。北斎も壁に当たって旅に出て描いた作品を版元に素直に見せる場面もあったが、売ってくれる人をその気にさせるのが実力と言うものだろうな。
瀧本美織ファンとしては、健気な妻と言った役どころで良かったと思うが、出会いのシーンもなかったし、もっと出番を多くしてほしかったな。
後半は決して悪くはないけど、盛り上がった前半に比べて全く別の作品の様な感じだった。雨の中で北斎が藍色の絵の具を浴びるシーンの意味が分からなかったし。でも全体的には歴史的にも意義があって良い作品と思うよ。
レモンブルーさん、詳しくコメいただきありがとうございました。
でも嬉しさのあまりだとしても絵具をかぶるのはやっぱり違和感を感じますが、もう一度注意して観たいと思いました。
藍色の絵の具は江戸末期にオランダから輸入された「プルシアンブルー」(ベロ藍)という顔料で、あの色はそれ以前には日本では出せなかった色だそうです。北斎はベロ藍をとても好んでいて、「富嶽三十六景」も初刷はプルシアンブルーの濃淡だけの一色刷りだったそうです。(作品全てかは分かりませんが )
映画では、その理想とした「青」を手に入れた喜びを演出したと思いますが、あの北斎が、貴重な絵の具をあんな粗末に扱うなど 違和感が有りまくりで、私は 冷めました。
その他 フィクションだらけで…これが史実通りなら 価値あると言えますが。