劇場公開日 2020年1月17日

  • 予告編を見る

「ウザギを逃がす勇気」ジョジョ・ラビット N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ウザギを逃がす勇気

2024年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

幸せ

戦時モノであり、過渡期の少年の心の成長を描いた異色ヒューマンドラマ。

冒頭でウサギを逃がそうとしたシーンが作品全体のモチーフであることは言うまでもない。
植えつけられて自らが信じるところと、内なる真実と。
激動の時代の流れの中で、主人公は相反する双方をどう乗り越えて行くのか。

ウサギを逃がした主人公は弱虫とののしられ、
しかし弱さを知る者の発揮する強さこそ、見せかけには終わらない。
同時に鑑賞者へも、世間の目がどうであろうとウサギを逃がす勇気を、と
訴えている気がした。

甘えん坊が物語を追うほどに一人前の男に様子をたがえてゆく様が、
ある意味、ハードボイルド。
母のさいごと、敗戦後の軍人との別れで涙腺崩壊。
ますます孤独になってゆくのに、なぜだかあたたかみ残る世界観が切ない。
その中で不意打ちがごとく描写される戦時中のリアルな殺伐さも秀逸だった。

N.river