劇場公開日 2020年1月17日

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「本質は、少年の成長物語」ジョジョ・ラビット さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本質は、少年の成長物語

2020年2月5日
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「笑える」とは思ってたけど、
「泣ける」とは思ってなかった!

マーベル映画の一つ「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ監督による第二次世界大戦時のドイツを映した映画。

まさかマーベル映画を撮った後に戦争映画を撮るとは!
最近はマイティ・ソー4だったり、実写版「AKIRA」をやるかやらないかで何かと話題になっていますが、この映画でついにアカデミー賞にノミネートしてしまいましたね!
おめでとう!

まぁ、彼が撮るというので戦争映画でありながらコメディ色が強い映画だろうと思っていました。
この映画はコメディですが、想像以上にナチスの風刺が利いていますし、人間ドラマもしっかりしていて感動しました。

この監督はソーの映画でもそうでしたが、コメディを軸に置きつつシリアスな展開もしっかり描くけど、シリアスな場面は重い感じにさせないのが特徴なので比較的観やすいです。

ヒトラー役をタイカ・ワイティティ監督本人が演じてるのも面白いです。
空想上とはいえ、ヒトラーを馬鹿にしたような描写は内容的にシリアスになりそうなところを抑えています。

主人公を演じていた子供が本当に素晴らしいです!
全然媚びてるような演技ではなく、凛々しい感じで演技をしていて素晴らしかったです。
アカデミー賞にノミネートされたのはお母さん役のスカーレット・ヨハンソンでしたが、この子役ももっと評価されても良いと思います。

もちろん、スカーレット・ヨハンソンも素晴らしいし、軍人を演じたサム・ロックウェルも良かったです!

また、今回は戦時中のドイツについて知らなかったこともたくさん知りました。
家庭の金属類の回収はドイツでも行われてたんですね!
今回初めて知ったので非常に驚きました。

主人公はまだ10歳の少年であり、ヒトラーを盲目的に支持している世間知らずの少年が実際のユダヤ人やお母さんとの交流を通じて、自我に目覚めていく姿は観ていて面白いです。

なので、戦争やナチスの風刺でありながら本質は「子供の成長物語」です。
観てて辛い展開はありますが、誰でも観れる映画ですし感動するところは素直に感動出来ました。

そして、ユダヤ人の少女も凄く興味深い子でした。
ユダヤ人の過酷さを体感してきたからか、非常に肝が据わっています。
その上、年頃の女の子な感じも時々垣間見える姿もどことなくいとおしいです。

ただ、子供の描写は良かったものの大人側の人物に物足りなさを感じました。

と言うのも、スカーレット・ヨハンソンもサム・ロックウェルも少々良い人過ぎた気がします。
もちろん、ドイツにもこういう人がいたという事で描いたんだと思うのですが、描きかたが表面的だったので「何故こういう行動や活動をしてるのか?」というのが少し曖昧でした。

ただ、コメディを軸に置きつつ戦争の過酷さを描いたのは絶賛すべきところです。
まだ観てない方も是非とも観てほしいです。

さうすぽー。