「大笑いして泣く」ジョジョ・ラビット mikyoさんの映画レビュー(感想・評価)
大笑いして泣く
基本的にヒトラーユーゲントの関わる映画で気が重くならないことなどまずないのだが、この映画はナチスと戦争があまりにバカバカしくて大笑いしてしまう。それは私たちが日常的に「そんなバカな」という類の物事なのだけれども、ナチスドイツ政権下では、10歳のジョジョが手榴弾の使い方を教わるとか、そのバカが行われているのだ。それに比べればジョジョのイマジナリーフレンドであるアドルフを、マオリとユダヤをルーツに持つワイティティ監督がこれっぽっちも似せる気なく演じててることなど大したことではない。
とりあえず諸々のセリフは本当にヒドくて笑うしかない。(産めや増やせとか日本も同じだったな。)洒落にならないとはこのことかと言わんばかりにあの手この手で笑わせてくるので、それが終戦間際のドイツだということを時々忘れて、忘れた頃に思い出させられる。「そういうシーンをコメディで見た」と思うシーンが多く出てくるが、この映画でそのシーンは戦時中ならではのシーンなのだ。
ワイティティ監督はマイティ・ソーの監督が決まったとき先人のMCU作品の監督達にツイッターで「どれくらい爆発は必要か」と質問していたが、とりあえず本作を見る限りではそんな心配ないくらいに爆発させている。バカバカしいのはナチスだけではない。
主人公ジョジョを演じたローマンくんを筆頭に役者が全て素晴らしいが、サム・ロックウェルは定評のある白くも黒くもない役で複雑な気持ちになる。
最後に希望があるのも救われる。