「人は簡単にだまされる。気をつけよう。」ジョジョ・ラビット テレサ姉さんの映画レビュー(感想・評価)
人は簡単にだまされる。気をつけよう。
ナチスとかヒトラーとか言えば,20世紀最凶・最悪の大悪人ってことになってるけど、彼らとて,ただの独裁者・恐怖の支配者だった訳ではない。
ヒトラーみたいな人間をカリスマって言うんだよね,もともと。美容師じゃないよ,ってことを冒頭のシーンで思い出しました。ヒトラーは素晴らしい指導力を持った英雄的指導者で,人々は大熱狂した。ビートルズに熱狂したみたいに。てことも,冒頭にビートルズの曲が流れたので思いました。いやビートルズ以上か。
ヒトラー率いるナチスを台頭させたのは民衆。彼らを選んだのは大衆。ジョジョは10歳だから何の批判力もなく,かっこいいと感じたものを盲目的に信奉する。ユダヤ人であるエルサを目の前にしても,同じ人間だとすぐには理解できない。ユダヤ人は角があるとか,コウモリみたいにぶら下がったりすると信じてる。
ジョジョが弱虫でほんとに良かったと思う。じゃなかったら,ウサギを言われるがままに殺しただろうし,そしたらジョジョ・ラビットじゃなかったし,エルサのこともゲシュタポに通報しただろう。
ジョジョ・ママのロージーみたいにユダヤ人を命がけでかくまうような英雄的行為は素晴らしいけど,同じことが出来るかって言われたら,・・・できない。
その点クレンツェンドルフ大尉は実に魅力的でした。ドイツの負け戦と分かっていても,ヒトラーユーゲントを指導しなくてはならない。半ばやけくそ気味に生きてて,ロージーに蹴飛ばされたりしながらも.妙に人間的で面白い。彼はドイツ人としての誇りを胸に,そしてヒトラーに荷担した者として責任を取ってあの世に行った。エルサとジョジョを助けて。
これに感動したら「リチャード・ジュエル」も見なくてはなるまい。サム・ロックウェル最高!!