シン・ウルトラマンのレビュー・感想・評価
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不安と混沌が渦巻く日本に現れた銀色に輝く光の巨人…その名はウルトラマン。庵野秀明作品初心者にもってこいな作品であるためシン・ゴジラとシン・仮面ライダーよりも庵野節はやや控えめ。
正体不明の巨大不明生物 禍威獣〈カイジュウ〉が
現れ破壊と避難を繰り返されることが日常茶飯事となった日本。それに頭を抱える政府は民間と各省庁から集めたクセの強いスペシャリストによる禍威獣特設対策室
通称 禍特対〈カトクタイ〉を設立。一刻も早く禍威獣による大規模な被害を防ぐため総力をあげ立ち向かうが禍威獣の前では通常兵器すら役に立たない。そんな時
大気圏外よりヒトの形をした銀色の巨人が飛来する。その正体は巨大人型生物 ウルトラマン(仮称)。
言わずと知れた大人気空想特撮シリーズを大ヒットを記録した「シン・ゴジラ」の樋口真嗣と庵野秀明が現代日本に世界観を置き換えリブート。シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース3作品目。「シン・ゴジラ」に引き継ぎ樋口真嗣が監督を務め、庵野秀明は企画、脚本
そして当時「シン・エヴァンゲリオン劇場版:ⅠⅠ」と「シン・仮面ライダー」をほぼ同時進行で担当していたため本作では総監修というカタチをとっている。
キャスト陣は斎藤工、長澤まさみ、早見あかり、有岡大貴、田中哲司と超豪華な俳優らがズラリ並ぶなか、「私の好きな(苦手な)言葉です」という耳に残るフレーズを連呼し、いかにも外星人の雰囲気を醸し出す外星人0号 メフィラス役の山本耕史の好演は必見。
本作はほぼ会議メインだった「シン・ゴジラ」とは打って変わって戦闘シーンがあり、様々なデザインや背景の美しさと迫力のバトルが繰り広げられるおかげであまり退屈しないが「シン・ゴジラ」並の会話スピードの速さと情報量は相変わらず健在なので日本語字幕を表示することをオススメする。余韻をたっぷり楽しめる主題歌は米津玄師の「M八七」。元々「M七八」だったのだが庵野秀明の提案を米津玄師が受け入れたことで今のようなタイトルになったという逸話がある。「シン・ゴジラ」よりもかなり一般向けなので庵野秀明作品を初めて観るひとにはうってつけの一作であるがいつもの庵野節炸裂を求めている庵野秀明作品ファン(僕もそうだが)はすこし物足りないかも。
好きな人は楽しめる
禍威獣の脅威にさらされる日本。禍特対はそれらを撃退していたが、ネロンガに対し策が尽きてしまう。そこに銀色の巨人が現れ、ネロンガを退治。政府は巨人をウルトラマンと名付けるが、どう対処するか苦慮する。そして外星人ザラブが現れ。
ウルトラマン好きです。効果音等が昔のを使っていて、懐かしいです。カラーターマーのないウルトラマンは、青森市出身の芸術家成田亨のデザインを踏襲しています。パゴス、ネロンガ、ガボラは、当時着ぐるみを使いまわしていて、それを今作では同じ仲間の生き物とする設定が楽しい。変わったアングルのカメラワークは、実相寺監督のオマージュだな。ゾーフィとゼットンの関係に驚き。ゼットンは恐竜どころか、生物でもない無機物とは。と、こんな感じで好きな人は楽しめる作品でした。そういえば、シンゴジラに比べ、政府の動きが格段に速くなっているのも楽しい。
ウルトラマンのネタバレにがっかり
ガキの頃からウルトラマンもウルトラセブンも、正体は誰か分かっているけどはっきり明かさない製作者と観客の阿吽の呼吸感。あっさりと紳士協定が崩れて何となくシラケモード。
面白かったのは長澤まさみさんのガリバー化かなあ。
山本耕史さんとのやり取りもうざくて。
シンゴジラの感動はなく、個人的には残念。
新作のウルトラマン、結構おもしろかった。 単なる戦闘にとどまらず、...
シン・ゴジラが面白かったので。
ゴジラ初心者なのにシン・ゴジラが非常に面白くハマったので、シン・シリーズ見てみようかなと思い視聴。ウルトラマンは存在を知っているくらいで設定はほぼ知りません。
最初の10分はシン・ゴジラのように潔いテンポにぐいぐい引き込まれて面白かった!でも、そこから急にトーンダウンして、あれれ…?と引いてしまった。なんだろう、怪獣や外星人との闘いではなく人間ドラマにスポットを当てようとしたのは分かるんだけど、掘り下げが甘いというか浅くて、どのキャラにも感情移入できず…。ウルトラマンが人間を愛するようになった経緯がいまいちで説得力に欠ける気がした。もっとチームの絆が深まるようなエピソードがあればなあ。
そもそも長澤まさみの登場をあんなに焦らして引っ張るところから謎だなと。声ですぐ分かるし…大事なキャラではあるけど脇だし。あれは長澤まさみファンへのサービスなのか?
そんなこんなで、自分の好みとは微妙にずっとズレていて、あまり入り込めませんでした。とりあえずシン・仮面ライダーも観てみます。
初代ウルトラマンと育った50代おやじから
初代ウルトラマンからウルトラシリーズや特撮全般、そして庵野監督をアマチュア時代から置いかけて来たオタク引きずりおやじからの視点です。ロゴの出し方からカメラアングルまで、オリジナルへのオマージュてんこ盛り、音楽もキャストも悪くない。だが、恐ろしく物足りない。シン・ゴジラのときのようなグイグイ引き込まれる感じがなくウルトラマンが登場しようが、スペシウム光線を打とうがなぜか感情を揺さぶられない。短い上映時間にもかかわらずテンポも悪い。数年前に円谷プロが作ったCGのショートムービーを見たときのほうが、よほどドキドキしました。脚本も庵野さんなのに。樋口監督!またやらかしたか!樋口監督は特技監督としては優秀だと思いますが、メインの監督作は良作が1本もないのです。空想特撮映画云々と逃げ道を与えている方がいますが、娯楽映画として楽しめないのは単純に失格です。※あくまで個人的な好み、感想です。
恐るべき特撮作品
物語や映像については好みが分かれる作品だと思う。
だから、酷評も絶賛も、どちらも頷けるものが多い。
私的には最高だったが、この最高が最低に感じた方も多い。本作は、つまりはそういう作品なのだと思う。
ただ一点。
本作の「ウルトラマン」知識について難癖をつけている方が散見されるのだが……それだけは「見識が甘い」とはっきり言っておきたい。
既に識者の多くが解説しているので、本レビューでは詳細は省くが、本作はウルトラマンのメジャーな要素から、それこそ雑誌に掲載されたたった一文の木端設定まで、広く深く掘り下げて物語へ巧みに取り込んでいる。
主なものは、何故一般的に「ゾフィー」として名の知れる彼が、違う姿・名前で登場したのか? という点だろうか。
識者による解説を読んだ時はひっくり返ったものだ。
庵野秀明とは実に恐ろしいオタクなのだ、と再認識させられた。
現代社会に置き換えて再構築した空想特撮映画!
「ウルトラマン」シリーズといえは、男の子が必ず通る道でしょう。わたしも子供の頃みていました。そしてうちの小学の息子も、その時代のウルトラマンをみているのです。そんな親子が2人が、こうしてウルトラマンの映画を映画館で二人で観に行くとは感慨深いものがありました。
いきなり禍威獣(カイジュウ)とウルトラマンの決闘シーンがあります。対決したのはネロンガとガボラでしたね。いや~昔ながらの特撮な感じがでて面白かった。子供も大人も大興奮なシーンでした。
そして、庵野秀明節炸裂でしたね(笑)もう、これ「エヴァンゲリオン」と言わんばかりの難しい言葉のセレクション。言葉が難しいのに早回しとも思えるセリフの言い回しで、大人でもついていくのがやっとでしたので、子供は正直ついていけなかったでしょうね。
が、そういうマイナスな面を打ち消すのが、やっぱりウルトラマンの存在ですね。あの人間味がある特徴的な姿に、懐かしの銀と赤い色と光る眼に光線とウルトラマンが出てくれば、難しかった話も一気に興奮に変わります。やっぱりもっと戦いが見たかったなぁと思いますね。
俳優陣も面白かった。コメディ風に作られていて、長澤まさみが主役かと思える程面白い存在でした。主人公の神永新二を演じる斎藤工も面白い存在。ウルトラマン化してしまい人間のような感情が無い中でも、仲間と言う存在に気付いていく展開は良かったです。
難しさもありながらも、総じて楽しめましたし、我が息子も楽しめたと言っていたので、良かったですね。
倍速無用のラピュタに匹敵する無駄のなさ
シン仮面ライダーにガッカリしてしばらく経ってから何故か再視聴したくなった。
劇場でもその後アマプラでも何度か観なおしていたのに、1年ぶりに見返すと何故かシンゴジより気楽に観られて楽しくなっていた。1年前はシンゴジより下に思えていた今作だが、シン仮面ライダーを合わせて順番を付けようとすると一番好きかもしれない。
シン仮面ライダーはまるで世界に主要人物しかいないんじゃないかと思えるほどの狭さが気になってのめり込めなかった。制作陣はその辺は脳内保管しろといいたいのかもしれないが、救われる庶民を全く描写しなければ水戸黄門だって成立しない。その点シンウルトラマンは最低限だが世界を描けていたと思う。この最低限という匙加減が全てにおいて絶妙な映画だったように思う。上を見ればキリがないが、5体の怪獣を描写し、倒すというメイン部分を時間内にちゃんと魅力的に組み立てることが出来たのは特筆に値する。そのそれぞれをもっと盛り上げようと思えば時間は長くなるし、アクションやドラマパートは際限なくくどくなる。倍速視聴をする必要がないくらい無駄なく魅力だけを煮詰めた作品として、ラピュタに匹敵するのではないだろうか。
好きな作品だ。
初代ウルトラマンにQとシン・ゴジラを混ぜて、庵野秀明さんのセンスで細部を変えながら再構築したみたいな映画だった。
この映画は昔の作品を現代風にアレンジしたというより、初代ウルトラマンにQとシン・ゴジラを混ぜて、庵野秀明さんのセンスで細部を変えながら再構築したみたいな映画だった。
庵野さんは『アオイホノオ』とか見ていると若い頃からセンスの塊のような天才アニメーターで、常に何か書いていないとおさまらないような人だったみたいだから、ウルトラマンシリーズを見ながら、自分だったらああしたいこうしたいというのがあったんだろうと思った。
それをここぞとばかりに入れたんだろうと思うけど、入れすぎて展開が速くなり、ついていくのがやっとだった。
庵野さんの『エヴァンゲリオン』も同じような感じだったので、訳がわからなくなり、ついていけなくなって途中で脱落してしまった。
でもこの映画はオリジナルではないし、有名な初代ウルトラマンがベースで、そんなに長くない単発ものだったので、なんとかついていけた。
とはいえオリジナルの初代ウルトラマンは、見たことがあるけどあまり覚えていない。
覚えているのはジャミラ、ゴモラ、バルタン星人そしてゼットンくらいかな?
一番有名なのはバルタン星人だけど、個人的に覚えているのはゼットン。
なぜかというとウルトラマンが負けたから。
これはショックだった。
関係ないけどドカベンの明訓高校が弁慶高校に負けたくらいショックだった。
映画ではかなり違っていて微妙な感じになっていたけど、ウルトラマンがゼットンに負けたことを知っている人なら納得すると思う。
全体的な印象としては、面白かったけどところどころ眠くなる不思議な映画だった。
他の映画で例えると、サービス過剰で、ずっと最初から最後まで戦っているカンフー映画みたいだった。
最初は見事なカンフーの技とバトルに感動するんだけど、だんだん飽きてきて眠くなってくる。
だけどバトルそのものはかっこいいので、そんなにつまらなくもないというような感じだった。
時間がないのはわかるけれど、途中にバトルを盛り上げるための落ち着いた人間ドラマ的なものがあったら、もっとよかったのかもしれない。
万人が楽しめるのでなかろうか。しゅわっち。
ネタバレあり
映画館にて
ウルトラマンの知識
・三分で効果が切れる
・しゅわっち
以上
全く知識ないけど楽しかった。
明らか中心人物なのに今あなたが助けに行く!?
って思ったら案の定。
真剣なしゅわっちわろ。
片腕上げて地上に降り立つシーンや飛び立つシーンがシュールで好き。
ウルトラマン力持ちだし敵のビーム跳ね除けるしつよつよ。
長澤まさみが大きくなる、スーツかなんかのCMは見てたけど、
まさか本編でも人間の姿形のまま大きくなると思わんやんw
宇宙での戦いでウルトラマンが盾持って戦うシーンはエヴァみ。
時空の狭間?のぐねぐね感がいい感じにウルトラマンみあってよかったと思います。
昭和のアニメ感。
おもしろかったです。
シンモスラ期待。
22.5.29 映画館
この二日後映画館休業すると思わんやん・゜・(つД`)・゜・
お願いだから復帰してほしい
駆け足感は否めないが
かなり楽しめた。各種オマージュがいい。怪獣を禍威獣、科特隊を禍特対など無理矢理感はあるが面白く変更している。禍威獣は既に討伐されたものも多いが、ネロンガ、ガボラと登場して来る。しかし2体だけである。中盤以降は外星人ザラブとメフィラスのやり取りがメインとなることもあり、弱腰外交な日本政府の情けない姿が描写されるなどより禍威獣をもう少し見たかった感はある。
113分という短い上映時間故に仕方なくはあるのだが、どうしても神永というかウルトラマンのキャラが掴めなかったのは残念なところ。神永が子供を庇って命を落とし、そのことから人間というものにウルトラマンが興味を持つまではいいのだが、ゾーフィと対峙してまで守ろうとするほどなのか?という部分が引っ掛かる。禍特対の面々もキャラはいいのだが、その魅力を伝えきるにはやはり尺が足りてない感がある。神永とバディを組む浅見もウルトラマンの正体を知ってから交流していくことになるので、絆を深めるという感じが無い。そもそもザラブのせいで神永の正体がバレて雲隠れするので、交流するシーンも希薄なのだが。もう正体バレるの?と思ってしまったが、動画をネット公開するという手法は今風らしくていい。
ウルトラマンの最後といえばお決まりゼットンなのだが、ゾーフィが人間を地球ごと破壊するために用意した生物兵器という設定になっているのは面白かったし、1兆度の熱球を採用しているところもポイントだ。太陽系が一瞬で消滅するこの設定を持ち出したことは評価したい。尺が足りていないせいでウルトラマンが人間の可能性を信じる理由が弱過ぎたのが残念なところ。
あと、生物兵器として人類は有用という話がメフィラスとの主要な話だったのだが、そのメフィラスを見逃してしまうのは違和感が強かった。ウルトラマンに出て来たメフィラス星人は、地球人の心を屈服させられなかった故に地球侵略を諦めて引き分けという形で立ち去った。しかしこちらのメフィラスは生物兵器として人間が有用だから独占したいという考えなのだ。つまるところ1000人ばかり拉致して繁殖させれば独占は無理にしてもかなり優位に立てる。その後、結果的にゾーフィの目的が地球の破壊になったが、それもこの時はまだ分かっていないことだった訳で、ウルトラマンの思考どうなってんの?というのは疑問に思えた。
これはシンシリーズの特徴であるエヴァ調ながらもかなりの部分がウルト...
日本人だからこそ生み出せるウルトラマン哲学
空想と浪漫。そして、友情。
生粋のウルトラシリーズファンです。
現行の最新作トリガーまで鑑賞しております。
2022年の邦画に於いて最も待ち望まれた作品ではないでしょうか?
公開前に総監督が庵野秀明ではなく、樋口真嗣と聞いて少しだけ不安にもなりました。
樋口真嗣は特技監督としての手腕は信じてます。
しかしかつてシン・ゴジラが、あれ程までの傑作になれたのは、庵野秀明が邦画のテンプレを破壊する為に俳優陣に忖度しなかったからこそ。
樋口真嗣は優しすぎるので邦画の悪い癖が出てしまうのではないかと疑ってしまいました。
しかしそれは全て杞憂でした。
樋口真嗣監督の元、スタッフ・キャストの皆様の熱意は充分に伝わって来ました。
以下、本作の良かった点と悪かった点を。
【良かった点】
○何よりも作品の方向性が素晴らしい
私的にゴジラとウルトラマンは戦争を体験した日本人が生み出した人類哲学の総括に位置する作品だと思ってます。
ウルトラマンは「人類とは何なのか?」を常に説いてきた作品です。
PVにも映っていた「野生の思考」が正にそれです。
ここでウルトラマンを構造主義的観点で描こうとする部分に庵野秀明の熱意が伝わって来ました。
ウルトラマンの精神面から観測した人類。
人類の精神面から観測したウルトラマン。
ウルトラマンを見続けてきたあらゆる疑問への解答が心地良いです。
特にウルトラマンとメフィラスの問答は、必聴かと思います。
我々、人類の視野の狭さに忸怩たる思いを抱きました。
○禍威獣と言う名の美しさ
長らく我々が「怪獣」と呼び、書き続けて来た言語が更新された。
既存の言語が変化する事は国の文化が豊かである証左だと思っています。
ここに日本文学と禍威獣の双方の密接性と美しさが現れている。
ゴジラが現実の国難の度に真価を発揮するようにウルトラシリーズの禍威獣が、新たな語彙を獲得した事に意味があると思う。
○圧倒的なCG・VFX表現
日本では優秀なCGクリエイターがゲーム業界に流れていく傾向にあります。
それ故に国産ゲームの映像は世界トップクラスなのに対して邦画は、大きな変化が見られない現状。
しかしそんな不安を払拭する見事な表現でした。
ウルトラマンを筆頭にネロンガ、ガボラ、ザラブ星人の映像が素晴らしい。
レジェンダリーのモンスターヴァースに劣らない生物の躍動感が表現されていました。
又、破壊描写も圧巻!
予告にもあった山を穿つスペシウム光線の他に建造物の破壊描写の緻密性も素晴らしい。
しっかり夜間の市街地、工業地帯とお約束の場所での戦闘シーンは最高です。
八つ裂き光輪が回避された後の工業地帯への被害描写なんて堪らない!
○鷺巣詩郎の音楽
エヴァやシン・ゴジラ同様に映像より目立たず、かと言って印象が薄くもない。
映像をより引き立てる素晴らしい役割を果たしていました。
又、劇中曲がオリジナルから引用して来たものばかりで終始ニヤニヤが止まりませんでした。
選曲をした人物は言わずもがな。
○登場人物の台詞
この言葉選び、語彙表現に関しては安定の庵野秀明脚本でした。
部分的に一般層が好みそうな台詞が組み込まれてはいるものの、
全体的に昨今の邦画業界のありきたりな台詞に媚びず、
観客の知性を信じ、引き上げる表現に好印象。
物理学、生物学などあらゆる専門学の単語の羅列は、シン・ゴジラを思い出して心地良い。
○感情移入と共感性の意義
昨今の観客は感情移入を人間ドラマによる登場人物への没入感を指し示す人がいるが、それは間違いである。
それは共感であり、感情移入とは総合芸術たる映画に於いてあらゆる要素に適用されるもの。
基本、日本人は無表情であり感情を爆発させながら会話はしない。
今の邦画は、役者が演技をし過ぎて逆に不自然。
だからこそシン・ゴジラでは、役者に演技をさせなかった。
それにより登場人物に共感出来なかった人々がいた。
それはそれでいいのですが、もう少し映画鑑賞のフォーカスを変えるのは如何でしょうか?
今回、フォーカスするべき点は
「ウルトラマンから見た人類」と「外星人から見た人類」、そして「禍威獣から見た人類」です。
ここを念頭に鑑賞すれば、この作品全体に感情移入が出来ます。
何より主人公はウルトラマンです。
ウルトラマンの気持ちを汲んで下さい。
○禍威獣のデザイン
いずれの禍威獣・外星人もオリジナルモデルを無理のないリアリティある造形に落とし込んであり、禍々しくも美しい日本の怪獣観が損なわれていなかった。
人間の発想は完全なる自由ではなく、現実世界と地続きのイメージの基に生物学的な成り立ちを露呈してしまう。
人間は形態学的感性から抜け出せないものだが、今回の禍威獣達は正に人間の感性への挑戦となっている。
私的にガボラとメフィラスのデザインが、とてつもなく素晴らしいと思う。
又、禍威獣達が放置された生物兵器と云う解釈も良かった。
何故、「ネロンガやガボラが酷似しているのか?」への解答でもある。
メタ的にスーツを改造して新規怪獣を生み出した先人達への敬意にも感じられた。
○禍特対
人間ドラマを省いてきたシン・ゴジラに似て非なる構成に拍手。
過剰な感情表現はなく、合間に然り気無い仕草や最低限の感情の暴露だけで友情を強く実感出来た。
シリアスとコメディのバランスも絶妙。
また出演者の中にシン・ゴジラの馴染みの俳優さんを配置する遊び心。
○冒頭の演出
ウルトラQ、ウルトラマンのあの演出が始まったらと思ったら「シン・ゴジラ」に笑ってしまいました。
また禍威獣第1号がゴメスだったのも最高です!
何からに何までウルトラマンファンを絶対に楽します気満々で良かったです。
○ゼットン
先ず誕生経路が、ウルトラマンを通じて哲学をして来た人々の答えが形となった事に嬉しくも切なくも感じた。
ウルトラマンはいずれの人類の敵となる。
否、正確には宇宙に害を成す人類が宇宙生命の敵となると言うべきだろう。
こうなるであろうファン達の考察通り、今作のゼットンはゾフィーによって生み出された。
天空のゼットンを傍目に日常を続ける風景は、現実世界と何も変わらない。
ゼットンのデザインも完璧であり、原典のゼットンの攻撃パターンを見事に再現している。
攻略法もウルトラマンファンならニヤリとする。
「ウルトラマンと人類が協力すれば倒せない敵などいない」。
ここはウルトラマンメビウスを観て来たファンならば胸に込み上げるものがあるかと思います。
○ウルトラマン
先ずはデザインですが、成田亨先生へのリスペクトが無ければ、完成しなかった完璧なるデザインです。
カラータイマーと覗き穴を無くしたのは英断。
成田亨先生が思い描いた「真実と正義と美の化身」たるウルトラマンをこうして拝める日が来ようとは...
圧倒的に美しいデザインに感無量です。
エンドロールに成田亨先生の名前が出た時は泣きそうになりました。
カラータイマー無しの活動限界をボディラインの色で表現したアイデアが良かったです。
スペシウム光線、八つ裂き光輪の表現も文句なし。
長らくファンの間で議論された「人格の主導権はウルトラマンなのか?ハヤタ隊員なのか?」についても今作はハッキリしていた。
○結末
続編も作れる結末ではありましたし、考察が捗ります。
ウルトラマンの自己犠牲、人類への想いに胸が熱くなりました。
ウルトラマンの期待を裏切りたくない気持ちで胸がいっぱいです。
仲間が見守りつつ、エンディングへの流れは余韻が残ります。
【悪かった点】
○ウルトラマンの戦闘時に於けるCG
シン・ゴジラ同様に意図的に嘘臭い表現している部分は分かります。
が、やはり偽ウルトラマンやメフィラスとの戦闘時は、明らかなCG臭さが目立っていました。
全体的に一般的な映画レビューではなく、小論文に近い投稿になってしまいました。
しかし冒頭に書いたようにゴジラと同様にウルトラマンとは人類学であり、現実に於いて思考する事のない複雑性を帯びた命題を投げ掛けてくれる素晴らしい作品です。
故に必然的にこのようなレビューとなってしまいます。
人類とは何者なのかと問われた時、怪獣を引用して解いてきたのが日本人。
それは戦争を経験し、戦後は荒廃した祖国の姿を見た人々だけが理解出来る哲学なのかもしれません。
しかし私は、このシン・ウルトラマンが提示してくれた疑問や哲学に深い敬意を表したいです。
ゴジラやウルトラマンを生み出した日本人だからこそ描ける普遍的な人類哲学があると再度知る事が出来て本当に嬉しかった。
最後に...
「空想と浪漫。そして、友情。」
このキャッチコピーに偽りなし。
長く続くウルトラマンをこのような形で生み出してくれたスタッフ・キャストの皆様に感謝を。
そしてウルトラマンと出会えた人生に感謝を。
オタク的ギャグの乱れ打ち
よく言えば、通好みのネタがそこかしこに。
元祖『ウルトラマン』系のネタは、他の方のレビューを参考にしていただくとして。
個人的にはまったのが、そのチープ感。
ソフビを飛ばしている?とか、
切り抜いた変身写真を、アニメーションの如く徐々に大きくしていくだけでなく、小さくなっていくシーンとか。
嬉しくなってしまうリスペクトに溢れている。
それだけでなく、本歌取り・借景の要領なのか、
この役者を使うことで、他作品のイメージを思い出させて「ぷぷぷ」となるシーンも。
山本氏と西島氏とくれば『きのう何食べた?』が浮かんできてしまう。こじゃれた居酒屋で密談する相手こそ違うが、画面の中にすねたジルベールを探してしまう。
田村達が各国のエージェントに監視されるシークエンスがあるが、演じる西島氏も公安警察等スパイがらみの映画に出ているし。
長澤さんは『コンフィデンスマン』の、詐欺師的なうさん臭さを振りまいて、物語をかく乱させてくれるし。
田中氏はどうしても『八日目の蝉』の不倫男のイメージが抜けなくて、あちらにもこちらにもいい顔していそう。
嶋田氏は『謝罪の王様』と同じく、国難に対し誠実に悩む総理大臣。『謝罪の王様』とは違い、総理大臣のパフォーマンスはなかったけれど。それだけでも嶋田氏のファンとしてはうれしいが、実相寺監督の『帝都物語」で怪人加藤を演じて、強烈な映画デビューを飾った嶋田氏がこの映画にも出ているって!いつ「我を崇めよ」と豹変するのかと期待してしまった(映画が違うってWWW)。
『シンゴジラ』関連も至る所に散りばめられているし。
と、トリビア的なネタでは楽しめるものの、物語パートは薄っぺらい。
浅見が着任早々、神永に”バディ”を強要するが、”バディ”って、二人で仕事すれば”バディ”なの?お互いが一緒に行動する中で徐々に信頼していくものなのではないか。”信頼”を安売りして押し付けるのって詐欺師の常とう手段…。
セクハラショットを問題視しているレビューもあり、賛同するが、やたらなボディタッチも不快。
映画の中では数値化されないとされる臭覚は意表をついたネタだと思っているのかもしれないが、数値化されているよ。
全部”おもしろい”ネタだと思っているところがげんなり。
外星人が、地球の人類の精神発達の幼さを指摘し、排除しようとするのは、
手束先生の『ワンダー3』を始め、ウルトラシリーズでも使い古されたネタだし、
ウルトラマンの地球人愛も今更なテーマだし。
(ちゃんと踏襲して制作されていることは嬉しい)
"らしい"台詞でまとめるのではなく、もう少し脚本を練って欲しかった。
機内鑑賞。
大画面で見たら、音響の良い映画館で鑑賞したら評価は変わるのかなとも思うが、時間とお金を使って観る気がしない。
観るのだったらオリジナルかな。
全1267件中、41~60件目を表示










