「ツッコミどころは満載だが、突っ込む必要なし。」シン・ウルトラマン 休憩王さんの映画レビュー(感想・評価)
ツッコミどころは満載だが、突っ込む必要なし。
オリジナルのウルトラマンはそれはそれで、これはシンウルトラマンなので、今の時代に登場させるとどうなるかというトライアルとして観ました。いいんじゃないでしょうか。楽しい時間を過ごせました。
地肌なのか衣服なのか。巨大化のメカニズム。カラータイマーは元から付いているのは変だろう。などなど、TV版の色々な突っ込みどころを解決しようとしてくれました。
その上で、CGを駆使した、実際に戦ったらこうなるよなと納得できる格闘シーン。交渉で迫ってくる宇宙人たち。いいようにされてしまう政治家。ゼットンの新解釈。新しいウルトラマンのベースを作ろうとする意欲も楽しめました。
変身の時の効果音や最後のゾーフィとの対話、何故か自分の名前を言うゼットンなど、オールドファンへのサービスも忘れず、気遣いの跡が伺われます。
ゼットン破壊後の脱出シーンを観て、トップをねらえ!の第6話、ガンバスター脱出シーンを思い浮かべたのは私だけでしょうか。
結局今回はゾーフィが命を二つ持って来なかったのでウルトラマンは自らを犠牲にし、死んでしまったということでしょうか。TV版でハヤタの記憶が飛んでしまっていたことに子供ながらがっかりしたのですが、今回はどうなのかな?色々なその後の想像の楽しみものこしてくれました。
私はトップをねらえ!で庵野監督の素晴らしい才能に驚嘆しましたが、エヴァンゲリオンで落胆していました。しかし今回のシンウルトラマンで次の仮面ライダーへの期待がふくらんでいます。
色々突っ込みどころや不満はみなさんおありでしょうが、レトロな空想特撮モノをここまで魅せてくれたのは素晴らしい。楽しめたらいいんじゃないでしょうか。
いちばんえげつないのは光の国だというのも、なかなか皮肉が効いている。地球に来たばかりのウルトラマンが妙にクールで暖かさを感じないのはそういうことだったのね。地球人と共に暮らす中で暖かい人間性を学び、本国に反旗を翻すなど、発展することで失うことってあるよね、というのも感想のひとつです。