「あくまでオマージュって言う事で・・・」シン・ウルトラマン wamwam2000さんの映画レビュー(感想・評価)
あくまでオマージュって言う事で・・・
庵野さん監修っていうのもあり、やはりエヴァ的な要素が随所に見られる作品です。
怪獣の登場の仕方もなんか使徒が襲来するパターンとかぶってるなーって思ったら、もともと地球でずっと眠っていた怪獣が自然破壊が原因で目覚めちゃったった的な事をメフィラスが言ってて、なるほどここでも人類がいかんのね人類がwってつい思ってしまいました。
ただあんな怪獣いちいち宇宙から落っこって来たらその時点で地球オワタだしねって考えると妥当かなとも思いました。
演技については小難しいセリフをちゃんと言い回せる出演俳優の皆さんの演技はさすがだなと思いました。
物語の展開は良い意味でも悪い意味ではしょり気味の印象でした。
おそらく2時間でなんとか収めたかったのかな?っていう意図が感じられました。
ただテンポは良かったので、それほど不快感はなかったです。
他のヒーローものでは割と曖昧な解釈で済ますところを、小難しい言葉をつかっていかにも明確な根拠があるかのように視聴者に伝えているところは、良くも悪くも庵野さんっぽいな〜って感じました。
神永さん(ウルトラマン)がゼットンに立ち向かう時、タキくんに「ベータカプセル」の構造理論(?)を保存したUSBメモリを託したところは、ちゃんとタキくんの役割や気持ちをわかっているなって感じました。
思えば、ゼットンに立ち向かってボコボコにされたのも、物理学を選考していた彼にウルトラマンではゼットンに勝てないというエビデンスを与える意図もあったのかなって思うと、神永さんの方がザラブやメフィラスよりもよっぽど地球を実効支配できる資質があるなっていう邪な考えがつい浮かんでしまいました。
国家的な面で印象に残ったのは、ゼットンによって地球が滅亡し、ウルトラマンでも敵わないと判明した時、あえて国民に地球が滅亡する事を伝えなかったところが強い権力下では人は無力にならざるを得ないという、良くも悪くも日本人の性な側面を感じました。
そのシーンの中にいつも通りの日常生活を送る日本人の様子を映している場面がありましたが、もしウルトラマンがゼットンを倒すことができなかったら、ここに映っている人々は何が起きたのか全くわからずに一生を終えてしまうんだろうなって思うと、藤子・F・不二雄氏のSF短編にある「ある日」という話を思い出してしまい、ちょっぴり恐怖を感じてしまいました。
全体的にはシンゴジラと比べても、それほど深く考える部分も余りなく、オマージュ作品として比較的痛快に楽しめる作品なため、小難しい言葉のやりとりが気にならなければ、万人に受け入れられる作品であると思いました。