「庵野秀明総監修による『シン・ウルトラマン』、監督は樋口真嗣。 です...」シン・ウルトラマン りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
庵野秀明総監修による『シン・ウルトラマン』、監督は樋口真嗣。 です...
庵野秀明総監修による『シン・ウルトラマン』、監督は樋口真嗣。
ですが、忙しくって「監督頼む!」的な感じで、エンドクレジットではいたるところに庵野秀明の文字が。
「ポスターデザイン表面」とか宣伝云々とかには驚きです。
樋口真嗣は監督代行ってところかしらん。
謎の巨大生物カイジュウ(恐ろしい姿で害をなすやつ)が襲来した日本。
すでに数体のカイジュウが襲来し、「カトクタイ」なる特別組織も作られた(実働、数名)。
何体目かのカイジュウ襲来の際、仏像のような巨人が現れ、瞬時のうちに発光線で撃退した。
「カトクタイ」に新たに巨人調査係として赴任した女性職員・浅見(長澤まさみ)は、巨人を特別コードを付して「ウルトラマン(仮称)」と命名した・・・
といったところから物語で、特撮大御所円谷プロの何周年目かの記念映画でもある。
ウルトラマン世代なので、今回の企画には興味津々。
前シリーズの『ウルトラQ』を踏まえて、さらに後続シリーズ『ウルトラセブン』のテイストも加味されている。
面白い要素は多々あり、よって面白いけれど、残念なところもいくつかありました。
根本的に合点がいかないのは、ウルトラマンがカトクタイ隊員・神永(斎藤工)と同化する/した後の描写で、この映画では、神永はほとんどウルトラマンの姿を変えた存在として登場し、行動する。
ウルトラマンと同化した人間が「自分はウルトラマン」というのは『ウルトラセブン』のそれであって、『ウルトラセブン』の最終話でダンが「自分はウルトラセブンだ」と告白するシーンに驚いた者としては、「ウルトラマンでそれはないでしょう、ハヤタは最後までハヤタだったよ」と言いたい。
些末なことに感じるかもしれないが、これは本映画での神永の実存に関わって来る点で、神永にレゾンデートルが存在しないことになってしまう。
結果、今回の騒動は、外聖人(メフィラス、ザラブ、ウルトラマン)らのマルチバース人種の、地球における代理戦争となってしまい、人間が勝利する結末も「とってつけた感」が満ちてしまっている。
ま、そんなことにこだわらなければ、ウルトラマン世代としては琴線に触れる部分が多々あり面白く観れるのであるが、世代でない観客にとっては、どうなのかしらん。
空間的な説得力は皆無で、演出以上に、乱暴な脚本によるところが多く、どうにも、場面場面の面白さと、細部にこだわり過ぎた(というか説明しすぎた)脚本に難があったのではなかろうか。
想いは感じ、面白さも感じるが、「シン」というには「新」でも「真」ではなく、作り手の「心」でしかなかったかもしれません。