「人間をもうちょっと見たかった」シン・ウルトラマン デブリさんの映画レビュー(感想・評価)
人間をもうちょっと見たかった
私は序盤の銀色ウルトラマンが出てきた辺りまでが一番好きだったかも。禍特対のメンバーが男女関係なく手練れ感たっぷりに仕事していて爽快だし、ウルトラマンと怪獣(じゃなくて別の字か、まあいいか)のバトルも懐かしい気分になれてよかった。早見あかりさんのお芝居も好き。斎藤工さんはウルトラマンとか昭和ヒーローが似合う“ハンサム”な顔立ちだなーとしみじみ。
ただ、全体に人間の描写が弱かったので、ストーリーの進み方に対してキャラクターが深まっていかず、なんていうか、大きな寸胴鍋にいっぱいのスープを、丼1杯分の場合の塩で作ってるみたいな、味の足りなさを私は感じた。禍特対せっかく少人数なんだから、もうちょっと濃く描けたと思うんだけどな。
ラストももったいなく感じる。ウルトラマンが仲間だけに見送られて一人で淡々と戦って、決着がついた後はこれからの処遇を会話で決める地味地味っぷり。もうちょっと違う舞台、違う相手だったらよかった。そもそも人間よりはるかに高次な存在みたいなものを、人間が描くとどうしても陳腐になってしまう。
ウルトラマンが人間という種を大切に守りたくなる気持ちも理解できない。ダメなところもありながら愛しい存在って普通にあるけど、もうちょっとさりげなく人間ってこういうとこいいよなっていうエピソードがあってもいいのに。
セクハラ描写に関しては、巨大化時の映像を拡散する人たちの悪質さは劇中でこれはゲスな行為と明確に指摘されていたので、そこまで気にならない。お尻を叩くクセは、なんか急に古臭いクセを持たせてるけど、別にそういうキャラでもないんだよな、という違和感があった。それに、何を撮ってるのか一瞬分からないほど寄った画もあって、その撮り方もまた違和感。
シン・ゴジラはWOWOWとかで流れてるとつい観ちゃうんだけど(BD持ってるのに)、これは二回は観ないかもしれない。