「ウルトラマン初心者でも楽しめた」シン・ウルトラマン といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
ウルトラマン初心者でも楽しめた
私はウルトラマンをあまり観たことがありません。幼少期にテレビでやっていた「ウルトラマンティガ」とか「ウルトラマンコスモス」とかをチラッと見ただけで、本作のオリジナルにあたる初代ウルトラマンやウルトラQについてはほぼ知識が無い状態です。
そんなウルトラマン初心者の私ですが、非常に楽しめました。
庵野さんが総監督を務めた前作『シン・ゴジラ』のような作品を期待して鑑賞したので、会議のシーンが非常に少なかったのが意外でしたが、迫力のあるアクションシーンやウルトラマンの心情変化や個性豊かなキャラクター達が際立っていて面白かったですね。
・・・・・・・・・
謎の巨大生物が突如として現れるようになった日本。災害のように街を破壊するそれら巨大生物は「禍威獣(かいじゅう)」と名付けられ、禍威獣討伐のための特殊部隊である禍特対が設立された。ある日、禍威獣討伐のために現場に赴いた禍特対の前に謎の銀色の巨人が現れ、あっという間に禍威獣を討伐する。新たに禍特対に加わった浅見弘子(長澤まさみ)はその巨人を「ウルトラマン」と命名し禍威獣と併せて調査を開始するのだが、彼女とバディを組む神永新二(斎藤工)の様子がどこかおかしいことに違和感を持ち…。
・・・・・・・・・
アニメや特撮の描写を科学的に検証する『空想科学読本』(著:柳田理科雄)というシリーズ本があります。小中学生時代の私はその本にドはまりして夢中になって読んでいたんですが、その本によって得られた知識が『シン・ウルトラマン』の鑑賞に大いに役立ちました。
特にラストの強敵であるゼットンの必殺技「一兆度の火の玉」で、私は笑いをこらえるのに必死でした。オリジナル版のゼットンは実際に火の玉を出して科学特捜隊の建物を破壊したりウルトラマンに攻撃したりしているのですが、本作においては有岡さん演じる科学者の滝が「一兆度の火の玉なんて出したら地球が一瞬で蒸発する」という台詞を言うんです。滝の説明と全く同じ内容が『空想科学読本』の中でもされています。
劇中で何度か「これオリジナル版じゃなくて空想科学読本を参考にしてるんじゃないか」って部分がありましたので、空想科学読本ファンの私はウルトラマンの知識が無くてもめちゃくちゃ楽しめました。
基本的には初代ウルトラマンのリメイクのような構成でストーリーが進みます。
ウルトラマンのファンの方はクスリとしてしまうようなオマージュが随所に散りばめられていますので、私のような初心者よりは元々のウルトラマンのファンの方が作品の楽しみは増える気がしますね。