劇場公開日 2022年5月13日

「観る人の知識量によって評価が変わると思われる作品」シン・ウルトラマン 相良宗介さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0観る人の知識量によって評価が変わると思われる作品

2022年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画の冒頭や所々で出てくるレトロ感は初代ウルトラマンを意識した敢えてのレトロ感で恐らく往年のウルトラマンファンは「これこれww」という感覚になるのではないでしょうか。
しかしウルトラマンに関する知識が何もない方には正直かなり退屈な映画だと私は感じました。

怪獣についてもシン・ゴジラでは第一形態から最終形態に至るまで人類にかなりの損害を出し人類の化学力の限界、絶望感を味合わせる演出がされていましたがシン・ウルトラマンでは冒頭では怪獣の紹介と自衛隊により倒された後の姿が映し出されるだけ、その後も山の中を怪獣が駆け回る、ミサイルでも倒せません、程度で怪獣の恐ろしさが子供向けの特撮の域を出ていません。
敢えて”シン”を付けたのならゴジラの時の様な圧倒的な脅威を感じさせて欲しいです。特に敢えて怪獣ではなく禍威獣と呼び方まで変えたのですから。

他にもレトロ感で既存のファンの心を掴むのはとても重要なファクターとは思いますがレトロ感と放射能汚染だのエネルギーがどうのこうのだの子供向けの方のウルトラマンと違い空想科学読本に出てくるような表現がある以上そこの落差が個人的には気になる所ではあったのでむしろ変身シーンや飛行シーンなどこれぞ”シン・ウルトラマン”と思わせるリアリティーある表現の方が良かった気がします。

シン・ゴジラはゴジラに関する知識が何もない人でも楽しめる作品だと思いますがシン・ウルトラマンは正直ウルトラマンについて何も知らない人が観てもついていけないでしょう。
実際私が劇場を後にする際に目の前にいたカップルの女性が「全然分からなかった」と言って男性の方が「ゼットンは本当は怪獣だったんだよ」とか色々補足説明をしていましたので・・・・

相良宗介