「特撮もエヴァも分からない、シン・素人のシン・ウルトラマン感想」シン・ウルトラマン BDさんの映画レビュー(感想・評価)
特撮もエヴァも分からない、シン・素人のシン・ウルトラマン感想
当方39歳。ゴジラ。ウルトラマン。世代じゃない。エヴァンゲリオン。世代なのにハマってない。恐らく裾野が一番広いであろう日本のベーシックなオタク文化を凡そ素通りしてしまったのに、なぜかシン・ゴジラだけは楽しく見られちゃった素人の私。「庵野節」「原作ウルトラマンへのリスペクト」的な感想が一切分からなくて悔しいので投稿。
現代日本に起きたある異変から謎解き映画のように始まったシン・ゴジラとは打って変わって、序盤から「はい、禍威獣ね。読めるでしょ?」「ほんでこっちが禍特対。そう、前もあったやつね」テンポ良く禍威獣1、禍威獣2、禍威獣3。実際それなりに苦労して倒しているんだろうけど、「はい、前回と同じ世界線で〜す」のあまりにもカジュアルなデモンストレーションに笑ってしまった。あ、今回はこうなのね。
シン・ゴジラではシリアスな映画の中に突如としてデタラメな外国語を話すカヨコ・アン・パタースンパートと言うのがあって、そこだけまるで空気感が違ってしまい物議を醸していたような記憶があるけど、今回は序盤から、特に女性登場人物は「カヨコ系」。ケツ叩いて気合い入れる長澤まさみ、ちょっと顔芸気味な若手隊員の早見あかりともに、アニメ的(こう言う表現が素人の証なんです)でコメディタッチな好演。
あ、そうか。ウルトラマンは禍威獣たくさん出てくるから、序盤からハイペースなんだね。と中盤ごろようやく気づく。「なぜか日本にしか出てこないんじゃ!」と語る政府高官。ああ、この辺はオタクじゃなくても分かる分かる。楽しい。ガボラまでがウルトラマンのイントロダクションで、ザラブ星人からは頭脳派フックがかかってくる。
情報量の多さは庵野さん(素人)の作品でよく言われるところだが、この作品は情報量のみならず、ディレクションというか全体タッチがしょっちゅう変わる。戦っていたと思ったら科学的な話になり、かと思えば長澤まさみのフェチ映画になる。原作が続き物の作品だったことに由来しているんだろうか(最後のを除く)。とっ散らかってるとも言えるし、おもちゃ箱みたいで楽しいとも言える。最後まで楽しく見られたということは、私は後者なんだろう。
そのとっ散らかり感に、さらに頭の悪さ(褒め言葉)を上積みしてくるのが山本耕史演ずるメフィラス星人の怪演。とにかく怪しい。決め台詞と怪しさ一点で、何回も何回も押してくる。最後ふつうに怪獣になって「おおワレ怪獣ボディあったんかい!(当たり前)」と思う。その後の戦闘シーンはなんだかキルビル感があって楽しかった。
ゾーフィ?うん?素人だけどなんか変だぞ、うん、ゾフィじゃ…ゼットンでっか!ええっ!げ、原作どうなの原作!ちょっとした島くらいデカい!勝つとか言う次元じゃねえ!当然負けて、病院のベッドで眠る神永が、実はゼットン打倒の重要な手がかりを残していたのであった。チャンスは一秒だけ!そしてウルトラマンもいなくなってしまう!長澤と二人で最後の別れ!でも実は復活できちゃう!この辺は王道中の王道ですね。いろんなものを詰め込みながら、最後の展開はしっかり王道なのは、原作を知らない身からしても好感を持ちました。
総じて、何これ…笑みたいなビックリ感の中、でも実は極めて日本的な王道エンタメ映画を再度楽しませていただいたと言う感じです。繰り返しますがオタクじゃないので、なんちゃらの元素記号がどうで、計算式がこうなるとゼットン倒せるんよー、みたいな話は一切分かりません。でも、分からなくても楽しめたよ。庵野先生こんな薄っぺらい私にありがとう。