「最新技術で挑む「昭和特撮」「温故知新」」シン・ウルトラマン Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
最新技術で挑む「昭和特撮」「温故知新」
ウルトラマン
1966年に放送された
円谷プロダクション制作の
特撮ヒーロードラマ
ウルトラマンのヒーロー像
毎週登場する怪獣のバリエーション
様々な面で当時の子供を夢中にし
今も続く特撮の代表的なシリーズ
シン・ゴジラの流れでもって
立ち上がったであろう企画だが
製作陣の樋口真嗣・庵野秀明氏らに
とっても思い入れはこれ以上ない題材
果たしてどうだったか
感想としては
最新技術で昭和特撮に挑みつつ
温故知新を観た人に伝え
CG時代のマンネリ化にも一石を投じる
良い出来だったと思います
馬鹿正直に再現したんだなと思いました
ちょっと前に公開された
「サンダーバード55」は本当に
当時の撮影方法や技法を再現して
撮っていましたが今作は
CG技術でもって積極的に
昭和特撮に寄せていますが
雰囲気自体は近代のものです
ウルトラマンのいでたちも
成田亨氏の原案に忠実な「仏像」
をイメージした表情
筋肉が浮くような今っぽいものに
しがちなところを逆にスーツの
しわ等を細かに再現
表面の光沢までこだわった感じ
それが全く古く感じず
これが伝説のヒーローなのかと
印象付けるには十分でした
アレンジではなく復元と
言うべきでしょうか
作中のモーションもスーツアクター
が動作したときのそこまで
関節可動域が広くない感じ
飛行ポーズのミニチュアを
天吊りして撮っていた
当時の飛び方まで再現
していたのは感心しました
これを「しょぼい」と感じる
若年層もいるのでしょうが
こうした方が画面を見つつどこか
脳内で補完して観てる
子供の頃の感覚を思い起こさせる
気がしました
役者の演技まで徹底してます
シンゴジラ並の他カット割の早口演技
は相変わらずで「なにいっ!?」
などの非常にわざとらしい演技
ハイテンポのストーリー展開
ここまで元のウルトラマンなのです
役者に自由に演技なんかさせません
それでいてあたかも庵野氏要素
エヴァの元ネタがウルトラマンだから
エヴァっぽいとは言いたくないのですが
ゼットンの「最終地球殲滅兵器」感への
アレンジなどはエヴァっぽい
禍威獣が日本だけを襲いに来る
地球の命運かけて戦ってるのに
世間は妙に平穏
そんな子供心にも疑問に思っていた
であろう部分にもちゃんと考証入れて
ファンサービス(?)
人物描写やストーリーの深みを
もたらす(ように見えやすい)
感情演技はなく淡白に感じる客層も
いるでしょうがそのへんの評価の
別れ方もシンゴジラの時に似ていると
思います
こうした日本・昭和の遺産の再構築
によって古いウルトラマンに興味を持つ
人がいればこの作品の意義も大きい
のではないでしょうか
実際自分は元シリーズ見たくなって
最初から見ています