「映画館で観るべきウルトラマン愛にあふれた作品」シン・ウルトラマン SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で観るべきウルトラマン愛にあふれた作品
最高のウルトラマン。こういうのが観たかったんだよ、というウルトラマンが観れた。
ウルトラQとウルトラマンへの愛にあふれまくった作品。
こんなに元の作品への愛があふれたリメイクがあっただろうか?
庵野さんだからこそ作れたのか…。
特撮映像もすばらしい。映画館の巨大なスクリーンで観るべき映像。
当時の特撮技術だからこその苦肉の策としてのシュールな映像が、こんなにもかっこよく素晴らしい映像になるなんて。
元ネタを知っていれば知っているほど面白い。
もちろん元ネタを知らなくても面白いだろう。
はじめのウルトラマンと次に現れたウルトラマンの口元のデザインの違い、怪獣のデザインの使いまわし、ゼットンの1兆度の火炎球など、予算の都合や設定ミスと解釈するのが妥当なところを、逆に活かしたストーリーにしているところで、本当にウルトラマンの大ファンたちが、楽しみまくってこの作品を作ったんだな、と感じる。
5,60年前の映像、音楽、演出を現代に活かすことで、ハリウッドのまねではない、独特な世界観をつくることに成功している。
着ぐるみっぽい身体の質感までもかっこよい。
のどかな公園や居酒屋で外星人と話すシーンなど、何と名付けたら良いか分からない感情になり面白い。
ストーリーもテンポの良い展開で、最後まで飽きない。そこを削っちゃう?というような思い切ったカットがあるからだろう。たとえばウルトラマンと人間との融合シーンはなかった。
ウルトラマンの体色(カラータイマーの設定)、ゾフィーの役割り、ゼットンの大きさの変更については驚かされた。しかし変えるべきところは変えてオリジナルより面白くなり、テーマは変えていない、というところがすばらしい。
ウルトラマンがいると人類は自分自身の無力感を思い知り、また、ウルトラマンにたよるようにばかりなってしまう、それではダメだ、というオリジナルでもっとも重要な根幹のメッセージはそのままだ。
ヒーローものへの批判として、他力本願の考え方になってしまうからダメだ、とよく言われるが、最も有名なヒーローものであるウルトラマンは、それとは真逆のテーマをもっている。