「【”ウルトラマンが身命を賭して、愛してしまった人類に伝えた事・・。”今作は日本が世界に誇る円谷プロの空想特撮映画を、庵野秀明氏が独自の世界観を反映させ、更に深化させた作品である。】」シン・ウルトラマン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ウルトラマンが身命を賭して、愛してしまった人類に伝えた事・・。”今作は日本が世界に誇る円谷プロの空想特撮映画を、庵野秀明氏が独自の世界観を反映させ、更に深化させた作品である。】
ー オープニングから、ウルトラQのオープニングを彷彿とさせる、油絵具(だったかな・・)を溶液に解いた映像を逆廻しにした、懐かしきオープニングに、内心、心躍る。
そして、待ってましたの、ウルトラマンの登場。
だが、身体に真紅の模様が入っていないし、カラータイマーもない。
今作はオリジナルへのリスペクトをふんだんに織り込みつつ、庵野秀明氏が独自解釈を入れた作品になるのだろう・・と推測する。
オリジナルシリーズに出て来た比較的マニアックな怪獣(今作では、禍威獣)や人間臭い宇宙人(今作では、外星人)のザラブ星人や、メフィラス星人の姿を堪能した。
そして、科学特捜隊ではなくって政府諸機関から出向した人々で構成される禍特対のキャラの立ったメンバー達が、次々に現れる禍威獣たちに右往左往しながら、日本を守ろうとする姿も・・。ー
◆感想
1.前半はコミカル要素を微妙に絡めながらも、大真面目に物語は進む。
・禍特対室長(田中哲司)が、重々しい表情で”禍威獣は、何故か日本にしか現れないんだ”と言うシーン。
- 私は、ウルトラマンのリアル世代ではないが、”何で怪獣は日本にしか出現しないんだ!”と再々放送を見ながら、小学生時代、頭の片隅で思っていたモノである・・。-
・禍特対メンバーが”禍威獣の名前は誰が決めるんですかね?”と聞くと、禍特対班長(西島秀俊)が、笑みも浮かべずに”防衛大臣の趣味だそうだ・・”と答えるシーン。
- ネロンガが登場したシーンでの会話だが、クスリと笑ってしまう。パゴスとかガボラとか・・、センスがあるんだか、ないんだか・・。-
2.それまで自力で禍威獣たちを、斃してきた禍特対メンバー。だが、電気を捕食するネロンガ登場の際には、苦戦。そこに現れた紅い光の玉が天空から落ちてきて、現れた謎の巨人。
- 禍特対メンバーの神永(斎藤工)が、子供を助けようとし、爆風に吹きとばされる。オリジナルに敬意を表したシーンである。そして、ウルトラマンが神永の行動を見て人類の善性に触れた瞬間を描いた重要なシーンでもある。-
3.ザラブ星人に簡単に言い含められる首相や大臣たち。・・おいおい・・。
- ザラブ星人が化けた、偽ウルトラマン登場。
だが、オリジナルと違い、目と爪先が釣り上がっていない。独自解釈シーンだね、庵野秀明さん・・。-
4.更に、メフィラス星人登場。
物腰穏やかで笑みを絶やさずに、人類に取り入ろうとする、野心を抱えるメフィラス星人の人型姿を山本耕史さんが絶妙に演じている。ナイス・キャスティングである。
■今作が面白い点は幾つかあるが、ザラブ星人やメフィラス星人とウルトラマンが交わす外星人から見た、人間(ホモ・サピエンス)についての会話である。
勝手な推測であるが、企画・脚本、総監修を担当した庵野秀明さんの、現在の人類に対する考えが詰まっているように思えたシーンである。
■更に、べーターカプセルを使っての神永がウルトラマンに変身するシーンの懐かしさに胸躍り、メフィラス星人が提案して来たべーターシステムを使った人類巨大化計画なども、オリジナルに敬意を表している。
- 神永のバディでもある浅見(長澤まさみ)が巨大化するシーンは、フジ隊員巨大化シーンへの完全なるオマージュだよね!。-
■一番の見所は、ゼットンとゾフィ(劇中では、ゾーフィと言われていたが、敢えてゾフィと記す。)との関係性の新解釈である。
ゾフィは、ウルトラマンが、自分が最初に登場した際に爆風で吹き飛ばされた神永と融合した事は”光の国”では禁じられていた事であり、ウルトラマンの行為により、マルチバース(ここで、この言葉が出て来るとは思わなかったよ。)の全ての生命体に人類が、生物兵器への転用が可能である
事を示してしまったと諫める。
そして、ゼットンを出現させ、人類を滅亡させようとする。
ビックリの展開である。
それに対し、人類は虚脱感の中、何もしない。
だが、ウルトラマンは神永の姿で禍特対メンバーに対し、べーターシステムの原理を活用したゼットンを斃すためのヒントをUSBメモリーに入れていた。
この辺りは、脳内フル回転で鑑賞する。
そして、ウルトラマンが言った事。
【私は万能の神ではない。君達、人類の全てに期待する・・。】
<そして、禍特対メンバーの滝(有岡大貴)が、必死に世界中の科学者たちと、(滑稽な姿に見えたが・・。)バーチャル会議で遣り取りし、ゼットンを斃す方法を考え出す。
だが、その方法は、ウルトラマンが永遠にいなくなってしまう可能性を秘めていた・・。
今作は、オリジナルシリーズに敬意を表しつつ、庵野秀明氏の独自の世界観を反映させた作品でもあるのである。>
■それにしても、スペシウム光線のリアル且つ迫力ある映像には胸躍り、八つ裂き光輪という渋い技でザラブ星人をやっつけたり、登場する禍威獣選択の渋さよ。
だって、普通に考えたら、ゴモラとか、バルタン星人は必須で登場でしょう。
庵野秀明氏、矢張り拘りの職人だなあ・・。渋いなあ・・。
あはは。
まったく気にしておりませんのにわざわざ恐縮です(笑)
「負けず嫌いのNOBUさん」を刺激してしまったレビューだったかな?と悦に入るだけでございますよ。(むふふ)
ダダ漏れのご配慮痛み入りますw普段、身バレには非常に気を使っているので大丈夫かと思うのですが、敢えて危険を冒したのはNOBUさんが「叱られた〜」と仰ったのと岐阜のご友人トピックへのご返杯。普通は書きません^ ^
それに、今の私は故あって経営からは身を引いているので(病気の為じゃないんですよねー。憂き世です、色々と)名前を見かける事もなかろーとは油断してますw
「◯◯と愛◯」(伏せ字にすると日活ロマン◯◯◯的なw)NOBUさんが観に行かれるなら、相方に内緒でこっそり行こうかなー、とも悩みましたが、ダダ漏れ注意報が警報に危険度upしてしまいそうなので、涙を飲んで止めておきますねw
NOBUさんのレビューはもちろん拝読しに伺いますよ♪
NOBUさんも、流石お詳しいですね。
神永が子供を庇って犠牲になるシーンは帰ってきたウルトラマン。メフィラスとの人間くさいやり取りはセブンのメトロン星人など、説明抜きでもオーバーラップする原典の話でウルトラマンや人物の心情やメッセージがすべてわかる見事な構成でしたね。
総集編やダイジェストというコメントも結構多いですが、それは違うなぁと思います。(でも、観客全員にTVのウルトラシリーズ観て来い、というのは酷だから不親切な映画なのは否定出来ませんねw)
どなたかが、主人公=庵野秀明。
浅見=庵野モヨコ。
滝=樋口監督
。ゾフィー=宮崎駿の投影というニュアンスの事を書かれていましたが本当にそう思います。
ですから庵野さんは、神永と浅見のロマンスまで盛り込みたかったのでしょうけれど、樋口監督にはそこまで台本からは読み取れなかったと推測する次第です。
実相寺アングルも無駄に多いし、庵野さん、ご自身でディレクションなされば、また違ったのでしょうにね。
でも、十二分に満足出来る素晴らしい作品でした。
とても楽しかったですよね^ ^
遅ればせながらシアターでの鑑賞に間に合いましたー。
いや、それにしても凄いレビューの数ですね。自分のレビューupしてから日付の新しい順に遡って読んできましたけどNOBUさんに辿り着くまで1週間かかりましたよー(笑)
過去にも1000のレビュー通読経験はありますがその時は一晩かからなかったはず。いやはや、熱量の高いレビューが多いからでしょうね。暇を見つけてではありますが1日100チョイがせいぜい。改めてウルトラマンという作品が如何に日本人にとって大切かを再認識する思いです。
かくいう私も5千字程度じゃとても足りない〜w
リピア登場の瞬間、アントラーの時の「ノアの神」が浮かんだとか(ノアの神、カラータイマーないし、全身灰色一色だし。石像だからw)
初めてスペシウム光線を放った時の「溜め」はタロウ第一話のストリウム光線を思わせるなぁ、とか書きたい事は山ほどあるのにw
素晴らしい! ゼットンとゾーフィの関係、ストーリーの背後にある伝えたいこと! そこまで含めてウルトラマンへの愛に溢れるナイスレビュー! このレビューも観る前の私をワクワクさせる原因となったレビューの一つです! ありがとうございました。
NOBUさんごめんなさい🙏
何故か押し忘れていました。
あの方が巨大化したのはビックリしましたね。
見上げてごらん 夜の星を
見上げんなよ‼️
実相寺監督は大好きです。ダークで不安を煽る画角。庵野さんも影響を受けています。多分。
コメントありがとうございます!
小ネタはよく分からなかったので、詳しいレビューとても参考になります。
本当にウルトラマン大人気ですね。批判的レビューにも大抵愛を感じます。