hisのレビュー・感想・評価
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身構える必要のない描き方に光る監督のセンス、偏見の世界を泳いでいることに気づく
恋愛映画の名手、今泉力哉監督の最新作『あの頃。』公開にちなんで鑑賞。同性愛が題材だけに身構えていたが、それ以上のモノを突きつける優しい映画で、心が優しくなったような気がした。
迅は、自分がゲイであることを隠すことが最善であると考え、岐阜でひとり暮らしていた。そんなある日、かつての恋人の渚が、8年ぶりに現れる。子どもを連れて…。ここで描かれるのは、同性愛を入り口としながら、"偏見"を主軸に置いている。だから、他人事では全くなく、むしろ作品全体から、受け入れることへの葛藤と決めつけの危うさを炙り出している。その際、人の優しさが浮かび上がることで、暖かな作品へとまとめている。個人的には今泉力哉監督を、「時」「空」の使い方がうまい監督だと思っている。長回しから生まれる緊張感などの「時間」、距離感で雰囲気と感情を繊細に綴る「空間」。この2つがリアルかつ深いテーマへと誘う。よって、余韻と心に届くような作品の柔さを生み出している。こんなテーマだからといって、身構えることがナンセンスであり、意とせずとも色眼鏡はかかった世界を生きているのだと改めて気づいた。同時に、純粋たる子どもの土台にこそ、同性異性と隔てることのない価値観を生み出すことで、この世の新たなスタンダードが出来ていくのではないかと思った。
今のところは、まだまだ同性愛への理解が足りていないのが日本の現状。国の偉いお方がポロリと言ったのも、日本の風潮が根底にあることは否定できない。だからこそ、受け入れる器と勇気が、我々にも必要なのだ。愛を伝えるのが一層難しくなった今だからこそ、優しくなりたいと思える。
この歳になると、男も女も分かりゃしねぇよ!しゅん、長生きしろよ
○最初はお互いのエゴだったけど、だんだんそらちゃんが主軸で話し合いが進んでいくのがよかった
○誰の気持ちもわかる
○裁判のシーンが多いけど、展開に目が離せなかった
○「誰かに影響されるのが人生の醍醐味ってもんだ」
→大好きで大切だけど、きっとこれから疎遠になってしまう人、もう会えないかもしれない人が私には沢山いて。どうせ別れるのなら関わらずにいた方がいいんじゃないかって思ったりして。でも、影響されて変わっていった自分自身が、その人といた証なんだなって思って泣けた。
○「この歳になると、男も女も分かりゃしねぇよ!しゅん、長生きしろよ」
○東京の飲み会のシーンがリアルだった
○チョコレートドーナツみたいにならないかと心配だったけど、誰もがそらちゃんを愛していたのがとてもよかった
○弁護士が心の奥の部分をずばずばと刺してくるのが痛かった
○パパがママに謝って、しゅんくんとママとパバが一緒になって過ごす、それが実現できて良かった
○結果、そらちゃんの望む形に極力添わせたのが良かった
○主題歌がよかった
○田舎暮しの心地良さがあった
愛があふれる作品
「愛がなんだ」で今泉力哉監督のファンになり、彼の作品の多くに触れてきたけど、こんなに心を揺さぶられた作品はない。三回観賞して、見るたびに涙の量が増えてくる。この監督の脚本による言葉たちはなんて優しく深いのだろう。これしかないだろうというキラキラした言葉に鷲掴みにされる。妻も片想いの彼女も、いとおしい存在。もちろん子役の天才的な演技には驚嘆させられた。この作品は長く宝物になると思います。
誰の人生も肯定されて良いはず、か。泣いた。
誰の人生も肯定されて良いはず、か。
泣いた。
友、恋愛、子供、仕事、結婚、都市と地方、死、凡そ考え得る人生要素を最適群像サイズと物語量でピタリ語り切る今泉力哉。
物語牽引の子役は巧くないから見られるという英断。
松本若菜、令和のメリル・ストリープと評す。
世の中と自ら
自分に偏見が全く無いかと問われたら、
無いと言い切れない。
世の中と自らがこの作品に触れ、その偏見が少しでも変わるきっかけになると思う。
白川町の人々のように、受け入れる世の中になればいいなと思う。
日本映画でも描かれたんだ
洋画では時たま見かけたゲイの子育てがテーマだが、とても日本的で納得してしまう。
別れたゲイカップルの片割れが8年ぶりに現れる。
6歳の女の子を連れていたが、妻とは離婚協議中とのこと。
日本の田舎の懐の深い一面が安心感を生む。
愛の形
愛は誰にも縛られず自由に育んでいいものって思うけど、でもそれを受け入れてくれる周囲の人間と環境がなきゃなかなか難しいのかな。今回の映画では、あの村の人たちがあまり気にせずにいてくれたから気持ちよく生活できていたわけだし、、、。
でもそれってやっぱ本当におかしいと思う。
もっともっと世の中の考え方を変えるべき。「同性愛の何がいけないの?それぞれ愛の形があっていいじゃない」ってみんなが言い合える世の中にいつかなって欲しいなぁ。
今泉監督が忙しすぎた
愛がなんだが傑作すぎただけに、すごくハードルが高くなっていたのかもしれない。
主演2人のセリフに感情が全く乗っていない。素人の自分にもあからさまにわかるほど、雰囲気だけではどうにもならない世界だと知ることができる。また、何も違和感なく演じられている大多数の役者さんたちが、どれほどすごいことをしているのかを実感できる。離婚調停員の長髪ヒゲの人っているのかな…みたいな、ん?って思うシーンが山ほどある。
いろんな風に生きてていいんじゃないかと思わせてくれる作品
2回程講演会にも参加した今泉監督作品。ゲイをとりまく環境を自然に優しく描いていてとてもよかった。今泉監督の映画、セリフや間が自然やし、すっとその世界に入り込める。いろんな風に好きに生きていいんじゃないかって包まれるような作品。
光が幸せにしてくれる
白川の穏やかな景色と、ひっそり暮らしたい主人公の雰囲気とぴったり合ってストーリーに入り込みやすい。入り込みやすいから全てのキャストの気持ちが伝わってさらに引き込まれて行く。
お年寄りのほうが受け入れにくいのかなと思ってだけど、心にゆとりがある場合は受け入れてくれやすいのかな?
幸せな世界。
6歳児に盲牌を教えるなんて・・・!
日本の田舎も捨てたもんじゃない。誰もが笑い、泣き、咳をして、あたたかい気持ちになって映画館を去っていくような気がした。ちなみに舞台となるのは白川町であり、同じ岐阜県でも世界遺産の白川村とはまったく関係がありません。
今ではゲイだとかレズビアンを差別的視線を浴びせるような日本人も少なくなってきましたが、本来なら都会よりも田舎の方が差別的・閉鎖的・排他的だと思ってしまいます(これも偏見にあたるならば謝ります、ごめんなさい)。ところが、住民たちは老人が多いこともあり、ゲイのカミングアウトをしても全く驚かない。優しさに包まれてるような雰囲気。子供に麻雀を教えてもへっちゃらなのです。
二人の問題はこうやって親しみやすい村人たちによって円満に解決するのですが、渚(藤原季節)の娘そらちゃんの親権を争う裁判だけはややこしい。誰もかれも優しい人間という基本があったみたいですけど、妻側の弁護士(堀部圭亮)だけは辛辣な言葉を投げてくる。まぁ、一応裁判だし、憎まれ役も必要だし・・・。そして、この裁判の驚くべき結末。やっぱり優しさなんですね。
気持ちが穏やかになりました。
映画をゆっくり観るなんて、本当に久しぶりでしたが、時間を作って観にいって良かったです。観ている間、優しい気持ちに包まれる感じがなんとも良く、癒されました。初めて、もう一度映画館でじっくり観たいなと思える作品でした。
また、素晴らしい映画が一つ!
新宿武蔵野館で観たら、今泉監督が同じ回を観ていて、握手して、パンフレットにサインしてもらっちゃいました! 愛がなんだ、アイネクライネ…、本作と才能がほとばしっている人に会えて嬉しい〜!
長身痩躯、頭ボサボサ髪と、写真どおりでした。優しそうな声だったな。
大学時代に付き合っていたゲイの主人公二人。一方は女性と結婚したが離婚調停中で、娘の親権争い前に、かっての彼が住む白川に、娘と二人でやってきて、一緒に住み始めるという話。
白川の自然あふれる景色の中での暮らしと、東京での暮らしと裁判が、見事に対比となって、まったりした流れに、小気味よいリズムを生み出している。
親権裁判の場での、双方の弁護士の辛辣な訊問が、LGBTに対する、あるいは働く母親に対する、普段の自分達が持っているかもしれない差別を、極めて冷酷に炙り出す。曰く「男性二人が子育てする普通でない環境」。曰く「子供の世話に全力と言ったり、子育てと仕事の両立と言ったり、腰の座らない言動」。それらは全て、かって俺自身がそう思っていたり、今でも潜在意識には残っているかもしれない感情。監督は、それら差別を、弁護士の言葉に載せて、辛辣に突きつけてくる。ほら、あなたもこう思っていませんか?と。
白川のこの人達のように「そういうこともあるか」と受け入れられますか?と。
そのせいか、一度は別れた主人公二人が、またカップルとなっていく様子は、ただの恋愛映画。揶揄しているのではなく、再び付き合い出す二人の様子が、"普通に" 恋愛。監督の腕なのか。
ただし、それらも凄いけれど、この映画は、子役(そらちゃん)がずるいでしょ。可愛すぎるでしょ。その圧倒的な存在感は、この映画の9割近くを占めて、他の要素を全て隅っこに追いやっちゃってます!
2020/3/10追記
本作の "優しさ" は、田舎が彼らをけっこう普通に受け入れることも大きな要素だと思うが、それは田舎の寛容さではなく、「発言力のある人の意見が全体の意見になる」という特徴が、いい方に転んだ例だとは思いました。ただ、自分はこういう点も含めて、今泉監督の "底の方に潜んでいる優しさ" を、好きです。
いい映画。考えさせられた。
確かにそうだと考えさせられた。ストーリーもいいし役者も良かった。
「じん」という岐阜の方言、そういえばあったなと。男2人がイケメンなのは必須な感じするけど、嫁と役所の子は2人とも綺麗&かわいすぎ。
素晴らしかった。
始まりは、もしかして2人のラブラブな生活をずっと
見るのか?と思ってたら、
そこから2人だけの話じゃなく、
2人が生きる世界とその向こう側まで描いてて
素晴らしいなと思いました。
宮沢氷魚さんの空気感はちょっと異常。
日本人であんな俳優他にいるかな?と思える佇まいだった。
妖艶とはまた違うけど、透明感と言うか、
そこにいるけどいないような不思議な感覚。
素晴らしい俳優さんだなと思いました。
対する渚役の方は最初なんか危ういなと思ったけど、
終わる頃には大好きになって、
あいつ今何してるのかな?って自分の中で育って行く。
今泉監督のマジックだと僕は勝手に思っている。
周りからの偏見はもしかしたら自分が周りに対して偏見を
持ってたからかも、と言うお葬式のシーンは泣けた。
迅の勇気と周りの優しさに泣けた。
子どももとても良かった。
彼女のおかげでドラマは動き出すし、
渚と迅が変わって行くのを感じられた。
2人だけの世界はどんどん広がって行った。
同性愛をテーマに裁判をやる事でここまで世界を広げた
今泉監督の手腕に感服してしまった。
とても優しい幸せな時間を過ごせました。
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