「〈耽美〉という言葉を調べ直してみた!」his 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
〈耽美〉という言葉を調べ直してみた!
ただ、恋愛映画を多く手掛けてきたからといって
今泉監督が「恋愛映画の名手」とは言われていなかったでしょう。
なぜならば、恋愛を通して、わたしたちのこころを打つから。
作品群の根底に、性別を越えた
人間性や人生論を見るから…
その最たる作品だと、本作『his 』を観て思いました。
同姓愛者は世の中で声を上げづらい弱い立場ではありますが
本作での、その後ろめたい感情をむやみに拡大して美化したりせず
純粋に、まっすぐに、真正面に立ち向かっていった姿勢に、
こころを打たれました。
世間一般で言う〈普通なこと〉と〈特別なこと〉などは
極論かもしれないが、主観と客観に過ぎないんだと思う。
仕事や子育てをする中で
これは男の役割、それは女の役割と決めつけず
性別の枠に収めることなく、役割を担うことができる。
どの時代にも新しい価値観は生まれる。
昔は特別なことでも、
その様々な価値観を認めてきたから
今は普通な環境の世の中になっている。
~ヒトは認め合って、はじめてヒトになれるんだと、
愛し合い助け合って生きることこそ、ヒトの美徳なのだと~
観賞後、そんな哲学的な感傷にひたってしまう自分がいる…
いつの間にか恋愛とは別の、もっと大きくて深い部分で
こころを打たれている自分がいる…
そこが、今泉監督が「恋愛映画の名手」
だけでは収まらない、
皆さんに支持されている理由なのだろうと思います。
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