劇場公開日 2021年2月19日

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「【生きるということ】」ベイビーティース ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【生きるということ】

2021年2月24日
iPhoneアプリから投稿

ミラが、ベイビーティースに例えられているのなら切ないなと思っていた。

僕には、「僕の乳歯は標本になってるんだ」と教えてくれた友達がいる。

虫歯などなく、歯医者になど行ったこともなかったのに、子供の頃、一度歯茎が猛烈に腫れて、やむを得ず歯医者に行ったら、奥歯の永久歯が、乳歯に下からめり込むように生えてきて、乳歯の根っこが横に押し広げられて、歯茎が腫れたらしいのだ。
それで、乳歯を取り除いてもらった時、歯科医が「こんな珍しいことはないので、この乳歯を標本にしたいからくれないか」と頼まれたと言っていた。

(以下ネタバレ)

もっと自由でいたいと願うミラ。
過保護と言われようが、少しでも長生きして欲しいと願う両親。
粗暴だが心の優しいモーズ。
モーズは孤独も抱えている。

ミラの日々変わるウィッグは、途中映し出されるFireworksのようだ。キラキラと色が変わり、そして消える。
ミラは、自分が去る前に、思いっきり輝いてみたかったのだろうか。

ミラに向き合い、こうしようと決めても、なかなか思う通りに振る舞えないのは、よく理解できるような気がする。

愛する人が去ることを、人はそんなに簡単に受け入れられるはずはないのだ。

だから、モーズも、ヘンリーも、アナも葛藤するのだ。

最後のビーチの場面、ミラがヘンリーに、モーズを宜しく頼むと言い残す。
うなずくヘンリー。

ベイビーティースは抜け落ちる運命だ。
しかし、残ったものは、強く結びついて、生きていくことは出来るのだ。

ベイビーティースには、あっさり抜け落ちるものもあれば、僕の友達の乳歯のように頑張り通すものもある。
ミラは、自分自身を精一杯生きたのだ。
花火のようにキラキラもしていたのだ。

それがメッセージなのだ。

ワンコ