ホモ・サピエンスの涙のレビュー・感想・評価
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ロイ・アンダーソン美術館へようこそ
30余りの、“動くタブロー”。
“展覧会”を観た、という感覚だ。
ロイ・アンダーソンは、“ナラティブな(物語性のある)絵”を映像で描きたかったのに違いない。
シーンはE.ホッパー的であり、彩度の低いグレーな世界はユトリロのようだ。戦争のシーンはO.ディックスの影響か。
そう考えれば、テーマが雑多であることが説明できる。
日常のスケッチから、銃殺刑のシーンまで。苦悩する牧師から、廃墟と化したケルンの街の空を飛ぶ男女まで。何のつながりもない。
公式サイトの「全人類に贈る-愛と希望を込めた万華鏡」とは、誇大な宣伝だ。
ハッと目の醒めるような画は、画面の隅々までピントが合っている(被写界深度が深い)ことによるものだろう。
そして何より驚いたのは、物体の「影」が極小であるということ。
どうやって実現したのだろうと思ったら、CGではなく、巨大なスタジオで作り上げた映像らしい。小さい照明が沢山あるに違いない。
その他、「All of Me」(@シャンパンを飲む男女のシーン)は、良かったな。
自分が一番好きなのは、ラストシーン。最後に来て、荒れ地で立ち往生する男の話とは(笑)。
なるほど、「人間の脆(もろ)さ」を描いた映画の仕上げにふさわしく、「年齢や時代を超え」た「永遠(Endlessness)」がここにある。
とはいえ、朝イチの鑑賞でなければ、確実に居眠りしただろう。そういう映画であった。
かなり凝っているのだが!
【オマージュ】
スウェーデン語の原題タイトルの意味は、「はてしない物語」。
神はいずこと絶望する牧師。
十字架を背負わされて歩く夢。
宗教は、人を縛り、救済などせず、逆に暴力に駆り立てているように見える。
戦果で荒廃した街。
シャガールの絵のように、それを上から眺める恋人同士。
人は茫然自失するだけなのだろうか。
北欧の青空や太陽が降り注ぐことの少なさを象徴するような曇天。
やるせない気持ちになる場面も続くが、愛に導かれるシーンや、歌い踊るシーンで、それでも人々は生きて行くのだと、メッセージを発しているように感じる。
宗教は少しずつ形を変え、人々に寄り添おうとしてるではないか。
荒廃した街は放置されずに、建物は新たに建て直されたではないか。
振り返ってみたら、確かに、人々はこうして生きてきたのだとあらためて思う。
エンディング。
エンストした車に四苦八苦する太ったおじさん。
まあ、僕達もそんな感じだろう。
でも、ずっとそこに止まっているわけではない。
きっと誰かが助けてくれたり、解決策はあって、また、前に進めるのだ。
物語は続くのだ。
抑揚が抑えられた場面展開で、退屈に思う人もいるとは思う。
ただ、この作品は、我慢強く、黙々と物語を紡いできた人々へのオマージュで、それを表現するための仕掛けではないのかと思う。
北欧の映画っぽい
間延びしていて沈黙が長い。
ワンカットだけでカメラはほとんど動かないのでスクリーンが舞台のように見えたりする。
神が信じられないと嘆く牧師
大学時代の友人に挨拶したのに無視された人
ホームで待っていた女性
道を間違えた男の人
なんかが印象的
人間はポテトとトマト
創造力は問われる
現代社会に生きていく上で心の病を抱えた人、問題を抱えた人、挫折した人等々…いくつかの種類の負を背負った人をアートチックに描いた作品。
予告で伝わる通りドラマ性がある作品ではなくとてもアート性の高い作品のためポピュラーな作品ではなく人を選ぶ作品ではありそうではある。
残念ながら僕の創造力の未熟さではこの作品の魅力に惹きつけられる事はできなかった。
所々少しだけ既視感のある虚しさみたいなのは感じる事ができたが殆どがポカーンとした状態で鑑賞してしまっていた。
まぁ良く言えば心が健康なのかなと前向きに捉えて劇場を後にした。
スキ
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