劇場公開日 2020年11月20日

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「とにかく美しい映像が観たいなら、これ!な一作」ホモ・サピエンスの涙 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0とにかく美しい映像が観たいなら、これ!な一作

2025年3月30日
PCから投稿

スウェーデンの映像作家ロイ・アンダーソン監督が、映像の美しさだけで勝負に出たような一作です。

約70分と劇場公開作品としてはコンパクトな内容は、さらに数分程度の短いエピソードの連なりとして成り立っており、鑑賞中は前の作品の余韻を残しつつ、次の物語に向かっていく、の繰り返しとなります。

とにかく驚嘆すべきは、各エピソードの映像の、尋常じゃない美しさです。ライティングも構図も監督自身が徹底的に練り上げたという映像は、ある時は古典絵画、ある時は緻密なCG映像ではないかと見間違えそうになるほど。あまりに完璧に調和の取れた光景を目の前にすると、かえって現実感を喪失するものなんだな、と実感します。

なおどのエピソードも基本的にワンシーンワンカットであるため、一つひとつは短い物語であっても、映像自体は比較的ゆっくりと眺めることができます。エピソード間のつながりはおそらく存在しない(表題通り、「人間」そのものがテーマなのかも)ため、一度見通して、次は気になったエピソードを繰り返し堪能する、という楽しみ方もできそう。

特に映像に心得のある人であれば、画面上の人物を立体的かつきめ細かく描写する撮影手法とライティング、そして消失点を強く意識した、古典的ともいえるような構図など、どのように撮影したのかに想像を膨らませてしまうはず。

映像の力に打ちのめされたい、という人には、ぜひとも見てもらいたい作品です!

yui
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