劇場公開日 2020年11月20日

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「モダンな美術館のロイ・アンダーソンという北欧作家の連作絵画33点の展覧会に行った」ホモ・サピエンスの涙 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0モダンな美術館のロイ・アンダーソンという北欧作家の連作絵画33点の展覧会に行った

2021年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

モダンな美術館でロイ・アンダーソンという北欧作家の連作絵画33点の展覧会を見学した。
ひとつひとつの絵は、額縁の中で西洋人が僅かに動き、言葉を話し、時に此方にも語り掛けてくる。館内には静かな音楽が流れ、絵ごとに音声ガイドもある。日常の些細な場面の数分間を描いたものがほとんどだが、時に戦争や事件を描いたものもある。気になったのは、若い人は殆んど痩せているのに、中年の男女は肥満体が多い。食べ物に満たされているのだろうが、ただ幸せそうには見えない。他人には言えない、悲しみ苦しみがあるのだろう。それでも生きている。面と向かって愚痴を言う人もいる。言ったところでどうにもならないのに。ひとりの牧師は神に見捨てられて悩み体の不調を訴え、精神科の医者に救いを求めている。どこかおかしい。そして、医者にも見放されてしまう。何故か可笑しい。とても可哀想な人もいる。でも私には救えない。空を飛んでいる恋人たちは、廃墟の上空を今にも落ちそうにゆったりと移動している。とても神秘的でシュールな絵だが、どんな意味があるのだろう。最初の絵と最後の絵で鳥が群れを成して飛んでいく。空はどれも灰色に曇っていて陽光が燦燦と降り注ぐ絵は一枚もない。
でもすべての絵が美しい。マットペイントを使った淡い色調の北欧の背景が統一されている。普通の絵画と同じく自分勝手に想像して楽しんでみた。絵画は、レンブラントやターナーやゴッホが好きだ。それでも、しばらく美術館には疎遠だったので、それなりに満足した。たまには絵画をじっくり鑑賞するのも悪くはないと思った。

Gustav
マサシさんのコメント
2023年6月15日

分かりやすい絵画よりも、分かりにくい逸話の方が綺麗でした。
私は遠近感が向かって右奥にズレだ駅の場面で、二段落ちさせた逸話が好きです。凄く綺麗だと思いました。
展覧会。良いですね。共感します。

マサシ