「天使のささやき」ホモ・サピエンスの涙 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
天使のささやき
この監督の映画は初見だが、随分高踏的な作風だなぁと。エピソード集というほど物語性があるわけでもなく、ただ人生の断片をそっけなく提示する。灰青色の世界で人々は一応にやるせなく佇んでいる。時と場所を問わず「〇〇を見た」と語るナレーターは、何かしら超越的な存在なのだろう。信仰を失った牧師が何度か登場するところを見ると、“神の不在”がテーマなのかもしれない。
男女が痴話喧嘩をするかたわらの魚屋の店先に、フェリーニの「甘い生活」のラストに出てきたような怪魚がいるのが気になった。
配給会社も売り方に悩んだのだろうが、邦題は意味不明で、もう少し何とかならなかったものか。
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