「【脆弱で愚かだが、愛しき市井の人々を描いた数々の掌編で構成された作品。今作品で”クスリと笑った人”は一見"スノッブ"を装っているが、人間性肯定の心優しい人ではないのかな?と思った作品でもある。】」ホモ・サピエンスの涙 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【脆弱で愚かだが、愛しき市井の人々を描いた数々の掌編で構成された作品。今作品で”クスリと笑った人”は一見"スノッブ"を装っているが、人間性肯定の心優しい人ではないのかな?と思った作品でもある。】
◆"男がいた・・" "女がいた・・"というシンプルな言葉から始まる三十数編の掌編で構成される市井の人々を描いた作品
- 極私的"クスクス"掌編、幾つか・・。-
・神への信仰心を失った牧師さんの話(全三編)
-表層的な診察をする、”帰りのバスの時間を気にする”心療内科医師と、悪夢に悩まされる、牧師さんとのギャップ。
”もうちょっと、ちゃんと診療してあげてよ・・。悩んでいるんだから・・”-
・満員のバスの中で泣く中年男の話
-周囲の無関心を装う人々の姿。だが、一人の男性が"泣くなら家で泣け!"という言葉を叫ぶと・・、女の人が言う言葉。”女性は常に男性より”的確な言葉”を述べるのである・・”-
・レストランで、ワインをドボドボとワイングラスからこぼれるまで注ぐ無表情で、慇懃なウェイター。
-シュールだなあ・・。けれど、オカシイなあ・・。-
・”ある理由”が原因で、”不機嫌な”歯医者さんの話
-治療を放棄してバーに行ったら、ある男がチラチラ舞う雪を見て"美しいだろう・・"と呟き、バーの客が一斉に外界の風景を見る姿・・。”好きなお酒を飲んで、美しい風景を見たら、又、仕事を頑張ろうよ・・”ー
・敗戦が、決定的になったナチスの酒に呑まれた将校達と呆然とした表情のヒトラーの姿
ー個人的にクスクス度が高き掌編。あんなにへべれけになっても、”ハイル・ヒトラーって・・どれだけ、真面目なのゲルマン民族。・・もしくは刷り込み?”
<戦禍で荒れ果てた街の上を抱き合いながら飛行する恋人達の姿を見て
「ベルリン 天使の詩」を思い出した作品。
人間は脆弱で愚かしい。"だが、毎日を夫々の置かれた立場で、一生懸命生きているのだ・・"と思った作品でもある。>
■蛇足
・男性達の多くが、青白い顔で太った人だったのも、監督なりのアイロニーかな?