「【オマージュ】」ホモ・サピエンスの涙 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【オマージュ】
スウェーデン語の原題タイトルの意味は、「はてしない物語」。
神はいずこと絶望する牧師。
十字架を背負わされて歩く夢。
宗教は、人を縛り、救済などせず、逆に暴力に駆り立てているように見える。
戦果で荒廃した街。
シャガールの絵のように、それを上から眺める恋人同士。
人は茫然自失するだけなのだろうか。
北欧の青空や太陽が降り注ぐことの少なさを象徴するような曇天。
やるせない気持ちになる場面も続くが、愛に導かれるシーンや、歌い踊るシーンで、それでも人々は生きて行くのだと、メッセージを発しているように感じる。
宗教は少しずつ形を変え、人々に寄り添おうとしてるではないか。
荒廃した街は放置されずに、建物は新たに建て直されたではないか。
振り返ってみたら、確かに、人々はこうして生きてきたのだとあらためて思う。
エンディング。
エンストした車に四苦八苦する太ったおじさん。
まあ、僕達もそんな感じだろう。
でも、ずっとそこに止まっているわけではない。
きっと誰かが助けてくれたり、解決策はあって、また、前に進めるのだ。
物語は続くのだ。
抑揚が抑えられた場面展開で、退屈に思う人もいるとは思う。
ただ、この作品は、我慢強く、黙々と物語を紡いできた人々へのオマージュで、それを表現するための仕掛けではないのかと思う。
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