「キッチンとは、一番生活感の溢れる場所 昭和が最後まで残るところ しかし本作のキッチンには生活感がまるでない」キッチン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
キッチンとは、一番生活感の溢れる場所 昭和が最後まで残るところ しかし本作のキッチンには生活感がまるでない
1989年10月公開
その年は昭和が新年早々に終わった年
平成が始まった年
まだバブルは更なる高みを目指していた頃
本作はその時代の空気を確実に伝えている
「の・ようなもの」でデビューした森田監督らしい映画
昭和の空気を排除した、新しい時代の映画
音楽で言えば、歌謡曲に対するニューミュージック、今風に言えばシティポップ
だから本作は、「の・ようなもの」から直線で伸びた延長線の上にあると思う
キッチンとは、一番生活感の溢れる場所
昭和が最後まで残るところ
それがどうだ
本作のキッチンには生活感がまるでない
キラキラと輝く美しいショールームのような世界なのだ
本作において「の・ようなもの」で目指した作品世界は完成したのだと思う
ニューミュージックは、J-POPと名を変え、平成の時代のメインストリームとなった
もはや歌謡曲を否定したり、昭和を拒絶する為の努力は過ぎさった
時代は平成になったように変わったのだ
森田監督のやるべき仕事は本作でひとつ終わったのだ
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