「3時間未満で「映画版」は難しいか」全裸監督 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)

4.03時間未満で「映画版」は難しいか

2023年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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シーズン1が2019年8月、同2が2021年6月…。世間の話題を集めてずいぶん経った作品をようやく、まとめて見た。
ネトフリに面白い、見たい作品があるものの、カネを払ってまで見ようとまでは思わなかった。しかし、今年5月から配信が始まった相撲界を舞台にした「サンクチュアリ」を見たいがために、遅ればせながらネトフリを契約し、ようやく本作、全16話を見た。
面白い、よくできている。カネをかけて作っているので、アラを探す方が難しいくらいである。
とはいえ、村西とおるという人物ができていき、アダルトビデオ界でのし上がっていく様を描くシーズン1のほうが見る側はドキドキし、次の展開が楽しみに見られた。シーズン2になると、彼が失敗し、人もカネも離れていく転落する姿がメーンとなってしまい、どうしても見る側の高揚感は大いに殺がれ、ちょっといたたまれない内容になっていった。
そもそも、全部合わせれば10数時間もの長さ。それをパソコン経由ではほとんどの場面で1.5倍速で見た。それでも少なくとも12-13時間くらいはかかったはずである。
昔のように、ビデオに録った連ドラを見るのとは違う。
面白いドラマとはいえ、やはり今の時代には長すぎる。

ドラマに限らず、エンターテインメントに限らず、表現作品=映像や小説なども含め=は、あれ?もう終わり? と思わせるくらいの長さが丁度いいのである。
やはりこれは長すぎる。
むずかしいとは思うが、表題に書いたとおり、3時間未満の劇場映画にできるものなら、それをもう一度見てみたいものである。
周りの女優やスタッフ、ヤクザの話をそっくり切り落とし、村西とおるという超絶タフな男を描くだけでいいと思うのだが…。

シーズン2になって、興味を殺がれる、見ていて辛い展開になっていったのは仕方ないが、最終話で見せる主演・山田孝之と最後まで村西についていく男を演じた玉山鉄二のやり取りはなかなかによい。そのまま、エンディングにボブ・デイランのライク・ア・ローリング・ストーンに流れていくのもジーンとさせられた。
ただ、この部分のやり取りはハリウッド映画のパクリらしい…が。

筆者にとって初めて、配信ドラマを批評したけれど、やはりここは映画ドットコムである。
せいぜい3時間の映画作品を批評する場であるべき、と思う。
長さを短くした映画版を見たい、と思わせる内容になっているのはそれはそれで評価する。
今のところ、ネトフリ配信ドラマから映画版ができてはいないのだよね?
今後はどうなのだろうか。

町谷東光