劇場公開日 2022年5月27日

「トム・クルーズの貫禄ある無鉄砲❗」トップガン マーヴェリック kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5トム・クルーズの貫禄ある無鉄砲❗

2022年7月23日
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鑑賞方法:映画館

艦載機が発艦・着艦する空母の甲板シーンにジョルジオ・モロダーの「デンジャー・ゾーン」のサウンドが重なる。このオープニング、そうだ、これが『トップガン』だと心が踊る。なんと心憎い演出か。ケニー・ロギンスの歌声は、前作のオリジナル録音が使われているらしい。

80年代はケーブルテレビのMTVが爆発的にヒットし、名だたるアーティストたちがミュージックビデオ(プロモーションビデオ)の制作を競っていた。
そんな風潮に乗ったのか、あるいはそもそもブームの元が映画だったのか、どっちが先かは知らないが、アメリカ映画にはポップミュージックが欠かせなくなっていた。
そんな時代を牽引した音楽プロデューサーがジョルジオ・モロダーだ。『フラッシュダンス』に続いて『トップガン』でアカデミー歌曲賞を受賞している。
そして、それらの楽曲のPVには映画のシーンが使われるので、それを意識した画作りを監督たちは求められた。
リアルタイム世代の自分(トムと同い年)は、だからその“映像+楽曲”で一気に気持ちが若返ってしまうのだった。

たしか、前作の最後でマーヴェリックことピート・ミッチェル(トム・クルーズ)はトップガンの教官に就任したと記憶するが、本作のオープニングではマッハ10に挑むテストパイロットになっていた。
その挑戦を中止させ、予算を無人戦闘機の開発に回そうと考えるチェスター少将をエド・ハリスが演じる。出番は少ないが、さすがの存在感。
もうパイロットは必要なくなるのだと言われたマーヴェリックが言う。「それは、今じゃない」う〜ん…カッコいい❗

果たして、まだパイロットは必要だった…
あるミッションを帯びてトップガンの教官に復帰したマーヴェリックは、前作で命を落とした相棒グースの息子ルースター(マイルズ・テラー)が、選抜されたパイロットの中にいることを知る。
マーヴェリックとルースターのそれぞれの葛藤が物語の横軸となる。

基地の軍人たちが利用する海辺のバーで、カウンターの中にいるのはジェニファー・コネリー演じるペニー。彼女の初登場シーンで酒場にデヴィッド・ボウイの歌声が流れるのも粋な演出だ。
ペニーは前作では登場していないと思うが、マーヴェリックのかつての恋人。夫とは別れ、一人娘アメリアがいる。この娘を演じたリリアーナ・レイという子役が可愛い。ジェニファー・コネリーの娘なら美人であることは必定ではあるが。

さて、物語の縦軸となるインポッシブルなミッションは、自らが出撃するのではなく実行部隊を特訓することだった。選抜された優秀なパイロットたちの中から、訓練をとおしてメンバーを選らばなければならない。
若い戦闘機乗りたちは皆腕に自信があるのだが、マーヴェリックの作戦は彼らの経験値をはるかに越えていた。
若者たちは誰一人としてマーヴェリックのテクニックに敵わない。
男たるもの、老いてなお若者たちを黙らせる底力を持っていたい。老害にはなりたくない…と考えるのがやっとの自分が情けない。

敵の核施設を破壊する攻撃方法は、『スター・ウォーズ』でのデス・スター破壊作戦を彷彿させる。
このインポッシブルなミッションでも隊員を生きて帰らせることを誓ったマーヴェリックの訓練は熾烈を極める。
この作戦の困難さも特訓の熾烈さも、実に分かりやすく表現されていて、物語にすんなりと入っていける。

マーヴェリックを認めはじめるトップガンたち、若者どうしに生じる確執、マーヴェリックの型破りな行動を快く思わない司令官、動きを早める敵方、王道中の王道ストーリーがテンポよく展開する。
そこに意外性などないのに、ワクワクする。

そして、いよいよ実戦。
想定どおりの展開ではあるが、一つ一つのエピソードはアイディアに富んでいて、面白くするための工夫が満載されている。
当然、大団円が待っていることを誰もが知っているのだが、手に汗握る迫力の演出で、我らを引っ張ってくれる。
監督のジョセフ・コシンスキーは『オブリビオン』でトムと組んだ人。

前作では、トムだけは実際に飛行するコックピットで撮影したらしい。
本作では、どうだったのだろうか。
Gに耐えながら操縦するコックピットのトムや他の役者の圧力がかかった顔つきにはリアリティがあった。

トニー・スコットが監督を務めていたなら、この映画はどんな仕上がりだっただろうか。前作との時間の経過をもっと演出に織り込んだかもしれない。
プロジェクトの初期段階には関わっていたときくが、自ら命を絶ってしまったことは、非常に残念。映画界にとって大きな損失だった。
前作に引き続いてヴァル・キルマーが演じたアイスマンの葬儀(納棺)のシーンで戦闘機が空を舞う。この編隊飛行は「ミッシングマン・フォーメーション」と呼ばれるらしい。1機が編隊を離れて急上昇するのは、殉職者が天国に召されることを表しているとか。
正に、トニー・スコットへの慰霊飛行だったように思う。

kazz
たなかなかなかさんのコメント
2022年10月25日

kazzさん、コメントありがとうございます♪

事前の期待値が低かったということもありますが、それを差し引いてもこの映画は大傑作だと思います!😆
王道中の王道なアクション映画、こう言う作品を待っていたのです!
キムタクにもトム・クルーズにも、まだまだ頑張っていただきたいものです♫

たなかなかなか
caduceusさんのコメント
2022年7月30日

kazzさんコメントありがとうございます。
なるほどninjaですか。これも名前のイメージと性能が一致して当時ヒットしたんでしょうね。
最近で言うと、実際にバイク に乗って、すっ飛ばすのを見たのは、「アネット」の時のアダム・ドライバーとトム・クルーズぐらいしかいないですね。
35年経っても、そんなことやってるのはすごいの一言です!

caduceus
こころさんのコメント
2022年7月28日

kazzさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
トニー・スコット監督の作品、検索してみたところ4本位しか観ていないのですが、男のロマン(← 勝手なイメージですが…。)が散りばめられた作品が多かったように思います。
監督の想いを乗せてのマーヴェリックですね ✨

こころ
こころさんのコメント
2022年7月24日

kazzさん
「 トニー・スコットへの慰霊飛行 」…そんな想いも込められていてのですね。
デビッド・ボウイの「 Let´s Dance」、効いてましたね (^^)

こころ