劇場公開日 2020年7月31日

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海辺の映画館 キネマの玉手箱のレビュー・感想・評価

全69件中、41~60件目を表示

4.0全部乗せラーメン

2020年8月14日
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鑑賞方法:映画館

ラーメン屋の店主が好き勝手に具材を乗せ、食べる方は食いづらいんだけどクセになるかんじ(常連客は喜んで食ってる)
個人的に根岸季衣が凄かったのと、昔から好きだった常盤貴子が今だに可愛かった

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うんこたれぞう

3.5考えるな、感じろ!!

2020年8月13日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

海辺の小さな古い映画館の最終営業日、
日本の戦争映画をオールナイトで上映する夜。
なぜか映画の世界に引き込まれた三人の青年が
映画の中で戦争というもの体験してしまうお話。

と、とりあえずあらすじは有るんだけど
それに囚われていたらこの映画楽しめないので

考えるな、感じろ!!としか言えません〜〜。

正直、一度見たくらいでは意味が解んないけど、
何回も観たからって解ったと言える映画でもなし〜

ピカソとかダリの絵を初めて観た人々の様に
今までに無かったものにブチ当たった「めまい」を
ぜひ、感じて観てください。

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

残念ながら大林監督の遺作となった本作ではありますが
コロナ禍によって世の中が、疑似戦時下の様な空気の
2020年にリアルタイムで観られたことを
人生の一つの大きな出来事だと思います。

大林監督の作品は「時をかける少女」以外は観てなくて、
なぜか最近の
「この空の花 長岡花火物語」から観だした者として

今回はまだ解りやすいかも〜
などと思ってしまった!(笑)
(実際はそんなに深く解って無いですよ)

それほどに大林監督の映画はぶっ飛んでいて
言葉では説明できないけど
監督が伝えたいこと、若者に残しておきたいことは
痛いほど伝わってくる。

戦争は絶対ダメ!だけど
民衆の心は簡単に操られてしまう危ういもの。

正論や正義や同調圧力に流されず
一番大事なのは「人の命」だと
そこだけはぶれてはいけない!

作中で度々引用される中原中也の詩、
とりわけ「野卑[やひ]時代」の中の

「文明開化と人云ふけれど
野蛮開発と僕は呼びます」

痛いです!

そして戦争で命を落とした全ての人々への
鎮魂の塊の様な監督の後ろ姿に泣けてしまった。
めっちゃ怖いシーンだけどね〜〜

ぜひ、劇場で没入して
「訳わからん!でもなんか頭ぐるぐるされた!!」
そんな気持ちになってください。

==========
いつも「共感!」やフォローをありがとうございます。
人の感想を読んでしまうとすぐ影響されてしまうので
皆さんの評論は遅れて少しづつ拝見してます。
どうぞよろしくお願いします。

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星のナターシャ

3.0ジャンルは大林宣彦。

2020年8月13日
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いろんな時代、いろんな映像技術、いろんなメッセージが詰め込まれ、目まぐるしい。映画というより現代アートというか監督の個人的メッセージを豪華絢爛に表現した、みたいな。

いろんな意味で他の映画とは違う、とても変わってた作品なので評価するのは難しい。
他に同じジャンルの映画を思いつかない。ジャンル=大林宣彦。

怒涛の展開、情報量は見やすいとは言えなくて、好き嫌いあると思うけど、
実験的な映像、青春ドラマ、平和へのメッセージなど大林監督らしさにあふれていた。

「映画こそタイムマシン」という言葉が心に残った。映画を通して、過去の歴史や世界中のいろんな問題に目を向けていきたい。

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YK

4.5とても強烈な反戦メッセージ映画です。

2020年8月10日
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戦争映画と評した映画は数あれど、ここまでその戦いではなく、国民、庶民にフォーカスされた映画はないと思う。
単純に世界大戦だけでなく、過去の殺戮も描き、それがどれほど醜い行為なのかを決して固すぎずにストーリー展開をするのは見事。さすがといっていい。
その中の言葉、結局自国民同士が殺りくしてしまう、愛する人も失う、そして日本人の特徴である付和雷同という言葉が特に突き刺さります。
沢山の有名どころの俳優が参加しています。長い間監督業をされているかも知れませんが、たぶんこのテーマに共感されての参加ではないかと思います。
日本人は特に、また世界の人にも伝えて欲しい、そんな映画です。
エンターテイメントではございません。でも観るべき映画だと思います。
ぜひ観て観てください。

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ごぶさん

4.0もうなんも言えない

2020年8月10日
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もう映画の評価なんてどうでもよくて、ペンの代わりに映像で遺言を書いてるようなものだった。しつこい。そのしつこさ含めて圧倒的。2時間過ぎたあたりからもう何も言えなくなる。ストレートな反戦メッセージ。被せに被せる情報。メロディ、テロップ、色、棒読み芝居だから迫りくるメッセージ。
繰り返させる戦争を同じ役者で繰り返し、無残に消えてく命を悲しみ、忘れない、そして繰り返させない、そのための万華鏡でした。

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ONI

4.0大林監督の夢のような

2020年8月9日
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鑑賞方法:映画館

大林監督の夢を一緒に観ているような3時間。
アタマの中身をそのままさらけ出したように、演出も、映像も、語りもとにかく過剰。
だがそのメッセージは明確に「反戦」で一貫している。
太平洋戦争ばかりでなく、戊辰戦争まで遡って。
今がまた「戦前」になってしまう、という監督の焦りが伝わってくるようだ…

ゴジラシリーズを観に通っていた「尾道松竹」あらため「シネマ尾道」が舞台となっているのも感慨深い…
もう帰省しても映画館には行ってないのだけど…

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ぱんちょ

4.0昭和の映画少年が遺した次世代への希い

2020年8月7日
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鑑賞方法:映画館

 3時間の大作。観るのに結構な体力が要った。製作した監督が、当時、80才を超えていて、しかも余命宣告を受けていたと知り、とても驚いた。映画の神様に深く愛された昭和の映画少年が、自分の命の時を知り、次世代へのメッセージをこれでもかというくらい、ぎっしりと玉手箱に詰め込んだ感じだ。奥様へのインタビュー記事では、監督にもっと時間をあげたかったそうだが、作品からも窺い知れた。
 監督は1938年生まれなので第二次世界大戦終戦時7才位。尾道に暮らす幼い子供の毎日にも戦争が強い影を落としていたそうだが、映画の中には少し成長した青年となって登場する。
 仲間と共に映画を観に行ったはずが、日本の各時代の戦闘シーンに次々とタイムリープさせられて、日本人はなぜ戦争をしたのか、そもそもいつから戦っているのか、戦争とは何か、自分達にもっとできることはなかったのかと、体当たりで大きな問いに向き合っていく。
 結論の出ていない難しい命題。でも、きっと何かできることがあるはず。私達に物語を創る力がある限り。そんなメッセージを私は受け取った。
 主演3人の熱演が光った。特に細田さんが、蒲田行進曲の風間杜夫さんのような、昭和の香りを漂わせていて、華があった。

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SpicaM

5.0まるで大林流『ユリシーズ』。彷徨の果てに辿り着いたのは…。

2020年8月6日
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鑑賞方法:映画館

かつて大林宣彦監督作品に反発し、もしかして遺作となるかも、という一抹の寂しさと共に『花筐』(2017)を鑑賞したところ、力強く明確なメッセージと洪水のような映像に打ちのめされた観客による感想です。

被爆によってほとんどの団員が亡くなった実在の移動劇団、桜隊を扱っているということで、8月6日に合わせて鑑賞。

何度か予告を観ていたので、題名通り玉手箱のようにいろいろな技巧を凝らした作品なんだろうなー、と想像しつつ、「大丈夫、唐突に宇宙の誕生まで話が飛んじゃう、あの『ツリー・オブ・ライフ』(2011)を観ることができたんだもの!」という妙な自信と共に鑑賞開始。しかしぶっ飛んでいると思ってたあの予告は、実は本作の中でも「見やすい場面」をつないだものだった!あの『ロボコン』もぶっ飛ぶ突飛な導入部に、たちまち打ちのめされました。ただこの一見奇抜な設定も、監督なりの意図を込めたものであることは、結末近い会話によって明らかになります。

本作が劇場長編映画初出演となる吉田玲さんは、その凜とした顔立ちと存在感が素晴らしく、めまぐるしい映像において静的な印象の強い彼女の姿は、むしろ目を引きます。吉田さんの姿がなければ、画面全体の慌ただしさにさすがに辟易していたかも…。これも大林監督の演出上の采配だと思いますが、このあたりはさすがのバランス感覚。

洪水のような映像が約二時間展開した後、桜隊の場面になって物語は急速に収斂し、映像も通常の劇映画としての落ち着きを取り戻します。やがて登場人物の役割や物語構造が見え始め、これまでの一見奇抜なだけに思えた映像の断片が繋がっていくさまは圧巻でした。そしてこの出来事は、まさに75年前の本日(8月6日)あったことなんだと…、劇場の闇に沈み込むような感覚を持ちました。

本作の主題は、大林監督の化身であろう登場人物達が繰り返し口にしているため、実は非常に明確です。

・「嘘(映画的語り)」であっても「まこと(理想の未来)」をもたらす可能性がある。

・誰かが覚えている限り、人は生き続ける。

・軍靴(暗い未来)が忍び寄る中で、君(観客)はどうふるまうのか。

主人公三人は映画の世界に入り込み、映画の技術史をなぞるという『ユリシーズ』的冒険を経て、このテーマを浮かび上がらせていきます。特に観客自身の振る舞いを問いかける最後のメッセージは、度々登場する憲兵の姿と共に強烈な印象を残します。とはいえ『花筐』の最後に見せたような観客に突きつける鋭さはありません。むしろ、現世から去りゆく父(映画の端々に、監督自身の死の意識が垣間見える)と、これから生き続ける娘の会話という形で、あくまでも穏やか、かつ優しい口調で表現されます。これは恐らく、監督から娘・千茱萸さんへの作品を通じた愛情表現でもあるんだろうなー、と思い、ここでも何とも言えない感慨がこみ上げてきました。

誰にとっても観やすい映画、では決してないし、観通す上で相当なエネルギーを必要としますが、今観るべき価値のある作品であることは間違いありません。

監督の言葉通り、本作のエンドマークはお預けです。物語の続きは観客一人ひとりに委ねられました!

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yui

4.5これは映画を超えた愛そのもの

2020年8月6日
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鑑賞方法:映画館

文明開化と人云ふけれど
野蛮開発と僕は呼びます

中原中也「野卑時代」

海辺の映画館、観てきました。
ピカとドン。
この2つの時間差で生死が分かれた。
ピカっと光っただけの爆心地にいたひとは即死で、ドンの音まできいたひとは原爆後遺症で苦しみながら遅れて死んでいく。
そんな8月6日の広島でのクライマックスを迎えるまでの映画のストーリーは、ピカという言葉だけが暗号のように出てきて、それが広島だとわからないくらい、爺ファンタこと高橋幸広が操縦する宇宙船から俯瞰して地球とその上で殺戮をくり返す人間の戦争時代を、タイムマシーンで行ったり来たりしながら、ハチャメチャに展開していく戦争ファンタジー映画なのだ。
本来の公開日は4月10日だったが、コロナ禍で延期となり、奇しくもその日が大林宣彦監督の命日となった意味。
プランデミックの煽りを受けた映画館も軒並み低迷し、やっと再開して7月31日に公開。
その6日目の8月5日にやっと観ることができた。
翌6日が最終日だったので混むかもと、たまたま観た日が、広島の前日だったため、映画の後半からまったく同じ、広島の前日の状況をシンクロしながら体感することになった。
この映画は、尾道三部作でわたしの何分の一ができてるくらい、時かけ転校生さびしんぼうが青春時代とまるかぶりな80年代に大影響を受けたのち、しばらく大林映画から遠ざかり、やっと最近の戦争三部作の花筐で久しぶりに映画のよさを味わったわたしにとって、それまで観た大林映画のすべての要素を、命の限界に達しながらも極限のエネルギーで調和した、集大成という言葉を超えた、時代のエネルギーが凝縮して映画になったかのような、大林映画史上最大級の、日本映画史上でも巨匠黒澤明の夢なんて遙かに超えた3時間の超大作に仕上がっていた。
一言でいうと、まったく説明できん、レビューなど書けるような映画ではなかった。
冒頭に示したような中原中也の詞が、1世紀も前とは思えないリアルな言葉として挿入される。
戦争反対を露骨に表現するでなく、当時の人がいかに戦争の狂気に染まり、否が応でも忠誠心や誰かのための美意識で命を捨てていき、江戸末期から明治の戦いから世界大戦へと、どんどん狂っていく姿はもう誰も止められない。
それをただ表現した映画を、鑑賞者が傍観することが、あの時代に、ただ時代を傍観して、だれも自分事にしなかったから戦争になったのだという監督の慈悲深い想いから、この映画では、映画の中の映画に、映画館の観客が上映されてる戦争映画特集のスクリーンの中へ入っていく。
映画は、監督の完パケでなく、観客が能動的に変えていかなければならない。
ハッピーエンドのない映画を、自分たちで変えていかなければならないのです。
映像は大林監督らしいチープな映像処理が飛び交いますが、それはいかにもリアルな映像だと傍観してしまうので、あえてリアリティを排除し、誰もが映画の中に入り込める余裕をもたせ、いったいこれは映画の中側なのか、映画の外側の世界なのかわからなくさせる大林マジックなのです。
出演者の俳優のことや、ミュージカルタッチの数々の歌のことや、書きたい要素が細かくたくさんありすぎて端折っても、こんなに書いてしまいました。
すべていいです。
悪いとこ気に入らないとこが一切ない、純文学映画。
戦争は映画から学ぶしかない。
それは映画にしかできないと。
今はあのときのようにとても危険な時代だと。
時代の傍観者にならず、自分で考えれば戦争になどならないと。
だからこそ、監督はこの作品を遺作となっても、死んででも作り上げたかった。
あと30年は映画を作りたいといって、作り上げたのです。
こんなセリフもあった。
恋人を選ぶときのように、平和を見つけなさいと。
今の平和は、真剣に選んでないよね。
監督は、こんなすげえ映画を残して天国へいっちまった。
死んだんじゃなくて、映画の中で永遠に生きつづけ、僕らを応援してくれてる。
大林宣彦監督、ありがとう。

今日は8月6日、広島の日。
8時15分に黙祷します。

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fuhgetsu

4.0人望のなせるキャストです。

2020年8月5日
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贅沢な、ほどの人がかけつけた映画です。
尾道、広島を愛した、大林監督の全てを映像にした作品です。反戦を声高に口にしては、いないけど、大林監督が広島を大切にするに、当たり、必然的な要素ですね。
映画好きが純粋に映画監督を職業にした人だと。凄く感じました。

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酒呑童滋

4.5大林監督の映画愛をもれなく受け止めました

2020年8月4日
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鑑賞方法:映画館

今年4月に逝かれた大林宣彦監督の遺作にして集大成。今年の日本映画のベストワンであります。

ここには戦争の愚かさを伝えるという強い思い、そして何より映画への深い愛が在りました。

今日で閉館となる尾道の海辺の映画館。オールナイトの戦争映画特集。煙草と便所のにおい。私もこの映画館の客席に座る。

開始早々『今日も私は映画の中に入る。自分が自分であるために。』なんて台詞にウルウルしてしまう。これは私だけではないだろう。映画哲学とでもいうべき言葉が地雷のように埋め込まれ、それを踏むたびにグッとくる。

ここまで刻むかと思うほど細かく刻んだ映像に大量の台詞。これを鳴り止むことがない音楽に乗せて繋いでいく。もうノリノリだ。そしてスクリーンプロセスを多用した非現実感が『映画は映画である』と主張する。まさに大林ワールド。

ホント変わらないスタイルで嬉しくなる。何度もリフレインされる『嘘から出たまこと♪』というフレーズ。映画という作りものを通じて真実を語ろうとする大林監督の一貫した姿勢をシンプルに表現した素晴らしいフレーズだと思う。

映画の中に入り込む主人公の三人。戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前の広島。過去の悲劇を変える術は無いが、未来は変えられるという強いメッセージが在った。

大林監督との最後の真剣勝負を堪能した。とてつもない思いが込められた179分だった。清々しい感動があった。心地よい疲労感が残った。

映画に愛をこめて❤️

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エロくそチキン

5.0これが映画に身を捧げた男の生き様!

2020年8月4日
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鑑賞方法:映画館

私はいったい何を観させられていたんだろう?これが大林監督が血肉を注いで表現したかったことなんだと、真正面から叩きつけられ、圧倒され、そして180分が終わってしまった…。
とにかくコンセプトも展開も斬新、こんな作品、他に誰が撮れるだろう?
なにをどうレビューしたらいいのか解らない。
とにかくとんでもないものを観た。それだけ。
同じ役者なのに、ころころ変わるキャスティング、時代背景、そして中原中也の詩…。
とにかく全員の観客の脳をリカバリーしたような、そんな感覚さえある。
クロマキーを敢えて使っての表現もとても良かった。
そのチープさが、かえって悲痛を表現していたとも思う。

ややや、ここまで書いても整理できないなんて初めてだ。
そしてエンドロールが終わって照明が明るくなるまで、誰一人席を立たなかったことが、
すべてを物語っている気がする…。

大林監督、あなたを理解するには、まだまだ脳が未熟でした。
また改めて観て、何度も咀嚼して、胸の中に受容したいと思います。
どうぞ、安らかに…。

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茉恭(まゆき)

4.0未来へ託した自分の為の自分だけの遺作

2020年8月3日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

萌える

大林宣彦という作家の原点であり集大成ともいうべき映画だった。
軽くて、不気味で、エロティックで、細々していて、ノスタルジックで、そして感動的で…。
テクノロジー的な進化を全く感じなくて、途轍もなく古めかしい。しかし、感情や感覚を奥底から揺すぶられるような思いになってしまうのだから、まさに映像マジック。
自分勝手な大林作品のイメージとしては、常に哀しいというもの。であるから、この最後の作品も、哀しくて、どんなに軽く陽気で派手な演出がふんだんに盛り込まれていようと、それがまた感傷を高めているような、そんな辛さを含んでいると強く感じてしまった。
今の日本は巨匠の目にはあまり好ましいものには見えていなかったようだ。
その元凶をただすべく、過去を(複雑怪奇でありながらも)丁寧に再現記録し、未来への強いメッセージを放っている。表現が余りにも独特すぎるので、素直に聞き入れることができないという鑑賞者は少なくないだろうけれど、作家の強い意志や哀しみは存分に伝わってくるはず、多分…長いし複雑で難解なところもあるけれど─。
劇場で寝ててもいいけれど、少しは何かを感じて、作品の雰囲気とは違った未来をつくってほしかったのでしょう。
変えたい過去は無数にあるし、過去を変えようと試みた映像作品は数多ある。大林映画にもあった、と思う。でもそのどの作品も過去を改変したものは無いのでは─。この遺作も、結局過去は変えられず…。でも未来はこれからつくられるのだ!という意志を自分は感じることができた。
すでにその志を受けつぐ者が日本映画を作り続け、これから受けつぐ者が良作を作り上げそしてまた世界を作り上げていってくれることだろう。それが決して哀しいものではないよう、自らもその中に加わっていこう!と劇場をあとにしながら思いに浸る。

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SH

4.5もう理屈ではないのだ

2020年8月2日
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鑑賞方法:映画館

  この世界の片隅に+ニューシネマパラダイスに大林マジックを大量にぶっかけた作品で、3時間があっという間に過ぎ去り、また、見に行きたくなってきた。

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まさ

4.0大林宣彦という映像作家の遺言

2020年8月2日
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鑑賞方法:映画館

これを劇映画と呼んでいいのかわからないが、大林宣彦という映像作家のすべてが注ぎこまれた遺言と言うべき映像作品。
戦争、チャンバラ、アクション、歴史物、白黒サイレント、ミュージカル、SF、ファンタジー、メロドラマ(そしてヌードシーンも)など、あらゆる映画のジャンルを取り入れ、映画への感謝、敬意に満ち溢れている。
始まりから目まぐるしいカット、音、色、字幕、合成映像の連続で、このままついていけるかと思ったが、偽のインターミッションを挟んで、3時間という長さを忘れて一気に観入ってしまった。
モチーフとなっている中原中也の詩をはじめとした無数の引用とともに、大林監督から私たちに手渡されたこの遺言を、どう受け止め、どう答えていくかが問われていると強く感じた。
とにかく、これだけの作品が作られ、残されたことに対して、大林監督はもちろんのこと、この作品に関わったすべての人に感謝する。

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山の手ロック

2.0残念ながら合わなかった

2020年8月2日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

大林宣彦監督の遺作となったので期待して観に行ったが・・・これ映画なんだろうかと観ながらずっと疑問に思ってた。
反戦、平和を訴えてるのはわかるし、共感した。しかし、これを劇場で公開するような内容だろうか?3時間と長いし、だるくて眠くて仕方なかった。

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りあの

4.0大林監督の願い

2020年8月2日
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泣ける

知的

 大変に癖のある作品で、前半はその世界観に入り込めず、失敗したかなと思っていた。しかし中盤から徐々に面白くなり、終盤になるとなんでもない場面にも感動するようになる。前半にばら撒かれたわかりにくいシーンの真意が終盤ですべて明かされるのだ。そういうことだったのか、大林監督!と膝を叩きたくなるいいシーンの連続である。

 明治維新の際に活躍した西郷隆盛や坂本龍馬や大久保利通がたとえ現代に生きていたとしても、世の中は決してよくならないと思う。ひとつは、国をよくしたいという情熱に満ちた彼らであったが、彼らのいう国とは国家のことであって国民のことではない。開国直後の日本は欧米の列強に伍していくことが主要な課題だったのだろうが、現代に求められるのは国民が平和に幸せに暮らせる国造りである。人権という考え方が世界中に浸透している時代なのだ。
 もうひとつは、時代が彼らを否定したということである。彼らが不慮の死を遂げたのは、結局は当時の国民が彼らを望んでいなかったからだ。時代というものはそういうものである。その時代、その時代に、目に見えない大多数の意志みたいなものが確かに存在するのだ。日本が中国や朝鮮、東南アジアを侵略したのは国民の大多数がそれを望んでいたからである。大林監督はその国民性を付和雷同として一刀両断する。現代に待ち望まれるのは維新のヒーローの再来ではなく、ひとりひとりの自立した世界観なのである。

 昔から役人は国民のことを蒙昧であると考えている。啓蒙という言葉の対象は常に庶民だ。「由らしむべし知らしむべからず」という封建主義時代の施政方針も同様に国民を馬鹿にした考え方に基づいている。実は現代の政治家や官僚も依然として同じ考え方をしていて、国民には情報を公開しない。都合の悪いことは教えないのが江戸時代から連綿と続く施政方針なのである。だから学校の教科書では日中戦争や太平洋戦争を教えない。そういう戦争があったことは教えても、その実態については教えない。
 映画人は教科書が教えない映画の実態を描いてみせる。百聞は一見に如かずだ。教科書で教わるよりもよほど戦争の本質が理解できる。大林監督は本作品を通じて、戦争映画を見よ、そして戦争の悲惨さを知れ、愚かさを知れ、愚かさの来る所以が国民の付和雷同であることを知れというのである。
 本作品では兎に角たくさんの名前が登場し、ひとつひとつの名前がとても大事にされる。全体主義の世の中では個人が重んじられず、個人は全体のための犠牲となることを美徳とせよという価値観に席巻されている。つまりは天皇陛下万歳と言って死ねということだ。対して戦後民主主義の範である日本国憲法は個人主義であり、第13条には「すべて国民は個人として尊重される」と書かれてある。
 映画は人生を描くものだから、常に個人が主役だ。名前を大事にするのは個人の人生を大事にするということである。そのあたりの大林監督の覚悟が本作品全体を通じて強く訴えかけてくる。その魂のありようは立派であり、見事であり、悲壮である。だからなんでもないシーンでも落涙してしまうのだ。

 さて映画の中ではところどころで中原中也の詩が部分的に紹介される。戦争という言葉が中也の詩の中に出てくるのは本作品で紹介された「サーカス」の他にもう一篇「秋日狂乱」という詩である。

 僕にはもはや何もないのだ
 僕は空手空拳だ
 おまけにそれを嘆きもしない
 僕はいよいよの無一物だ

 それにしても今日は好いお天気で
 さつきからたくさんの飛行機が飛んでゐる
 ───欧羅巴は戦争を起すのか起さないのか
 誰がそんなこと分るものか

 今日はほんとに好いお天気で
 空の青も涙にうるんでゐる
 ポプラがヒラヒラヒラヒラしてゐて
 子供等は先刻昇天した
(中原中也「在りし日の歌」より「秋日狂乱」の冒頭部分)

 本作品はこれからも戦争映画を作り続けてほしいという、映画人に対する大林監督の願いであり、戦争映画を観て戦争の本質を知り、全体主義の陥穽にはまらないでほしいという観客に対する願いでもある。個人を重んじるためには多様性を受け入れる寛容さが必要だ。映画を観て寛容な心になってほしい。しかし現代は世界中にヘイトが蔓延しつつあるように見える。大林監督は不寛容な全体主義が猖獗を極めようとしている現状を危惧していたに違いない。

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耶馬英彦

5.0大林 "・爺" ありがとうございました!

2020年8月2日
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大林 "・爺" ありがとうございました! 嘘から出た実 = 《平和への希求》願い。広がるイマジネーションと歴史、平和も広がればいい! と同時に映画という表現への祝祭でラブレターのように総覧していく、なんたるエネルギー量。戦争映画を中心に多ジャンルに広がっていく映画史と日本史、そして"未来の歴史"を作ることができる可能性を秘めた明日を生きる僕たちに託されるバトン。観客も主体性を持つことできっと"ハッピーエンド"は実現する。だってハッピーエンドは永遠、ハッピーエンドは万国共通なんだから…アンハッピーなことばかりの現実においても。
生涯現役。大林宣彦監督本人も恐らく今度が本当の本当に最後になるかもしれぬという意識があったのか、(とりわけ前作『花筐』はじめ近年の)集大成的かつ明確なメッセージが1ミリの言い訳もなく観客の心を射抜く。と言っても作品そのものは感傷的になることなくキッレキレな大林節・ワールド全開炸裂で、怒涛のカット割と情報量にむしろこちらが付いていくのがやっとというくらい必死。いつにも増してトリッピーな仕上がりになっていて、本当にすごいなぁと脱帽。頭が上がらない根っからの表現者精神とそれを実現するために必要な衰えを知らぬクリエイティビティ(←敵性言語)をお持ちの方だった。こういう言い方が正しいのか分からないけど遺作に相応しい。
宇宙規模で考えれば僕たちはみな同じ"人"なんだから。僕も真っ直ぐなくらいマヌケでありたい、そう思う。

中原中也

今年映画館多分42本目

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とぽとぽ

2.5大林監督の遺言フィルム

2020年8月1日
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鑑賞方法:映画館

色々と大林監督らしかった。当たり前ですけどねw
遺作って言うより遺言。商業映画と言うより、個人記録。intermission以降は映画って言う感じはあったけど、個人的には多弁が苦手なので、しんどかった。脱線して喋り過ぎになってるところを全部切り取りたいw

いずれにしても。

大林監督のご冥福を、心からお祈り致します。

−−−−−−−−−−−−−
8/2追記

映画の中に「人影の石」が出てきます。爆心地から260mの場所にあった「住友銀行広島支店」の階段に残された、人が座っていた痕跡とされているものです。

「そこに座っていた人は、余りの高熱で一瞬にして蒸発した」と言う「人体蒸発説」が流布されており、広島市の公式記録誌にも「爆心地から半径500m以内の地域は(中略)ほとんど蒸発的即死に近く(以下割愛)」とあるのですが、そもそも、この「公式」がデタラメです。

地表面温度は最大4,000度まで達したと推測されていますが(大林監督が言った6,000度も盛り過ぎ)、炭化した組織は残ります。

この映画の直前に美甘章子さんの「8時15分」を見たばかりでしたので、ちょっと気になってしまいました。

それに、映画で歴史は学べませんでしょうよ。

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8/19 追記

因みに、爆心地から半径500m以内での被曝を「近接被曝」と呼びます。1972年時点で、近接被曝の生存者は、78名おられたそうです。どれほどのご苦労があった事かを思うと、言葉になりません。

この映画の中での表現には許せないところが有ります。残念な気持ちで一杯です。ちゃんと頑張って生きて来られたんですよ。勝手に死んだことにするなよ。って思いながら見てました。

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bloodtrail

2.0映画はエンタメ

2020年8月1日
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悲しい

楽しい

難しい

2019年、尾道の小さな映画館「瀬戸内キネマ」が閉館になる日、オールナイトで上映された戦争映画特集に訪れた観客が映画の世界に入り込んでしまい巻き起こる話。

戦争映画といいつつ歌謡ショーの様なシチュエーションから劇中劇が始まって、現実と映画の世界が一緒くたになり、3人の青年がスクリーンの中に入って、劇中劇の登場人物となっていく。

中原中也を引用しつつ、戊辰戦争から始まり太平洋戦争まで、沢山のシチュエーションと時間軸を行ったり来たりしながら寸劇を繰り返していく流れで、コミカルさと若干の重さが常に同居し、ブラックな表現もチョイチョイはさんでくる。何故か巌流島もw

基本ファンタジーなところに戦争の無情さや虚しさを織り込んでいる感じで、面白いといえば面白いけれど、似た様な題材の寸劇の積み重ねだし、抽象的なところもあって、果たして自分はちゃんと読み取れているのか…。

あらすじに記されている桜隊が登場するのは2時間過ぎてからw
桜隊が登場してからは結構巻き返した感じだけど、やっぱり長過ぎた。

コロナで延期になってしまったけれど、この作品が当初封切りされる予定だった2020年4月10日に亡くなった大林宣彦監督。
オープニングとエンディングのナレーションに一言ずつだけど監督の声が入っていたり、劇中でも二役ぐらいやってたり、なんか色々と感慨深い。

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Bacchus