劇場公開日 2020年7月31日

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「大林宣彦という映像作家の遺言」海辺の映画館 キネマの玉手箱 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大林宣彦という映像作家の遺言

2020年8月2日
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鑑賞方法:映画館

これを劇映画と呼んでいいのかわからないが、大林宣彦という映像作家のすべてが注ぎこまれた遺言と言うべき映像作品。
戦争、チャンバラ、アクション、歴史物、白黒サイレント、ミュージカル、SF、ファンタジー、メロドラマ(そしてヌードシーンも)など、あらゆる映画のジャンルを取り入れ、映画への感謝、敬意に満ち溢れている。
始まりから目まぐるしいカット、音、色、字幕、合成映像の連続で、このままついていけるかと思ったが、偽のインターミッションを挟んで、3時間という長さを忘れて一気に観入ってしまった。
モチーフとなっている中原中也の詩をはじめとした無数の引用とともに、大林監督から私たちに手渡されたこの遺言を、どう受け止め、どう答えていくかが問われていると強く感じた。
とにかく、これだけの作品が作られ、残されたことに対して、大林監督はもちろんのこと、この作品に関わったすべての人に感謝する。

山の手ロック