「嘘や改ざんが行われている、今観る映画です。」国家が破産する日 ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
嘘や改ざんが行われている、今観る映画です。
タイトルの「国家が破産する日」は、1997年12月3日に韓国政府が
国際通貨基金 (IMF)とアジア開発銀行からの550億ドルの緊急支援
協定を締結した日を表しています。
2001年8月、韓国は、IMFからの借入金を完済しました。
2005年、韓国は、アジア開発銀行からの借入金を完済しました。
韓国政府は、ドル/ウォンレートの数値が上がり、韓国製品のドル建て
価格が安くなり、韓国の大企業が韓国製品を輸出し、利益を得て、借金
を返済しました。
パク・デヨン財務局次官の見通しが当たったということになります。
ハン・シヒョン通貨政策チーム長は、通貨危機を救えなませんでしたが、
通貨危機による混乱の見通しは当たりました。
「国家が破産する」という意味は、政府が国債に関する返済の義務
を放棄し、返済しないという状態になることです。
政府がインフレーションにより国債に関する返済の義務を事実上の
放棄することも国家破産と考えられています。
日本人は忘れてしまったもしれませんが、第二次世界大戦後の
日本政府は、国家が破産した状態でした。
この映画では、韓国政府が嘘をつき、事実を隠ぺいしたことが描かれ
ています。
第二次世界大戦中の日本政府も、嘘を発表し、事実を隠ぺいしたことで
敗戦し、国家が破産しました。
この映画は、金融用語が多く理解するのは大変です。
金融用語は、パンフレットに説明があるので、金融用語に詳しく
ない人は、パンフレットを鑑賞前に読んでおくと良いです。
人間関係は、多く描かれていないので登場人物に感情移入はしに
くいです。
人間関係は、パンフレットに説明があるので、パンフレットを
鑑賞前に読んでおくと良いです。
ドル/ウォンレートと外貨準備高が所々で表示されます。
ドル/ウォンレートの数値が上がれば、1ドルのドル建ての韓国国債を
返済するのに多くのウォンを必要とします。
ドル/ウォンレートの数値が上がらないようにするためには、
外貨準備高のドルを売却して、ウォンを購入するという為替操作
を行うことになり、外貨準備高は減ることになります。
外貨準備高がなくなれば、ドル/ウォンレートの数値が上がり、
ドル建ての韓国国債を返済することができなくなり、国家破産となる
ということです。
韓国政府を信用するのであれば、ドル建ての韓国国債は返済せずに、
再投資されて、ドル建ての韓国国債を購入するので問題にはなりません。
韓国政府を信用しないのであれば、ドル建ての韓国国債をドルにした
方が良く、ウォンを売り、ドルを購入した方が良いということになります。
だから「信用」が重要になってきます。
国の「信用」は、米国の格付け会社が決めています。
国の経済は国債を発行し、国債を購入する人は米国の格付け会社が
決める格を見て、国を信用し、国の国債を購入することで成り立っ
ています。
米国の格付け会社が決める格が決定的に重要になるということです。
商品を購入し、販売するミドパ百貨店は、商品を販売するまで現金
を得ることはできません。
ミドパ百貨店は、製造会社から手形決済を使用して、商品を購入し、
販売した後で、現金を製造会社に支払うことができます。
ミドパ百貨店が倒産し、手形を不渡りになれば、製造会社は現金を
得ることはできなくなり、原材料を仕入れた代金、製造にかかる
社員への賃金等を支払うことができなくなります。
経済は、お金を貸して、返済することで成立しています。
お金を相手に貸した後で、お金を貸した相手が返済できなくなれば、
経済は成り立たないということです。
お金を相手に貸す場合に、相手にどの程度の返済能力があるかを確認
した上で、与信(信用供与)し、お金を貸さなければならないという
ことです。
返済能力があるかを確認せず、与信し、お金を貸して、返済できなく
なれば経済が破綻するということです。
当たり前のことに感じますが、当たり前のことが当たり前でなくなり、
バブルが発生し、バブルがはじけることを繰り返してきています。
「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」、「ウォール街」、
「ウォール・ストリート」、「マネー・ショート」や
「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」という金融映画を
鑑賞するとよくわかります。
この映画を観て、金融映画に興味を持ったなら、上記の映画を鑑賞する
ことをお勧めします。
この映画では、韓国等の通貨危機がなぜ起きたのかについては
描かれていません。
韓国等の通貨危機は、米国が短期金利を引き上げたために、
韓国のウォンを売り、米国のドルを購入し、ドルで短期金利の
上がった米国の国債を購入することで韓国から金利を上げた米国
に資金が移動したから発生しました。
米国が短期金利を引き上げた理由は、失業率が下がり、
インフレーションが発生し、バブルが起きるのを回避したためです。
現在は、米国は失業率が下がり、インフレーションが発生し、バブルが
起きるのを回避するために短期金利を再び引き上げ始めています。
韓国政府は、外貨準備高を4000億ドルと公表していますが、また嘘を
発表していて、2000億ドル以下、最悪500億ドルとも言われています。
ドル/ウォンレートの数値は、1,100程度から上がり始め、1,200程度
まで上がった後、1,150程度まで下がっています。
韓国政府は、外貨準備高のドルを売り、ウォンを購入するという為替操作
を行っている可能性があります。
理由は、韓国のドル建ての借入金のうち、短期債務は1200億ドル程度と
言われ、ドル/ウォンレートの数値が上がると、ドル建ての借入金の返済
が困難になるからです。
「光州5・18」、「タクシー運転手 約束は海を越えて」、「弁護人」、
「1987、ある闘いの真実」、「共犯者たち」や「スパイネーション/自白」
でも韓国政府が嘘を発表していたことが描かれています。
近い将来、1997年と同じ状態に韓国がなる可能性があるということです。
日本政府は、韓国政府と通貨スワップを結ぶべきではありません。
日本でも、貧富格差が拡大し、非正規雇用、外国人労働者により賃金が
低下するという現象は確実に起きていますが、ゆっくりと進行させている
ため目立たないだけです。
パンフレットは、よくできているので、映画を理解したい人にはお勧めできます。