セーラ 少女のめざめのレビュー・感想・評価
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みんな気の毒
終盤思いもよらぬ方向へ舵を切る本作だが、主人公含め気の毒な人間が量産されるハメになる。女優として成功する為に数々のオーディションに行くもシバかれる日々を送っていた主人公にチャンスがやって来る。だがそれが恐怖の始まりであった。。。
オーディションに落ちまくって闇落ちするのかと思いきや、そうでは無いのが本作で、今となってはデミ・ムーア主演の「サブスタンス」とやや被るところもあるかも知れない。芸能界がどれだけ厳しい物かが作品に大きく影響してくる本作だが、ポスターの割には大人しい映画である。その中で主人公が次第に狂っていく姿は中々迫力があった。鬼気迫るオーラが漂い、それが終盤になって爆発するのである。
95分の本編に対し、ドラマパートに60分ちょっと割かれているため、非常に主人公に感情移入出来る。友人は親身になってくれるが、それがプライドの高い主人公にはグサッと来るのだろう。そんな友人のそばには同じ俳優志望の能天気で胡散臭い仲間。ちょっと嫌味な奴が居るのもいかにも芸能界の裏の顔という感じだ。
いざ"覚醒"してからは展開が早く、人の頭を叩き潰したりなどのスプラッタ表現も多々登場する。何故そうなったのかなど、"覚醒"に関する部分は曖昧にしか描かれず、ある程度観客が予想して観るようなイメージだが、丁寧だったドラマパートから一転、投げっぱなしになる展開は恐らくわざとだろう。彼女の人生や夢が一瞬にして壊れる様を撮りたかったのではと推測される。拡大公開する程の作品ではないだろうが、ホラーファンには多少なりとも刺さるのではないだろうか。
ちなみに、原題は「Starry Eyes」。キラキラ輝く瞳という内容だが、これは後半にしっかり回収される。それに対して主人公の名前を邦題にしている日本の配給元はそれを踏まえた上でこの邦題なのだろうか。全然少女じゃないし笑。そこはB級ホラーの宿命と言ったところだろうか。
少女?
セーラ(Alexandra Essoe)は女優をめざしているのだがうまくいかず生活のためにチアリーダーユニフォームの店につとめてしのいでいたが、あやしいホラーのオーディションをうけてセクハラに遭ったうえ悪魔崇拝者に悪魔ナイズドされてしまう。まちがいなくB級だけどショッキングな絵とAlexandra Essoeの熱演で芯あるホラーだった。
imdb6.0、RotteTomatoes74%と56%。
主人公の成人女性を少女よばわりしている邦題が適当すぎる。セーラ少女覚醒って、なんかとほうもなくばかにしていると思った。
(邦題はふたつあるがひとつがセーラ少女のめざめとなっていてこんなホラーで炉利需要を掘り起こそうとする根性に”ノーバンで投げた”みたいなうんこ根性を感じた。)
原題Starry Eyesは映画スターの目と悪魔をあらわす五芒星をかけていると思われる。
悪魔崇拝といっても話は適当かつ漠然としていてセーラがゴアとスラッシャーをするのが概要。
Najarra Townsendというモデル顔がゾンビ化していくContracted(2013)というホラーがあったがあんな感じだった。
Alexandra Essoeが巧かったのでimdbを見たがその後もホラーしかなかった。童顔・華奢な外観なので役の幅はせまいのかもしれない。
Me Too運動よりも以前の映画(2014年)なので、オーディションで脱衣をもとめられたりプロデューサーがさわってくるシーンが堂々としている。
装丁によるとイーライロスが「最高にスタイリッシュな傑作ホラー」とほめているんだが、いかにもイーライロスがほめそうな映画だ──という感じはしたが、まったくスタイリッシュということはなかった。
余談だがセーラが勤めている店はフーターズの”もどき”で、前に友人とぴったりした服を着た女性が接客をしてくれるアメリカのレストラン(フーターズ)が銀座にできたからこんど行こうと話をしていて、次第に「こんどフーターズいこう」がその友人との合い言葉のようになってしまい、わたしはぜんぜん行きたくなかったが、挨拶のようなものだと考えてその合い言葉を使っていたが、その後友人がしんだのでいかずじまいになった。友人がしんだのは残念だったが銀座くんだりまででかけて散財しなくて済んだのはよかった。これを見てあの友人をなつかしく思い出した。
光り輝く眼
扉は開けられるのは私だけ。
女優として成功を夢見るセーラの辛さやもどかしさ、恐怖も高揚もストレートに伝わってきて、終始彼女に寄り添いながら観ている感覚になった。
抱き続けた夢のため目の前に示されたチャンスのため、起こした行動の代償と対価。
スリラーとスラッシャーとオカルトと、色々な要素が混ざり合いどんどん混沌としてくる展開にどんどん興奮してくる。
同じ夢を持つ同志からのあからさまな嫌味とマウント攻撃、不本意な現実へのストレスがしんどい。
リアルに心をチクチク刺してくる絶妙な塩梅だった。
セーラ自身もなんだか不器用で選ぶ言葉にセンスは無いし、いつも一言多い印象。頑張っているだろうにこれでは生き辛い。
しかし人の怪我でフッと笑えるその精神がとても好き。そうそう、それこそ本音。
セーラのビジュアルの変遷が楽しい。
一つの決断をきっかけに始まる、不可解でグロテスクな変貌。
彼女にだいぶ移入して観ていたので、これは結構本気でキツかった。好き。現実になりませんように。
もう駄目かと思ったところでの解放、多種多様な殺戮には思わず拳を握った。痛い痛い!
どうせ魂を売るなら好きなことへ。燃える夢に全て奪われるなら本望。
生まれ変わったその眼に引き込まれる。
欲望と野心を理由に倫理を冒す人の姿はこの手の映画では大好物。
最後は謎の多幸感に包まれて胸がいっぱいになる。
ただ、行き着く先がちょっと安直な気もする。
もっともっと目覚めても良いと思う。
混沌とした先の収まりがわりとお綺麗だったので、そこからもう一段階ヒートアップしてくれたら最高だった。
スターが皆こんな成り立ちだったら…と思うと堪らない。そんなわけないんだけど。
そもそも示されたチャンスも実はそこまで大きくないと思う。
映画としての終盤は多幸感でフワフワするけど、悪魔に身を委ねたその先に本当に思い描いた未来が待っているとは到底思えない。
本当に才能がある人は魂は売らない。
ホラー要素をふんだんに入れ込んだフィクションだけど、起きていることは現実的に珍しくないだろうな。
夢に身を滅ぼす人がどれだけいることか。
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