劇場公開日 2020年7月17日

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「愚か者の詩」劇場 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5愚か者の詩

2025年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

なんだか分からないのだけれど、この映画はとても好き。
「火花」は原作を読んでないけれど、
又吉直樹・・・つまり芸人さんでお笑いタレント
・・・が、芥川賞を受賞したことが驚きとして捉えられた。
最近私は、ラジオの「あとは寝るだけの時間」をよく聞いている。
それで又吉直樹の魅力にハマる?と言うか、気がついた。
気配りとフォローの上手さ、頭の回転の速さ、
その後執筆活動も順調であるらしい。
2020年。
この映画はコロナ禍で公開が延期され、小規模公開と同時に
アマゾンプライムで配信されて、ベストテンのトップを長くして、
何百万人も視聴した。

結論から言うと主人公の劇作家の卵・永田(山崎賢人)は
女性の敵のようなクズです。
永田の才能を信じて、・・同棲するようになっても
生活費を入れない永田。
収入はないからヒモ・・・なのに去勢を張る。
今時こんな女性は居ないだろう、
尽くして尽くしてつくし抜く、なのに
咲き始めたたんぽぽを、踏み潰すような仕打ちを受けても、
沙希(松岡茉優)は、明るく振る舞いともかく馬鹿じゃないか・・・
そう思う程健気な女性。
《永田は古い男です》
嫉妬深い・・・
沙希が永田の所属する劇団「おろか」の舞台に駆り出されて、
演技をする、ことの他、才能がある。
チヤホヤされる沙希に嫉妬した永田は、沙希の女優への道を断つのです。
もう腹立ちました。梨のシーンもショック!!
でも、でも、憎めない、永田ん憎めない。
私はこの映画が好きだし、山崎賢人と松岡茉優の演技に涙しました。
永田は自分が売れないこと、才能がないことに耐えきれない男。
才能がある友人(筧一郎)、売れていく友人たちに取り残される
追い越されていく焦燥。

山崎賢人は下手だったと言う人もいたけれど、完璧に永田を理解して
演じていました。

沙希が半病人になってしまい心配した田舎の母親が迎えに来て
遂に帰って行きます。
(永田と付き合い始めて、5年経ちました)

ラストシーン。
回想でしょうか?
永田が沙希を自転車でアパートに迎えに来る。
桜満開の商店街を2人乗りでスピードを上げて走り抜ける。
幸せそうな沙希。笑い合う2人。

どうして永田は沙希を
“大事にしてこなかったのだろう“
後悔と思い出がごっちゃになって、
永田は泣くのです。
そして思う。
“俺は沙希を幸せに出来ない“と、

成功を追い求める・・・才能のない者には辛いことです。
(でも又吉直樹はある種の奇才なので)
才能ない男、そして男の幼稚さに憑依する作品、
それを貌(かたち)にした傑作だと思います。

琥珀糖
やっすーさんのコメント
2025年2月2日

琥珀糖さん
共感とコメントありがとうございます
山崎賢人さんと松岡茉優さんの演技がすごいなと思いました
話の内容よりも演技の方に見入ってしまいました

やっすー
しろくろぱんださんのコメント
2025年1月29日

火花と劇場
二作品とも原作は読んでません。
好きな又吉さん原作の映画化だったので興味がありました。
火花が菅田さん主演で
劇場は山﨑賢人さんが主演で嬉しかったです。
琥珀糖さんのレビューを読んでまた観てみたくなりました。
ありがとうこざいます。

しろくろぱんだ
しろくろぱんださんのコメント
2025年1月29日

共感ありがとうこざいます。
わたしも又吉さん好きです。
以前Eテレで又吉さんの番組を拝見して思ったことは落ちついた話し方だったり気さくな降るまいが魅力的な方だなぁと思いました。

この作品はサキの心情になかなか共感出来ないところがありました。

しろくろぱんだ
ゆり。さんのコメント
2025年1月28日

クズ男と馬鹿な女なんだけど、そこが愛おしいんですね?私は観ていてイライラしてしまいましたけれども、山﨑賢人さんは上手だったと思います。

ゆり。