「思わぬ傑作」劇場 takfさんの映画レビュー(感想・評価)
思わぬ傑作
男なら誰しも、いたたまれない気持ちでサキちゃんに100回ぐらい心の中で謝りながら観ることになるだろう。(と思いたい)
無論、自分は売れない舞台俳優でも無く、劇中のような人生は1mmも歩んでいない。
にも関わらず、こんなにも共感できてしまうのは、語られるテーマが本質的で演出が本物志向だからであろう。
すなわちエゴやジレンマ、そして優しさ、愛情といった剥き出しの人間の本質が、決して過剰に泣いたりわめいたりすることなく日常に存在するシーンとして丁寧に描かれており、かと思えばクライマックスはさりげなく、それでいて劇的に転調してみせるという、終始とても見事な演出でした。
原作は未読ながら、「花火」といい、又吉ブランドは映像化に向いていると思いました。
アマプラ同時公開という配給戦略はよく分からないですが、もっと映画館で公開されればいいのに。
あと、松岡茉優さんは安定の大女優でした。
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