ミッドサマーのレビュー・感想・評価
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明るい悪夢
私は女。
メンタルがおかしくて希死念慮に苛まれ、不眠症を患っている。
あらすじを読み、この映画を見たいと思い鑑賞してきた。
結果はずっと味わったことの無い憂鬱な気持ちになった。
希死念慮もない純粋な鬱、かと思えば何かが燃え上がるような躁状態を繰り返している。
開始5分で背後から殴られたような感覚に陥り、ここからずっとODに失敗したかのようなバッドトリップである。
主人公ダニーの恋人クリスチャンの友人たちが出すメンヘラの彼女に対する空気感、そこに主人公が来ると自然と避けようとする友人たち……。
私は過去の経験であったり、居心地の悪さから「もうやめてくれ」と叫びたくなってしまった。
主人公ダニーが自然とペレの近くに座り、話をしたのも「ペレだけは」彼女と自然に話してくれていた経験があったからなのではないだろうか?と思わせる。
途中、私の好きな描写がある。
スウェーデン行きの旅行へ出ることを隠されていたダニーがクリスチャンに対して話をしようと「椅子に座る」ように促すがクリスチャンは座らずに立ったまま話を続けていたシーンである。
クリスチャンは上辺だけ相手に合わせ、だがいますぐにここから立ち去りたい、メンヘラ彼女の面倒事に巻き込まれたくないという幼稚性が出ている。
「私はあなたのことを責めていない」「あなたのことを分かろうとしている」=「だからあなたも私を理解してほしい」という気持ちが見え隠れしていてとても胸に刺さったシーンだ。
このシーンが非常にもどかしく、映画を見ていて何度かの「もうやめてくれ!」が出てくる。
その後、ペレにより村の『儀式』を見せられたダニーは家族を思い出し、「こんな村からは出ていく」と主張する。
しかし、ペレもまた「座って話がしたい」となだめるのである。
ダニーはクリスチャンと違い、「座って話をする」のである。
ここの対比があまりにも美しく、私は鳥肌が止まらなかった。
ダニーは儀式のことを否定し、私は受け入れられないとずっと嘆いていたが相手と向き合っていたように思える。
この向き合い方がダニー、クリスチャンであるカップルのすれ違い方であるんだろうなと見せ付けられた。
映画を見終えて。
クリスチャンはたぶん悪いやつじゃなく、健康的な家族を持った恋人とであれば幸せな甘い時間を過ごせていたのかもしれないなぁと思う。
メンヘラ彼女を見捨てた罪悪感を背負いたくなかったんだろうとメンヘラで面倒くさい性質の私だからこそ持てる感想である。
私の感想はここで終わりにする。
最後に言いたいのはこの映画は147分間のバッドトリップを味わう。
他人にはおすすめしたいが、大切な人に見てほしくない映画である。
私はあのバッドトリップをまた味わいたいと思える映画だったのでぜひ2度目環境の整った映画館で見たい。
が、見たくない気持ちもあるのでこの監督は「人の脳を直接揺さぶることのできる」演出が上手いのであろう。
映画を見るときは「快晴予報」の日に「昼間で終わる」時間帯をまた選んであの純粋無垢な悪夢を楽しみたい。
道徳観の絶対性
あなたの知りたくもない世界
他に観るものないし相当な奇作と聞いていたので鑑賞
アリ・アスター監督作品は未見です
感想としては
美しさを感じるビジュアルと共に
コレ作った人頭大丈夫という感じ(褒め言葉)
ただめちゃくちゃグチャグチャの中にちゃんと
メッセージ性は多少あるのかなと感じるものでした
民俗学を専攻する大学生のグループが
卒論テーマや気分転換など色々な理由を付けて
スウェーデンの90年に1度の祝祭に参加します
参加するのは
家族を失い精神的に不安定なダニー
ダニーの恋人で草食系だけど妙にモテるクリスチャン
今回の旅を手引きした地元出身のペレ
論文のためなら周り見えないけど概ね理性的なジョッシュ
バカでスケベのマーク
などで現地で
最初から樹脂でキマッてる人や
イギリス人バカップルに会います
そしてメンバーはもれなく樹脂でガンギマリしており
かなり現実の境目が無くなった状態で9日間の
祭りに参加していきます
その村の祭りは実在する神話がベースにはなっている
ようですがどことなくディフォルメされた感じですが
とりあえずテーマは古き生の死と新しき誕生
一同は村の老人が飛び降りて死ぬ儀式でパニックに陥ります
事前に説明せずに見せてるのもよくわかんないですが
ダニーはトラウマが蘇りイギリス人バカップルは混乱して
帰ろうとしますがバカップルはその後行方が分からなくなります
その後マークは神聖な木に小便をして
ジョッシュは祝祭を卒論のテーマにするのに夢中に
なりすぎて禁忌を破って行方が分からなくなります
ダニーは「女王」を決める儀式に高揚する水を飲まされ
参加し女王になってしまい
クリスチャンは村娘に惚れられて性交の儀式を依頼され
同様の水を飲まされ半ば無理矢理協力されてしまいます
ダニーはその現場を見てしまい絶望に暮れますが
女王として村の一員と認めた村人達は同じように慟哭し
ダニーは悲しみを共有してくれたかのように感じていきます
クリスチャンも性交後全裸で逃げ出してあちこち逃げ回りますが
そこで行方が分からなかった仲間たちが全員惨殺されているのを
目の当たりにしつつ自分も眠らされてしまいます
そして祭りのラスト
9人のい生贄を小屋ごと燃やしますが
女王として最後の生け贄を一人選びます
候補にクリスチャンが含まれていますが
ダニーはクリスチャンを選び他の仲間の死体と
一緒に燃やされダニーは蔓延の笑顔で話は終わります
…終盤はもう唖然として見るしかなかった感じでしたが
結局ダニーは家族を失った悲しみをクリスチャンやその仲間達には
共有してもらえず女王となったときの村人達に一番共感してもらえた
と思ってしまい傾倒していってしまったのですね
これはカルト宗教にハマる時の典型例ですから非常に危ない
またジョッシュら研究のために神聖な祝祭に敬意を払わないと
どんな仕打ちに遭うかという部分もあります(殺されまではしないでしょうが)
他人にはとても理解できない文化や儀式や習慣って
どこの国にもあるいは会社にもあったりしますから
そんなに特異的な事ではないというメッセージも感じ取れます
只とにかくゴアなシーンや生理的に嫌悪するシーンが平気で出てくる
ためPG以上に観に行くには気をつけた方がいいとおもいます
ビジュアルに圧倒されっぱなしになってしまう作品ですが
しいて言えば村に行くまでの尺がちょっとありすぎて
ダレてしまう感じはあるかなと思います
行ってから色々独白していく感じでも良かったんじゃないかと
思います
なんかあまりに殺されに行くだけ感が強かったです
まあホラーはそんなもんですけど
この作品を薦められるかどうかと聞かれたら
怖い物見たさとしか言えません
あんまり中庸な点数を付けたくないのですが
さすがにこれは見る人選ぶかなという感じなので
1点引いときます
禍々しいが救いのある話?
あの アリアスター の長編2作目ということで鑑賞。
前作ヘレディタリーは自分の人生の中で間違いなく最も怖い、というより忌まわしい一本だったが今作はそう言った ホラー的 な感情を主に扱った作品ではなかった印象。
主人公ダニーが家族にある決定的な 呪い をかけられたところで今作のタイトルクレジットが出るが、今作は彼女がそんな呪縛から解き放たれるまでを描いた作品だったと言える。
前作ヘレディタリーのラストもある種の祝祭感が溢れていたが今作はその 救い に向けての話運びがより明確になっている気がした。
白夜のスウェーデンのそれはそれは美しいホルガ村を舞台に繰り広げられる 家族 そして 生と死 のあり方は、ダニーを苦しめる一般的な文化的価値観とは180度異なっており、そのコミュニティの中では彼女の苦しみは意味をなさない。
(180度異なる という点は村に近づいていく途中のカメラワークでも 文字通りの形で印象的に示される)
つまり、村で繰り広げられる様々な 禍々しい風習 がダニーの抱える苦しみに対してある意味 わかりやすく 対照的なものとして描き出されていくので、話の向かう方向性にはそもそも忌々しい雰囲気があまりないのである。
その点でミッドサマーはヘレディタリーと比較して 恐怖 とい成分が少ない印象なのかもしれない。 というか、この映画に関していえばジャンルは ホラー ではないとも言える。
描いているのは 恐怖 ではなく、自分の生きるコミュニティとは全く異なる価値観で生きる人々の 異物感 とその 正しさ(正当性という意味ではなくその場を支配するという意味で)だった。
彼らからすると何一つ間違っていない 全て正常 なのだ。
食人族映画と同じだな。
とはいえ・・・
恐怖が少ない というのはあくまでヘレディタリーと比較してということであり、一つひとつの描写の感じの悪さはやはり凄まじい。
美しい景色の中で美しく繰り広げられる恐ろしく禍々しい風習の数々がほんとーに感じが悪く、なのにそれ込みでやはり超絶美しく撮られている。 それら全部をひっくるめて超キモいのだ。
特に、昔から苦手なのだが、ああいう ヨーロッパの絵本 的なタッチの絵で何か描いてあるだけでもうたまらなく嫌!笑
後半に向けて加速するバットトリップ的描写と合わせての数々はもう完全に見る側の理解を超えて彼らの文化の中で事態が進んでいくので やばい・・・この人たちやばい・・・ ともうただドン引き。
え 結局お前どこからそのつもりだったの? といのはどうやら映画をもう一度見直すと色々とわかるようになっているらしい(ヘレディタリーも結局 最初から詰んでたのね・・・ という話だった)が、とりあえず怖いので見直しません!!
でもダニーを旅行に誘うくだりの時点で こいつなんかやばくない?みたいな雰囲気はビンビンだったとは思う。
音楽 と 音の部分での演出もすごくて、最後とかもう
壮大なんだか 禍々しいんだか 美しいんだか
もうわけがわからない、こんな音楽はこの話以外ではあり得ません
という感じ。
フローレンスピューは今作のほか、個人的に超絶楽しみなストーリーオブマイライフ、MCU新作ブラックウィドウ などの注目作もあるし、ジャックレイナー、ウィルポールターも役者としての地位を確実にステップアップしており役者陣の充実もすごい。
怖いのはわかっているが次回監督作も期待大な出来だった。
いやーしかし本当にアリアスター作品はホント感じが悪い。笑
前作同様 カルト 的な集団を取り巻く話であり、ヘレディタリーの公開の際にはインタビューで 自分の家族に起こった出来事を題材にしていると答えていたが、彼の家族に一体何があったのだろうか。怖いけど聞いてみたい
海外旅行をした事がない私が北欧を満喫
折角の連休なので、「気分だけでも海外へ」と観に行きました。
海外旅行はおろかパスポートすら所持しておらず、このご時世に外国語を話すことも出来なければ、外人の知り合いすらいない私。グローバル社会の中、いまだに鎖国を続けるサムライであるため、海外の文化や風習にも明るくありません。なので、あまり自分の倫理観や先入観だけで海外について苦言を呈したくないのですが、それでも言わせてください。
ハーブはダメ、絶対!!
沢〇、マ〇キー、そして田〇、見てっか?ダメだぞ、君たちはハーブに手を出しちゃダメだぞ!
村に到着し自己紹介から流れるようにオープニングハーブをキメ、ことあるごとにハーブをキメる。心を落ち着けるためのハーブを勧められたり、ダンスの前にもハーブでテンションアゲアゲ。村人全員、パーティーピーポーか何かなのかな?そして極めつけは、女性の村人とのキメ〇ク。しかも、オバサンがメチャクチャ関与してくる始末。あそこに関してはハーブが無かったら無理だったね。しゃーない。
このように、全編通して、「ハーブ万能説」で押し切ってくるのよ。仕方ないんだけどね、わかるんだけどね、ただね、「ハーブだからしゃーない」ってなっちゃうのよ。何か異常な行動があっても、「村人全員ハーブでラリってるもん」ってねw
個人的には良く出来ていたなと。
登場人物の立場になれば恐怖しかないけど、客観的な立場になると、こんなもんかなという印象。北欧に限らず、日本を舞台にしても成り立つ話だし、「閉鎖的な村で続く儀式に巻き込まれた旅人」というのはホラーとして珍しくないですよね?単純だからこそ、細部に凄くこだわっているのが伝わったし、こだわりが凄すぎて1回観たぐらいではわからんという、もったいない状態にもなっていたなと。その手の知識が無いのでわからないですが、考察する余地がめちゃくちゃあるのでしょうね。なので、そういうのが好きな人にとっては傑作だと思います。
強いて言うなら、助かる余地があったのかだけ気になる。
生贄の人数よりも招待客の方が多いわけだし、逃げ切れる選択肢があった方が良かったかも。いくら伝統儀式だからといって「外の人間拉致して、皆生贄にします」では、頭の狂った集団にしかならない。「文明的な人間が論理的に思考した結果、非文明的な儀式を続ける」みたいなほうが決定的に理解が噛み合わないから恐怖を感じたかな。
そういう点で言えば、ラストシーンのヒロインは好きです。村で生きていくことを決めた一方で、皆がWO~WO~している中、一人笑っている。まだ染まり切っていないヒロインが何を感じていたのか、凄く興味深いですね。
鑑賞前は、「若者がバカンスに行く」タイプの単純なホラーだと考えていたのですが、実際は監督の「好き」を詰め込んだ宝箱みたいな作品でした。上映中、観客の息遣いが凄かったので、宝箱の中身についての評価はお察しですw
可哀そうなヒグマちゃん・・・
友人のペレの故郷でもあるスウェーデンのホルガという小さな村。奥にはピラミッド型の神殿もあるし、絶壁の山もある。白夜なだけにずっと明るいため、時間の概念すら奪われそうで、常にトリップした雰囲気の若者5人組。元々は男子4人で行こうと計画していたのに、クリスチャンの恋人ダニーは折しも両親、妹の3人を同時に排気ガス自殺で亡くし、失意のどん底だったために急遽参加することになったのだ。
閉鎖的なコミュニティのカルト的儀式。自然を愛するがゆえに“サイクル・オブ・ライフ”という、人間も自然になぞらえている。なんとなく90年に一度という大祝祭と18年周期の人生が絡み合うが、どうも72歳になったら死を迎えることが自然なようだ・・・。自然に癒されることも大切だ!なんて初日を過ごしたが、彼らよそ者が目の当たりにしたのは驚愕の自殺の儀式だった。
もう帰りたい!と思ったに違いないダニー。民俗学の論文のために必死にメモする黒人のジョシュ、クリスチャンも共同研究したいと言い出す始末。まぁ、自殺だけならそのまま帰れたかもしれないが、『メイズ・ランナー』でも演技が印象的だったマーク(ウィル・ポールター)が枯れ木にしょんべんかけたことからおかしくなった。逃げろ!メイズ・ランナーのように・・・あ、やられちゃったな。
とにかく閉鎖的であるがゆえに、近親結婚もあるんじゃ?という疑問もおこるが、時折外部の“血”を取り入れてるのだという。アメリカではいとこ婚も禁ずる州が多い(可能なのは6州)けど、その考えも取り入れてるのだろう(ちょっと日本と違う)。最終的にはその外部の血が欲しかっただけという目的もあった。
とにかくグロ!明るい草原の風景とマッチしない異様さがまた凄い。ダニーの視線がほとんどなのですが、手や足に草が生えてくる描写が面白かったし、わざとらしくメイクイーンに選ばれ、最後の生贄の決断を迫られるところもいい。ペレくんが大仕事をやってのけたんですね。
それにしても上映後、誰も席を立とうとしない。しかも女性たちに人気があるみたいで、「面白かった」「パンフ欲しい」という声が聞こえてくる。男はしょせん種馬さ・・・みたいな・・・どこかで書いた気がする。
まさかのフィジィカル戦!?
家族を失い悲壮感にくれる主人公が、彼氏とその仲間とスウェーデンのある村の祝祭に参加し、そこで巻き起こる出来事の物語。
ヘレディタリーがすごい好きだったので、本作も期待!
結論から言えば、怖さというよりは見ててとても気分が悪くなる作品(誉め言葉)。
村人の明るくオカルティックな雰囲気は独特の不気味さがあったし、何だかんだやっぱり死ぬ間際にはあなたたちも嫌になるんですね。
前半は何というか、祝祭や村人の描写がしつこいくらい続いたのでダレたけど、ある人物が立ちションしてからの展開は爽快なまでの不快感!しっかり堪能させてもらいました。
個人的に色々回収できていない伏線があったような気がするけど・・・。
結局家族が死んだのは直接は無関係?
昼が長いことを何故そんなにマズイと嘆く?
等々、よくわからないことがまた不気味だったり。。
とにかく、怖いというよりは不気味で気分の悪くなる映画だった。
ただ、ある儀式について、「話してなかったの!?」って言うくらいなので、何だかんだ自分達がやっていることは普通じゃないって意識はあるだなと・・・。そこは振り切ってくれてたほうがより怖いかと。。
あと、どうでも良いけど、夜に普通に寝るのより昼寝の方が幸せな自分としては、ほぼずっと明るい環境がちょっとうらやましかった(笑)絶対に行きたくはないが。
また女王を決める儀式(競争)がまさかのフィジィカルバトルなのはちょっと面白かった(笑)まぁあれも出来レースなのかもだけど。
最後に鳥肌が立った。原始的な、根源的な畏怖を揺り起こされたような…こんなホラーは日本では(ジャパニーズホラーとやらを作っている限りは)生まれないだろう。
儀式の最後、生け贄の館が燃え上がるシーンで全身に鳥肌が立ち、しばらく治まらなかった。体に火がついた生け贄の一人が泣き叫び出すと同時に、ホルガの人々も、有るものは泣き叫び出し有るものは笑い出す。そのときに、ふと一緒に叫び笑いたくなった。怖い。話はいたって簡単。映画の冒頭で家族を失くしたダニーが映画の最後で新しい家族を見つける話。(何せダニーがパニック障害の発作を起こしても一緒にパニクってくれる家族なのだ。) オジンとオバンとが投身自殺した時点で彼らが生きて帰れないことはわかってしまう。あとの楽しみはダニーとクリスチャン以外はどういう風に消されていくのかということ。そしてダニーとクリスチャンとが最後にどうなるかという興味だけで引っ張っていくのだが、牧歌的でもあり薄気味悪くもあり、美しくもありおぞましくもある、という世界は結構飽きさせない。ホルガに行く途中で走っている車からの視点が180度引っくり返る、いつか夢て見たようなシーンがある。その時、これは面白そうな映画体験になりそうな気がしたが、あそこで既に非日常の世界に入っていた訳だ。
間違ってたくさんの人が観にいくといい。
なぜか都内のTOHOシネマズが軒並み満席に。どうしてA24のカルト、カルチャー、おしゃれホラーがこんなことに、と戸惑いは隠せない。『ウィッチ』でも『ヘレデタリー』でも『イットフォロウズ』でもなくよりによってこれ、の強さは紛れもなく日本人の大好きな「おしゃれ北欧」との掛け算にしか思えない。だって、『サスペリア』のアート風リメイクはパーっとせず、この『2000人の狂人』や『ウィッカーマン』をまさかのおしゃれアート映画に変貌させて、しかも、ヒットしてるというのは目の付け所と売りどころが素晴らしいのだと思う。
監督も『ヘレデタリー』というものがあったからこその自由気ままに単純明快に詰め込んだ感がある。もちろんホラーではない。アートである。多分にふざけているはずだ。観光映画と言ってもいい。眺めていればいい。
カルトか?
期待値上げすぎた
なんとも不思議な映画
朝一で観た。←朝から(笑)
3分の2くらいが明るいスウェーデンで、朝に相応しいかなと。なんてことは全くなかったが。
劇中ではコミューン呼んでたけど、もっとカルト村的な感じ。
家族を亡くして精神的に参ってしまう役を演じたダニーがすごいと思った。
ジャック・レイナー(シングストリートのお兄ちゃん!)が全裸で走り回るのは見たくなかったけど。
カメラワークが独特で、村?に近づいて行くシーン全員が揃って食事をするシーンとか、面白かった。
ラストはうーむ、という感じだったが、きれいな風景と異常な儀式のコントラストが割と面白く、見応えがあった。
人々から凝視されていることに気づいた時の恐怖
ホラーと観るかメンタルケアとして観るか
アリ・アスター監督作品は「ヘレディタリー/継承」のみ観賞済。
「ヘレディタリー」公開時に絶賛の声をSNSで見ていて興味はあったものの機会を逃していたので、この作品が公開されるのを聞いて「ヘレディタリー」を観賞し、「ミッドサマー」が公開された初週に不安半分恐れ半分で観に行った。
事前にホラー映画と聞いていたものの、観終わった時の印象はむしろ"現代人の為のメンタルケア映画"だった。
冒頭で主人公・ダニーの姉が両親を道連れに自殺する衝撃的なシーンから始まり"映画は冒頭五分間で作品のテーマを描く作品が多い"と言うのを知っていたので、こんな胸糞悪いシーンが一体どうテーマに関わるのか一気に心を捕まれた。
村へと向かっていくシーンでゆっくり上下反転していくカメラワークは"ここからは世の理が通用しない"(ここから怖いシークエンスですよ)って言う比喩として解りやすかったし、村に入ってから"村で語り継がれている寓話"を紹介する体で、これからの展開を暗に(冒頭でも)示すのも後々その展開がいざ来た時に精神的な備えが出来るのは良かった。
この手法を見た時点ではホラー映画としては予め今後の展開を知ってしまうのは恐怖感が薄れてしまうのでは?と思ったけれど、白夜と言う太陽が沈まない季節で明るいからこそ恐怖の対象から目を反らせない恐怖と、その展開を知っているからこそその恐怖からも目を反らせないって言う入れ子の構造が常に緊張状態を持続させて、個人的には暗闇が舞台のホラーよりも怖かった。
「ヘレディタリー」でも思ったものの、この監督は既存のホラー映画が醸し出す"恐怖"よりも日常に潜む"人に対する不快さ"、"胸糞悪い気分"を醸し出すのがとても上手い監督だと思う。
序盤では不眠症に悩まされたり、会話の最中でも意識が散漫としてしまうなどショックを受けた事で情緒不安定になっているのがトイレに駆け込むことで時が何日、何時間も進むなど演出的にも強調されていた。
そんなメンタルがボロボロな状態の恋人に対してクリスチャンは支えようとはせず、悩みを吐露出来るような友人も少ない中、結果的にダニーがホルガ村で"家族"と呼べる存在を見つけたのを見るとアリ・アスター監督自身が失恋後にこの作品を作ったってのも相まって、(カルトかどうかは置いておくとしても)集団生活を捨てた個々でしか生きられない逃げ場の無い現代社会は果たして良いのだろうかって疑問を投げ掛けているようにも感じた。
日本だと言い伝えで「姥捨て山」があったり「TRICK」でカルト宗教を扱っている回があるからこそ、ざっくりとした設定はそこまで新鮮には感じなかった(勿論演出が斬新で鳥肌は立った)けれど、海外では観賞後どういう印象だったのか気になる。
何かと比較されがちな「ウィッカーマン」もいずれ見てみたいな。
多幸感と爽快感
トラウマ必須との前評判に警戒しながら見に行きましたが、見終わった後に感じたのは不思議な爽快感と多幸感。思わず顔がほころんでいました。なにこれ怖い。
家族を失い唯一頼れるのが破局寸前の彼氏だけ。彼氏の友達にも嫌われ、気まずい空気が常に流れる序盤の描写が一番きつかった。リアルすぎる。
舞台となるホルガ村は鬱々とした序盤とは一転、青空と草原が広がる爽やかな夏の風景。
そこでダニーたち客人は異文化交流をするわけですが、内容は割愛。多少のグロはありますが、個人的には身構えていたけどそこまでグロシーン多くなかったなという印象です。
グロに関してはSAWやホステルが見れる人は余裕だと思いますよ。
伏線が割とわかりやすく張られているので、「これってさっき見たアレのことでは?」「今映ったのってまさか…?」と自分で見つけて推理して勝手に不安になりました。
美しい色彩に、可愛い衣装。料理は伏線のせいで美味しそうに見えないのが残念(笑)
お祭りも後半になると、薬でラリってる人のように見てるこちらもふわふわした心地に。
絶望から始まり更なる衝撃と絶望を経て、新たな絆と居場所を得て再生するお話でした。
確かにこれはホラー映画じゃなかった。監督の言う通り「失恋映画」でした。
皆様の感想を見ると、私はグッドトリップ派なんでしょうね。癖になる多幸感と爽快感をもう一度味わいたくて、また見に行く気予定です。
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