ミッドサマーのレビュー・感想・評価
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ポスター綺麗だからと観たら、、、、、
私もビビリなのですが、ビビリ友達とポスター綺麗だしと、そこまで怖くないでしょ!と安易な気持ちで観に行ったら2人で見事沈没しました。もっと調べたらよかった、、、、、、
嫌な怖さです、、、ほんとに、、、、
でもちゃんと伏線が張ってあって、終わった後に取り敢えず心を落ち着かせるためにカフェに入って話していると、「あー!!なるほど!?」みたいになりました。でもやっぱり怖い。
ペレの両親が「炎に焼かれて死んだ」っていうのは、、、、ゾッとしました。
怖いのが得意じゃない人が観るものでは無いと思います。怖いのもグロイのも大丈夫な人なら楽しめるかと…
現代の日本に生まれてよかったなって思いました。
丁寧なゲテモノ映画
ラーメンに例えるなら、おいしいラーメンを食べたいと言ってる相手に、二郎系を進めるやつは寸胴鍋に放り込まれるべきでしょう。ただ、ラーメンが好きで二郎系に興味がある相手になら、好きな二郎系を勧めるのは問題ありません。
この作品も似たようなもので、映画を普段から見てる人に、少し変わったのが見たいと言われたならお勧めできます。美術や雰囲気作り、飽きさせないストーリー構成は見事です。しかし、根本的にゲテモノ分類なので、普段映画を見ない人にはお勧めしません。正直、明るい食人族みたいなノリです。
個人的にはオチがちょっと弱かったので、この点数で。
Skåååålll!!!!
1.はじめに
映画「ミッドサマー」はやたらと「9」という数字に拘っていたので、この感想文も9つの章に分けて書き連ねてみることにした。
完全に見切り発車である。やりづらい。
ちなみに鑑賞したのは一週間前なので、この感想は鮮度を失っている。熟成肉である。
2.いきなりの総評
快感の強い映画だった。
インパクトの付け方、モチーフの数々、ストーリー展開、全てたまらなく好きだ。
しかしどうしても苦しくない。
気持ちよくて気持ちよくて、圧倒的に痛みと恐怖が足りていなかった。
いっそのこと終始トランス状態に陥ってしまいたいのに、盛り上がってきたところで現実のテンションに引き戻されてしまうのがなかなかに辛い。
3.まだ続く総評
そもそもストーリー自体はかなり単純でありきたりだ。
ヤバい田舎のヤバい儀式に巻き込まれる系。
それをものすごい熱量で作り込み、やたらと仰々しく勿体ぶって描き、ドヤドヤのドヤ顔で観せてくるものだから、こちらは若干萎えてしまうのである。
しかし、表現力の強さは凄まじいものがあった。
後を引いてたまらないのだ。
この映画の中の色々な物事について、悶々と考えを巡らせてしまう。
そうさせるパワーがあるというのは、実は結構すごいことだと思う。
4.祝祭の開催頻度について
「90年に一度」は絶対に嘘だと思っている。
村人たちの受け入れ方、所作とパフォーマンスの揃い方、慣れ方、女王の写真の数。
それらを見れば、この祝祭が一生に一度あるかないかの催し事ではないことは明らかである。
毎年やるほどの体力は無さそうなので、「9年に一度」が正解ではなかろうか。ほら、だって、9だし。
もし万が一、本当に90年に一度開催しているのであれば、村人たちの練習量は相当のものだろう。
運動会だって卒業式だって練習するじゃない?ああいう感じで何回も何回もやってきたんだろう。
練習風景を想像するとシュールで可笑しい。
5.ダニーとクリスチャンについて
家族全員を失ったトラウマガール、ダニー。
主人公にしては魅力の薄さが気になるが、後半の彼女はなかなか輝いていた。
拒否、共鳴、同化、決別、昇華。
彼女に新しく家族ができて良かった。
あの家族たちはなかなか絶えないだろう。安心して良いんだ。
きっと、あのようにして増えた仲間が何人もいるんだろう。
恋のおまじないを描いたタペストリーの通り、村の少女に堕とされゆくクリスチャン。
「スウェーデンでヤリまくる」という宣言が実現する皮肉さよ。
少女の陰毛を喰らったことしか言及していなかったが、飲んだジュースには少女の血液が混ざり赤みを帯びていた。
あの血液。絵を見たときには経血かと思っていたが、「自分で性器を傷つけて採ったもの」だと認識し直した。そうか、破瓜か。
6.人肉について
明確に人肉を食べている描写は無かったが、喰ってないわけないだろうと思う。
死んだ人間の肉を食べてこそ、村の中で生命が廻っていることになるのではないか。
名前を受け継ぐ〜とか生温いこと言ってる場合じゃない。人肉を喰え人肉を。
崖から落ちた二人の死体を綺麗そのまま焼いていたシーンが信じられなくて、唖然としてしまった。
いや、綺麗そのまま、なわけない。
きっと身体の肉をくり抜いて、中に詰め物か何かして、火葬に出したのだろう。
あのミートパイの中身は二人の肉だったと、私は信じている。
7.ゴア表現について
人体破壊の描写、造形、映し方、インパクト、どれも申し分ない。
完全にパワフルでショッキングだった。
願わくば、その過程を見せて欲しい。
破壊が完成されている肉体をただ見せられても、痛みが伝わってこない。
コニーの絶叫の際、何をされたのか。観たいのだ。
身体を開かれ吊られてもなお息をしていたサイモンの苦しみ。感じたいのだ。
生意気なマークの皮が剥がされる瞬間の歪んだ顔。そのものを見たいのだ。
8.しつこく三度目の総評
最初にも述べたが、恐ろしくない映画だった。
村での出来事よりも、ダニーをめぐる友人たちの気まずい空気の方がよっぽど怖い。
明らかに敬遠したいマーク達と、それに気付けないダニーの構図。ゾワゾワするでしょう。
とはいえ、ここまでの量の感想を連ねるほど、力のある映画だった。
まんまと手の内に嵌っている、ということなのだろう。
正直微妙だったな…と思いつつ、きっと私はこの映画が好きなのだ。
そりゃそうだ。
ホラーなんて、どんなにつまらなくても嫌いにはなれないのだ。
ただし、公式サイトでめちゃくちゃに解説しまくるその姿勢は好きになれない。
「あれ、もしかして…」の状態になるのが一度良いのだ。私はそう思っている。
言われないと気付けなかった点もあったから悔しいんだけどね。
9.おわりに
この一見ボリューミーな感想文は、全然大したことを言っていない。
とりとめなく巡る私の想いを、仰々しく勿体ぶって綴ってみただけなのである。
いかにも「ミッドサマー的」かなと思って、小賢しいことをしてしまった。
いつもの文体とは違う形を取ってきたので、私自身やりづらかったし、読みづらいものになってしまったと思う。
しかし思い返してみれば私の文章はいつ何時も読みづらいものだったので、まあ良しとする。良しとしてくれ。
そもそもこの文章を読んでくれている人はどれくらいいるのだろう。どう考えても長すぎるだろう。ここまで辿り着いた人はいるのか。
実は私の文章を一番読んでいるのは私だと思う。
映画の感想を記録するために始めたものだけど、文章を作ることに楽しみを見出しているのもたしかなのである。
たまにはこういう試みもありかもしれない。
しかし、こうやって長々とずるずると語り続けてしまうのは悪い癖だなとつくづく思う。
「映画の感想」の範疇を明らかに超えている。いや、実は締め方がわからなくなっているだけだ。たぶんあと50行くらいは文章を生成できる。
やめておこう。この辺で。
とりあえず「Skåååålll!!!!」
不思議で、面白い。
映画なので、自分の知らない世界を疑似体験できるのも、楽しみ方のひとつなので、アリの映画。
不思議な体験として、記憶に残る。
この、共同体的人間関係の世界は、
ある種のムラ社会であろう。
現在の都会の個人がバラバラの希薄な人間関係の世界と、
映画の中の濃密な関係性の世界は、
どっちも、隣の芝生になってしまう。
だから、田舎出身で、都会で活躍するしてて、
疲れたら田舎帰るなんて出来る人が最強だよな!
日本なら、すぐ思い出されるのは、オウム真理教だけど、
アレも、ある種の濃い共同体内の犯罪。
それを、実社会に影響させたから、犯罪となったわけで、
内部だけで、ポアとかしてても、
外の人が知らなければ、犯罪として立件できない。
家族としては、困ったものだけど。
老後の問題も、実は結構深刻。
18×4=72で人生終了とか、ひとつの考え方。
日本とかは、干支の12年が単位で、
12×5=60で還暦のひとまわり。
そこから12年で72だね。
現実の日本は、あと12年の84が
女性の平均寿命だから、すごい幸せだと思う。
幸せな悩み。年金が少ないなんてのも、
無い国だってあるのに、幸せな悩みのひとつ。
よく、厚生年金で、生活できないから、ヒドイ国だ、
なんて報道あるけど、
もともと、国民年金の、ヒトはどうなんだって!
たくさん払ったって言ったって、半分は会社が払ってるんだし。
あと、定年制なんてのも実は老人差別だよ。
働きたい人は、いくらでも働けばいいじゃん。
日本がサラリーマン社会になったのなんか、
戦後から、だからまだ最近の話なんだぜ。
取り留めないので、おしまいです。
白い衣装は、世界共通?
メンヘラのための映画なんだって
観賞後、ホラーじゃなかったな、と思っていたら
監督がキッパリ「ホラー映画じゃない」と公言していました
でも、すごく考えさられる映画だったので自分なりにまとめてみます
まず、Twitterで「自信のあるカップルはみにいこう!」みたいな
つぶやきがバズってたけど、
正直あれみて別れるカップルはそれまでというか
宣伝含め、あんまりまわりの情報は信用せず
自分の目でみて感じた方がいいと思います
一緒にみに行った友達は隣でポロポロ泣いていて
「これはメンヘラのための映画」
といっていましたが、どっぷり浸かっていたあの横顔をみると
彼女こそがこの映画の
真っ当な理解者の一人なんだなあと感じました
私は観賞後、しばらく恍惚として
「女の心理描写がうまく、すごく女性的な映画だ」
と感じましたが、監督が男でビックリ
手腕にうなりました
ティム・バートン監督のように
理論ではなく感覚で
感じれる人には感じれる映画なのかもしれません
うーん。
実際この映画に善し悪し、面白い面白くないという感想を抱いてはいけないなと思います。
冒頭はダニーの不幸が伺えますがラストでは笑顔。家族を失ったダニーがカルト集団?の一員になった事で周りから認められたのが嬉しかったのか、、そう捉えてしまいました。情緒不安定というかなんというか同情も共感も出来ない役柄でしたね。
作品全体を通してスリル感、抑揚がなく正直退屈することもしばしば。しかし不思議と2時間以上観ている気にはなれない。監督はこの映像を撮りたいがための脚本だったのかなと思いました。個人的には少し消化不良という感じで割と好きなのですがあまりオススメは出来ないですね。
今後に期待の意を込めて3.5とさせていただきます。
初めの評価は0.5
観終わった後なんだこれ状態。
、、、。←これのまま劇場を出る。
やたらと長かったなと思いながらすぐにネトフリでマスクを観る。あー面白え!映画はやっぱこうでなくっちゃ!
その日の夜の夢で私はあの村に立っていた。
いつのまにかあのヒロインに感情移入していたのか、彼女の過去の傷、不安が波のように押し寄せて来る。
その状態のまま仲間との描写、ショッキングなシーンが断片的に流れ込む。
まさしく悪夢。よりによって経験した事のない明晰夢。
映画のあまりに細かいところまでが蘇り、焦燥感に駆られる。
次の日私はこの映画をもう一度観た。
みた夢と相違ない。恐ろしい程に。
そして一度登場人物に感情移入してしまえば最後。
私の頭の中に幾輪もの花が咲いていた。
悪夢が幸せに変わっていく。
面白さ、興味深さへと変わっていく。
ここまで狂ったものを描けばどれだけの常識人や評論家も虜にできるのか。
私の場合は少し特殊だが、この映画の外れた部分に幾らか惹かれる人はいるようだ。
特に声、表情、似つかわしい風景。
この映画、只者ではない。
人間のエゴが怖い
祝祭が始まる。
いや確かに祝祭だね!
コミューンの夏至祭、というあからさまな奇祭に行く連中が人類学専攻っていうのは意外と繊細な設定だよね。そして完全に情緒不安定なフローレンス・ピューを通して私たちはこの「奇祭」とひとのエゴをさんざっぱら見せられるのである。
もう、私には全ての登場人物のエゴがどんなグロいシーンよりも痛いわけです。内に居る者の思考も理解し難いが、外からやってきた者のあのエゴの増幅がすごい。内に居る者がトランス状態で一体化しているのと完全に逆ベクトルじゃないですか。友だちとかであっても互いを気にしないのね。その対比にひとりうんうん唸っていた。
色々仕込みが多くて考察サイトが乱立しそうな勢いだが、根本的にはただただディスコミュニケーションの物語だなあと思った。思いやりがない。男性陣にも、情緒不安定のダニーにも余裕がなく、結果として思いやりはない。完全に皆エゴを推し進めた結果、ああいう狂乱と笑うしかないところに行き着く感じがある。こういう物語を思いつくアリ・アスターって逆に気遣いめっちゃしてそう、と思った。
カットの割り方が凄いね。不気味な画ではあるんだけど、幻のように美しい。でも痛みはちゃんとある。あの明るさと音の不穏さはやっぱりスクリーンで観たい映画だと思いました。
私自身はあのラストシーン最高だなと思ってしまったので、ひとりで観に行ってよかったかもしれない。
物語の背景はまあ北欧神話をモチーフにしているんだろうけど、その辺は分かった方が面白いのだろうな。まあ、正直、あの雰囲気に呑まれるとなんか違う方向にいっちゃう気がして、ただただひとはめんどくさいな、というストーリーとして私は観ました。不快度はかなり高いですが、自分にもあるものを綺麗で不気味なテイストで、非日常を装いながら見せつけられるのが「不快」なのかもしれない。
フローレンス・ピューが大変良くて、こりゃオスカーにもノミネートされるわ(「ストーリー・オブ・マイライフ」でだけど)。彼女の情緒不安定感こそがこの映画の肝だよね...。
つまらないとか言ってる人考察読みましょう。
鑑賞した後、様々なサイトの考察を見て改めて本当に面白いと思いました。
レビューを見ていると、「単にグロいだけ。クソ映画。つまらない。意味がわからなかった。」みたいな意見がちらほら見れます。しかし、そういった人達に是非考察を読んでいただきたいです。
この手の映画は皆さんが好みそうな「ドン!オラ!ビックリしたろ?」みたいな安っぽい明らかな表現がないので理解力が低い方には面白くないと思います。しかし、考察を読んでいただければその考え方は変わると思います。
作品自体はたしかに難しいので理解力の低い方なら分からないことも多いでしょうが、是非、考察を読んでください。
信仰ってある人にとっては救済となり、ある人にとっては身を滅ぼすもの...
信仰ってある人にとっては救済となり、ある人にとっては身を滅ぼすものになるんだなと改めて思った。
そもそも、死生観が違う人種とは絶対に分かり合えない。
すんごい長く感じた。
共感と同調のホラー&コメディ 追記
3月26日 追記
身を投げる老人役、ヴィスコンティの「ベニスに死す」の美少年タージオのビョルン・アンドレセンなんですね!ショック!気がつくのが遅い自分にショック!ショック!
☆☆☆
共感能力が高すぎると自分も弱ってやられてしまう。あるグループに洗脳する力の大きい人が居ると、恐怖感から同調してしまう。でも、外から見たらそのグループの有り様はとても滑稽であほくさく見えるのは、よくあることだと思う。共に泣いたり、生贄か焼かれてひぇ~!と悲しんだり(?)なのもダンスや歌で皆がハイになるのも、セックスの最中も周りの女性全員同調してて、怖いけど笑った。私たちの社会でもよくあることのような気がする。
それでも、この映画に救いがあるとしたら、ある程度の年齢になった老人は、皆が見守る中で死ねる仕組みがあることだと思う。顔をあんな風にするのは、本当は心の底では憎んでいて、そのガス抜き?
ダニーがどんどん可愛くなっていくのは怖かったけれど、この形でしか彼女は救われなかったんだろう。うわべだけの共感は実は一番怖いよ~をクリスティアンが体現してた。
ヘヴィ、、メタル🖕
空腹の観賞後
喰えるか!
こんな映画観てすぐ、、、
感じるコトは少ないし、感情移入もありゃしないけど、
揺さぶられたよ。
悔しいけど。
無性に胸がザワついて、ヘビメタで洗い流してる。
ディストーションでザクザクザクザクザクザクザクザク
ヤバいもの観たな笑
伏線が多い、というか伏線しかない。
見ていて気持ちいい映画ではない。
随所にあるグロ、終盤のエロ、耳の奥に残るような音楽とSE、異常にも見える村の装飾など不快感を抱く人がほとんどだろう。
しかしそれが物凄くリアルに感じ、この村、村人、伝統は本当に実在するのではないかと錯覚するほど精密に作られている。
見てからしばらくはこの作品のことで頭がいっぱいになるほど中毒性が強い。
今後アリ・アスター作品は映画館で観ます
前作のヘレディタリーを映画館では見ず、最近BDで見て後悔したので今回は映画館で鑑賞。
この人の作品の画の美しさは今作品でも健在で見ていて飽きない。
大まかなストーリーはあらすじとか見て大体予想はついていたので、前作のように先の読めない展開ではなかったが、予想がつくからこその怖さを感じた。
多様性を認めることを昨今求められているがミッドサマーもそんな作品になっています。
ゴア描写は覚悟していたこともあり、量は思ったより少なかったが一つ一つがエグイ。
でも痛々しい描写はほぼなく、芸術性が勝っているので目をそらしたくなる類のものではない。
むしろ美しかったりもする。
映画館での作品紹介とかYouTubeで流れてたクセのある映画とは思わせない作品紹介が功を奏してかかなりの人が入っていた。
ただのホラー作品ぐらいの前情報で鑑賞したのであろう人たちの終わった後のざわざわがそりゃそうなるよなって感じで面白かった。
ミッドサマー
今年10本目。
禍々しい、不思議と高揚感のある作品。
作品全体は狂気染みてるのに、観ている時の高揚感が切り離せない、何とも言い難い作品。万人受けはしないと思うが私は好き。
エログロ注意、耐性のない人にはきついかも。
宗教、洗脳って怖いな、人間が1番怖い。
人の死を祝祭する宗教があるとしよう。
その環境で育った人にとっては「死」は祝祭。しかし、死を悼む国の人からとっては「死」の祝祭は異端。
でも、その祝祭下では「死」を悼む事の人の方が非難を浴びる。
自分の環境と周りの環境がいかに違うか。
何故、違う考えを持つ人間を受け入れられないのか。宗教なら尚更。
その環境下に身を置き、環境に適応していくのも恐ろしいな、と感じる作品でした。
※個人の価値観で書かれています。
※気に触る表現があったらごめんなさい。
美しかった
人によるかもしれないが、私はすごく好きだった。
日が沈まない美しく楽園のような場所、真っ白な生地に刺繍が施された衣類を纏う人々は俗世から離れ(ある意味)ストレスとは無縁な生活を送っている。スウェーデンの設定だがあまりスウェーデン感は見受けられなかったような。
しかし完璧を装いつつも所々に見え始める辻褄あわせと何が起こるかわからないハラハラ感が背筋をゾクゾクさせた。
1人ずつ人がいなくなり、なんとなく何が起きているのかは想像できるのに最後まで明確にされないところもたまらない。
燃え盛る火の中でペレの隣に座っていた人が恐怖に負け断末魔をあげるシーンは、楽園から現実に引き戻される様子がとても分かりやすく、美しかった。
グロテスクなシーンや驚かせてくるシーンこそ少なかったが、胸糞要素盛りだくさんなのに鑑賞中は嫌でも夢中になってしまい終わってから疲れがどっとくる、後味が悪いわけでもなくスッキリとまとまっていて清々しささえ感じた。
この監督の映画は見たことがないし感想もあまり書かないから文章にしてみると見落としているところが沢山ある気がする、もう1度、次はジンジャーエールを買わずに見てみようと思う。
監督のインタビューを見て30倍怖くなった。
最後のダニーの笑顔について。
鑑賞時の印象としては、ホルガの考え(死は救い)を受け入れることにより恋人を殺した罪悪感から解放された笑顔かと思った。
また、家族の死についても考え方が変わった部分があるのかと。
(あと少しだけ、ホルガ民のあまりの泣き芸に笑ってしまったのかとも思った…
私は笑ってしまった。こいつら顔は嘆いているけど涙出てないなというのもあって。
クリスチャンとマヤの行為を見た後のシーンもそうだけど、ホルガの人たちの「共感」は
人ではないものが人の行いをただ真似ているようで不気味さがある)
私は、何言っててもいざ死ぬとなったら怖いよなと思ったし、本編でも志願して生贄になったホルガの男性2人が、炎に包まれる直前には怖がり逃れようとする素振りを見せていた。
なので、『ダニーはホルガの考えを信じた事で救われた。ただし自分の番がくるまで……』という後味の悪い終わり方かと思った。鑑賞直後は。
しかし鑑賞後にアリ・アスター監督のインタビューを読み、最後のシーンは観客にカタルシスを感じさせるための物と知った。
私はカタルシスを感じることはできなかった。
「不誠実」という罪と「死」という罰が釣り合っているとは思えなかったから。
(マヤとの行為もドラッグを飲まされた上でだったし)
しかしダニーの憎しみは、クリスチャンとマヤの行為を見た事によるものだろうか。
私はそれよりも、ホルガに来るまでの生活の中で積み重なったものが大きいと思う。
家族を一度に亡くしたダニーの悲しみは、多くの人は一生味わうことがないほど深い悲しみだと思う。
それ以降のダニーの生活はずっと「非日常」で、ダニーの非日常に踏み込もうとせず「日常」を続けているクリスチャンから、他人事というのが透けて見えて、ダニーを傷付け続けていたのではないだろうか。
ではクリスチャンはどうすればよかったのかというと、正直、1年も引きずらずに(事件が起こる前に)別れておけばよかったとしか言いようがない。
別れを先延ばしにしたのはダニーへの気遣いじゃなくて”別れる”という大仕事が煩わしかっただけ。
ダニーが家族を亡くし、同情から寄り添おうとしても、心が伴わないので傷付けるだけで、結果死刑にされるという…。
(しかしそんな不誠実な恋人でも、ダニーにとって、家族を亡くした直前には居ないよりはマシだったと思うんだよな。誰でも良いから縋る先が必要だったと思う。なので、結局ダニーはより良い依存先(ホルガ)を見つけたからクリスチャンが要らなくなっただけで、なんとも自己中心的にも思える…)
私はダニーに共感しきれない、この映画だと死罪になるべき側の人間なんだと思う。
そう思うと恐ろしくて、映画本編の不気味さなどは全て吹き飛んでしまった。
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