「共感は出来ない」羊とオオカミの恋と殺人 87さんの映画レビュー(感想・評価)
共感は出来ない
映画やドラマを見ているとしばしば「極限状態ならまあ……」と考えることがある。
自殺を考えている主人公の前では、常識が通用しないのは定説だ。だからこそ、あり得ない展開になる訳だが……
この映画はそのあり得なさ度が異常。とてつもない。
人を殺してる人を好きになったら、なんて想像するだけでもとてもまともではない。そこの感覚がずれているので、基本的黒須にも宮市さんにも共感する点はゼロ。
そもそもこの2人のバックグラウンドが全く描かれていないため、視聴者は切り離されたような感覚に陥るだろう。理解不能とはこのことだ。
ただ、そこをカットしたことによって、物語がスムーズに進んでいるようには思えた。
ストーリー自体はやっぱり気になって、とんでもないからこそどんな結末になってもおかしくないという思いで、最後まで一気に見た。
その点ではやはり興味をそそられる部分はあった。特に黒須の感情の変化は見ていても面白かった。おかしいとはいえまだついていける考え方だからだ。
そしてあの2人の危うさも目を離せなかった。
結果的に黒須の存在が市宮へ影響を与えたと考えると、まあ大筋はそのへんのラブストーリーと変わりはない。
"こんなことあるのか?"と"やっぱりこうなるな"って思わされてしまった点が残念だった。どっちもこの作品としては仕方ないのだけれど。
総じて評価はそこそこかなっていう感じ。まあ、めっちゃつまんないわけでもないけど、感動とか驚き興奮はない。そこそこ面白かった。
あと役者がとてもよかった。福原遥も杉野遥亮も元から大好きだったけど、より好きになった。
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